西川ゴム工業 海外連結子会社における棚卸資産の不適切計上

西川ゴム工業は8/16、「当社連結子会社における棚卸資産の計算等に関する調査結果及び再発防止策の策定に関するお知らせ」を公表しました。メキシコの連結子会社において、棚卸資産の計算等に関して疑義のある事象が存することが判明したことを受け、社内調査を行っていました。

西川ゴム工業

西川ゴムは自動車のドア周りに装着する部品(ウェザーストリップ)を中核とするシール材メーカー。国内すべての自動車メーカーと取引実績を有し高いシェアを誇っています。海外売上高比率が5割を占める東証スタンダード上場企業です。ウェザーストリップとは、自動車の車内に侵入する風雨やホコリ、騒音を防ぐための部材です。

棚卸資産の過大計上

メキシコ子会社の 2021年 12 月期以降の棚卸資産について、1,352 百万円の残高の過大計上(2023 年 12 月末時点)があったことが判明したとのこと。ただ、調査の過程で不正の兆候は検出されておらず、誤謬による過大計上であると結論付けています。

原因は大きく4つ挙げられてるんですが、その中の一つに、「試算表と在庫明細の差異に係る手入力仕訳の査閲・承認が適切に行われていなかった」というのがあります。つまり、不適切に処理されていたということなんですが、総論としては「誤謬による過大計上」なんですね。

やはり、上場企業が開示等で「不適切」と表現する際は、実は「不正(行為)」を意味するということなんですね。「不正」は「不適切」に、「不適切」は「誤謬」に化けちゃいます。

レーザーテック 特別調査委員会の調査結果を公表

レーザーテックは8/5、「一部報道についての補足説明 特別調査委員会による調査報告のお知らせ」を公表しました。Scorpion Capital LLCから不正会計等のいちゃもんをつけられていた件について、特別調査委員会を設置して1か月半にわたり調査してきました。

調査結果の概要

同社製品のACTIS および MATRICS の仕掛品に係る、実在性の確認や残高に含まれる項目の適切性、回収可能性(資産性)などを検証したとのこと。その結果は「当委員会は、本調査の調査目的に照らして必要な調査手続は十分に実施できたとの心証を得ており、実施したすべての検証手続において、調査目的に関連する不正は認められなかった。」ということです。

今回開示された調査報告書は要約版で、4ページだけというもの。プライバシーおよび機密情報等の保護の観点から要約版を公表したとしています。先に不正を指摘したスコーピオンが300ページに及ぶレポートを出してきたことを考えるとやや貧弱、というか、不正はなかったという結論しか書かれていません。

マーケットの反応

調査結果公表を受けた株式市場では、同社株は猛烈に反発・急騰してるんですが、市場全体が暴落・急反発したり、その後に同社が好決算を発表したりといった材料が交錯しましたので、今回の調査結果がどれほど影響を与えたのかは何とも言えません。しかし、いずれにしてもスコーピオンの空売りは大成功、独り勝ちってことですね。

ENECHANGE(エネチェンジ)株式会社 監理銘柄(確認中)の指定 上場廃止か

エネチェンジは6/27、「2023 年 12 月期有価証券報告書提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)の指定の見込みに関するお知らせ」を公表しました。同日東証は監理銘柄(確認中)の指定を公表しています。

エネチェンジ

エネチェンジは消費者向け電力・ガス切替サービス「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」を運営。電力会社向けクラウドサービスや再生可能エネルギー発電所の運営効率化・ファンド運営事務サービスなどを提供しています。現在はEV充電器への先行投資を強化中の東証グロース上場企業です。

監理銘柄(確認中)の指定

2023年12月期有価証券報告書を法定提出期限までに提出できなかったため、東京証券取引所は、同社株式について、上場廃止となるおそれがあると認め、監理銘柄(確認中)に指定しました。このため、7月10日までに提出できなかった場合、同取引所は同社株式の上場廃止を決定します。

事の発端は電気自動車(EV)充電事業に関する会計処理を巡る不正の有無。外部調査委員会による報告書では、会計不正は認められなかったと結論づけたものの、同社を担当するあずさ監査法人は「不正はあった」と指摘しており、対立したまま。あずさ側は「重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断した」としています。

もめてますねぇ。上場廃止か?という情報を受けて同社株は6/28、422円(100円安のストップ安)まで売られました。脱炭素関連みたいな国の補助金等に群がる企業ってのはどうも信用ならんねぇ。

レーザーテックに空売りファンド 暴露レポートで不正会計を指摘

レーザーテック株式会社に関して、スコーピオン・キャピタルという空売りファンドがレポートを公表。そのレポートで、スコーピオンは同社株を空売りしていることを表明しているんだそう。この情報を受け同社株は一時8%を超える急落となりました。

レーザーテック株式会社

レーザーテックは半導体関連装置を中心にFPD(フラットパネルディスプレイ)関連装置、レーザー顕微鏡などの設計、製造、販売などを行う東証プライム上場企業です。年初から日経平均が4万円を超えていく急騰相場で中心的な役割を担った企業です。

スコーピオン・キャピタル

スコーピオン・キャピタルはある銘柄に空売りを仕掛け、その後に当該銘柄の暴露レポートを公開。同銘柄が急落することで大きな利益を得てきたファンドのようです。史上最大級の不正だの、主力製品に欠陥がある、といった情報が暴露されているようで、300ページを超えるレポートだそうです。

市場の反応

同社株は終値で35,560円(-2,900円)。同社株に限らず半導体製造装置関連全体が大きく売られました。大きく上げてきた銘柄が多いだけにインパクトは大きかったようです。新NISAスタートでこの辺りの銘柄を買った人も多いはず。今後の東京市場全体に与える影響も気になるところです。

ガセ情報であれば風説の流布や相場操縦でお縄に、ということになりそうですし、何かしらあるんでしょうかね。18時現在、当のレーザーテックからは何のコメントも出ていません。コメントなしはマズいんじゃない?

ファインシンター インドネシア子会社で資産過大計上の疑い

株式会社ファインシンターは5/16、「当社連結子会社による不適切な会計処理に関するお知らせ」を公表しました。連結子会社であるファインシンターインドネシア株式会社において、不適切な会計処理が行われていた可能性があることが判明したということです。

ファインシンター

ファインシンターはエンジンや足回り部品などを手掛ける自動車部品メーカー。粉末冶金技術による自動車用部品の製造が売上高の9割程度を占めるほか、鉄道車両用部品、油圧機器製品などを手掛けています。トヨタ自動車の持分法適用会社(20%保有で筆頭株主)で東証スタンダード上場企業です。東京焼結金属株式会社と日本粉末合金株式会社が合併して誕生した会社ですね。

不正の概要

同社の海外連結子会社であるファインシンターインドネシア株式会社において、2021 年3月期頃から 2024 年3月期までの期末棚卸資産の不適切な会計処理により、実態と相違がある資産計上が行われている疑いがあることが判明しました。その金額は現在精査中としていますが、累計で約3億円が過大に計上されている可能性があるとのこと。

今のところ単なるミスであるかのような表現になっていますが、外部の専門家を含む調査委員会を早急に立ち上げるとしているあたり、役職員による不正行為等が絡んでいる可能性が高そうです。またしてもトヨタの関連会社です。止まりません。