日機装株式会社 検査不正で特別調査委員会を設置

日機装は2/28、「特別調査委員会の設置について」を公表しました。同社が製造していたキャンドモータポンプ及び往復動ポンプの一部製品について、出荷前に社内規定により定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していないことが判明したということです。

日機装

日機装は産業、エネルギー業界など幅広い分野で使用される特殊ポンプのリーディングカンパニーです。「インダストリアル」、「航空宇宙」などに分かれる工業部門と、透析装置などの医療部門に展開する東証プライム上場企業です。

事案の概要

キャンドモータポンプ(製品名「ノンシールポンプ」) 及び、往復動ポンプ(製品名「ミルフローポンプ」)の一部製品について、出荷前に同社社内規定により定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していないことが判明しました。

昨年10月、同社従業員が製造工程の確認をしていた際に、一部のポンプ製品について、出荷前に社内規定に定めた品質計画書に基づく社内検査の一部(耐圧検査)を実施していなかったことを発見したとのこと。その後同社ではこれまで社内調査を実施してきたということです。 そして更なる事実関係の解明、原因究明及び再発防止策の策定等を目的として、外部有識者を主とした特別調査委員会を設置することを決議したとしています。先月好決算と増配を公表したばかりの同社。大事に至らなければ良いんですが。

東京地下鉄(東京メトロ) 千代田線で一部未検査の車両を運行

少し前の話になりますが東京地下鉄は2/19、千代田線の1編成について必要な検査を受けずに運行していたことを公表しました。検査担当者が必要な検査の種別を誤認していたためとしています。運航していた期間に事故や故障は起きなかったとのこと。

東京地下鉄

東京都区部を中心に地下鉄を運行。鉄道各社との直通運転により、郊外から都心への移動の結節点として、首都東京の都市機能を支えています。輸送人員数は1日平均652万人(24/3期)で、都心部での短距離・大量輸送を提供する輸送効率性の高さが特徴です。昨年東証プライムに上場した企業です。

事案の概要

社内基準では3カ月以内の周期で行う検査と、12カ月以内の周期で行う検査の2種類があり、本来は12カ月以内に行う検査を実施すべきところ、3カ月以内の検査を実施していたとのこと。結果として電気系統の確認など一部の項目が実施されなかったといいます。62日間にわたり、必要な検査を受けないまま2万8780キロメートルを走行していたそう。

メトロと地下鉄

結果的に事故はなかったので大した話題ではないんですが、個人的に気になっているのが社名なんです。タイトルにも記したように、同社はメディア等で「東京地下鉄(東京メトロ)」と紹介されることが多いようです。正式社名は東京地下鉄。英文社名が東京メトロということみたい。

東京に住んでいる人には東京メトロの方がしっくりくると思うんですが、なぜ東京地下鉄と名乗ってるんでしょう。東京地下鉄株式会社法なんてのがあるらしいけど、ややこしいよ。併記するの面倒くさいよ。

ツバキ・ナカシマ 品質検査に関する不適切行為

ツバキ・ナカシマは11/11、「当社のリニア事業における一部製品の品質検査に関する不適切行為について」を公表しました。リニア事業の郡山工場にて製造しているボールねじに関して、品質検査項目の一部において、測定された数値の改ざんが行われていたということです。

ツバキ・ナカシマ

ツバキ・ナカシマは自動車、工作機械などに用いられる精密ボールや精密ローラーの製造・販売を行うプレシジョン・コンポーネントビジネスを中心に展開しています。主力は精密ボールで、2万種類を超える様々な材質、サイズを手がける東証プライム上場企業です。

不正の概要

売却を予定していた郡山工場にて製造しているボールねじ事業ですが、その主要な品質検査項目の一部について、測定機器から自動入力される数値を長期にわたって書き換えていたということです。、外部弁護士から構成される特別調査委員会を10月16日に設置し、調査を実施しているとのこと。

「測定機器から自動入力される数値を長期にわたって書き換えていた」って酷い話。検査不正が起きた企業で、改善策によく出てくる「システムによる自動入力」だけど、後から書き換え可能では意味がないよね。まったく機能してないってこと。不適切行為ではなく、立派な検査不正です。

パナソニック ホールディングス子会社 認証不正の調査結果を公表

パナソニックの子会社であるパナソニックインダストリーは11/1、「品質不正に関する外部調査委員会による調査結果および当社の取り組みについて」を公表しました。今年1月に、UL認証に関わる不正や顧客との個別契約に関わる不正の発覚を公表。これを調査してきた件ですね。

調査結果

自社製品に関する顧客との個別契約で72件の不正がみつかり、UL認証取得の不正(21件)と合わせ計93件の不正があったということです。品番数で言うと、すでに公表していた153品番から大幅に増え、約5200品番にのぼるとのこと。

さて、これで膿は出し切れたんでしょうか。外部調査委員会ですべての取扱商品について網羅するのは困難ではあるものの、今回の調査は見つかった不正に関する重点的な調査や原因究明、再発防止策という方向性で行われており、網羅性についてはより重きを置かない調査になっているような感触です。

まぁ、それでも見つかった不正に関して全社的な改善対応を行うことで、不正を根絶やしにしていくことは可能かもしれませんが、その改善対応の過程で新たな不正も出てくる可能性はありそうです。このところちょっと元気のないパナソニックですが、日本を代表する重要な企業。子会社の改善対応ももちろん、グループ全体で業務品質の向上に取り組んでほしいものです。

国土交通省 舶用エンジンにおける不正行為の実態調査結果を公表

国土交通省は9/30、「舶用エンジンのNOx放出量確認試験における不正行為の有無等に係る実態調査の結果について」を公表しました。IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックスによる、舶用エンジンのNOx放出量確認試験におけるデータ改ざん事案を踏まえ、他のメーカー19社に対し調査報告を求めていた件です。

実態調査の結果

結果は、川崎重工業から燃料消費率等に関するデータ改ざんが行われていたという報告があったのみ(9月までに公表済み)で、その他の事業者においては不正行為は無かったということに。つまり、不正を行っていたのは、IHI原動機、日立造船マリンエンジン及びアイメックス、川崎重工業の4社だけでした、ということです。

ただ、ちょっと気になるのは、「不正行為は無かったと報告した18社のうち、8社からは、試験記録の転記誤り等が確認された旨の報告があったほか、機器の校正等、確認が必要なものがあった」という記述。なんだこれ?

「試験記録のデータ改ざん」と「試験記録の転記誤り」。この違い、なんともビミョーですね。試験記録は合格値だったけど、転記だけ間違ってましたってこと?このあたりの説明はありません。輪軸不正に関する調査と違って、今一つ国交省もやっつけ仕事になってる感じ。