川崎重工業 国交省から指示を受けた認証不正に関する調査結果がまだ

国交省がダイハツ工業などで型式指定申請における不正行為が相次いだことを受け、自動車メーカーなどに対して内部調査を求めた件。トヨタ自動車などで新たな不正が発覚していました。指示を受けた対象の85社のうち、川崎重工(カワサキモータース)だけ調査結果が報告されてないみたいです。

川崎重工業

今さら同社の説明は不要だと思います。上記国交省の指示で調査することになったのは二輪車ですね。すでに結果を報告した同業では「騒音試験における不適正な試験条件での実施」なんてのが出てました。二輪の方が四輪より調査は楽そうに見えるんだけど、何かよろしくないことが出てきているのか。

不正のデパート化

川崎重工ではこれまでにも多くの不正が出てきました。ちょっと整理しておきましょう。
・ 2017年 川崎重工製の新幹線台車が規格に沿わない製造により亀裂が発生
・ 2022年 子会社の川重冷熱工業の空調システムに使う機械で検査成績の虚偽報告
・ 2024年 取引先との架空取引で裏金を捻出し海上自衛隊の潜水艦乗組員への金品供与

こんな感じで次から次へと不正が出てきています。まさに不正のデパート化。ここまで歴史ある企業でこれだけ広範囲に不正が広がっているわけですから、もうグループ全体で類似事案の徹底調査、するしかないのでは?

トヨタ自動車 型式指定申請における新たな不正行為 是正命令も

国土交通省は7/31、「トヨタ自動車(株)の不正事案に関する国土交通省の対応について」を公表しました。7月5日に同社より報告された7車種以外にも、新たに7車種で不正が確認されたことから、トヨタ自動車に対し、道路運送車両法の規定に基づき、是正命令を発出しました。

やっぱり出てきた

7/5に調査結果を報告し、「これ以外に不正はありません」としていたトヨタでしたが、国交省の調査により、追加で7車種(現行生産車4車種、過去生産車3車種)における不正行為が認定されました。やはり、予想通り出てきました。

現行生産車で不正が認定されたのは、RAV4、ノア・ ヴォクシー、ハリアー、レクサスLM の4車種。量産品とは異なる仕様の部品で衝突試験をしたり、試験データを書き換えたりしていました。自社での内部調査では見つけられず、国交省の指摘で発覚するという最悪の展開です。社長は否定してるようですが、当然、「隠蔽しようとしていたのでは?」とみられてもしょうがないですね。

やっぱりトップの引責辞任?

道路運送車両法の規定に基づき、是正命令を受けたトヨタ。是正命令を受けるのはトヨタとしては初めてらしいです。公表されているのは、「1ヶ月以内の再発防止策の報告、四半期毎の再発防止策の実施状況の報告」と、まぁ、定番の命令なんですが、内々にトップの引責辞任についても求めてるかもしれません。

株式会社IHI 連結子会社における新たな不正が発覚

株式会社IHIは7/31、「当社連結子会社 新潟トランシス株式会社における不適切行為について」を公表しました。100%子会社で鉄道用車両、産業用車両、除雪機械の製造・販売を手掛ける新潟トランシスにおいて、新たな不正が発覚したということです。

不正の概要

今年4月に子会社のIHI原動機で船舶エンジンの試験における不正行為が発覚したIHI。今度は別の子会社新潟トランシス株式会社において、不正が発覚しました。同社が製造および販売したロータリ式道路用除雪車の一部において、顧客に提示した仕様と異なる仕様の車両を納入していたことが判明したといいます。

除雪性能を高く見せるため、実際に納入するものとは異なる除雪装置の部品を使って試験をしていました。2002年以降に販売された43機種,2,847台を調査したところ、2007年から2017年にかけて販売された10機種、1239 台で不正が判明したとのこと。除雪性能試験で求められる目標を達成できず、装置の一部部品を試験時のみ取り換えていたということです。

発覚の経緯等

4月のIHI原動機における不正を受けて、同社グループにおける同様事案の有無の調査行っていた際、新潟トランシス社員より上記不適切行為についての申し出があり発覚しました。この分だと他の子会社でもまだまだ出てきそうですねぇ。

膿はしっかり出し切りましょう。中途半端な対応していると、トヨタさんみたいに当局に調査完了報告した後に、「また出てきました」、みたいな不細工なことになりますよ。

日立造船グループ 舶用エンジン事業で燃費消費率データを捏造

少し前になりますが、日立造船は7/5、「当社グループにおける舶用エンジン事業に関する不適切行為について」を公表しました。連結子会社の日立造船マリンエンジン、アイメックスにて、舶用エンジンの陸上運転記録にデータの不適切な書き換えが行われていたということです。

日立造船

日立造船はプラント・機械大手の一角。祖業の造船から事業ポートフォリオを転換し、現在は、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売が中核事業の東証プライム上場企業です。ちなみに現在では造船は一切やってません。

不正の概要

子会社2社において、顧客が立ち会ってエンジンを試験運転する際に記録する燃料消費率を、実際とは違う数値に書き換えていました。データ改ざんしたエンジン数は現時点で1364台に上るとのこと(調査対象は1366台、つまり、ほぼすべて)。

IHIによる船舶エンジンの運転データ改ざんを受けた国交省の注意喚起がきっかけで、社内調査を実施し、問題が発覚したといいます。

国交省は日立造船による報告を受けて、NOx規制の順守が確認されるまで規制基準を満たした製品であることを示す証書を交付しないと発表しました。エンジンを事実上出荷できなくなるようです。当局が横展開すると必ず第2、第3の不正が出てきます。

トヨタ、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキ 5社で型式指定申請における不正

国土交通省は6/3、「型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等について」を公表しました。昨日書いたトヨタ、ホンダに加え、マツダ、ヤマハ発動機、スズキでも不正行為が確認されました。調査は一部継続しており、この5社は5月末時点の結果だそう。

調査結果の概要

型式指定を取得している自動車メーカー、装置メーカー等85社に対し調査・報告を指示しており、5月末時点で調査を完了したのは68社(マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキなど)で、調査継続中は17社(トヨタなど)となっています。

報告のあった不正の内容は、トヨタが現行生産車3車種を含む計7車種。マツダが現行生産車2車種を含む計5車種、ヤマハ発動機が現行生産車1車種を含む計3車種、ホンダが現行生産車なしで過去生産車22車種、スズキが現行生産車なしで過去生産車1車種という内訳です。

5社で分散?

公表した5社は国交省の指示のもと、すべて同じ日に不正を公表。単独で非難の的になることもなく、5社で分散した形です。ダイハツや日野に比べてダメージは小さいでしょう。しかし、ここで考えておくべきことがあります。この5社は他社の不正を横目に、本気で自社の点検をしてこなかったという事実です。このままほとぼりが冷めてくれたら、くらいに考えていた面子ですよね。