株式会社アウトソーシング 連結子会社で不適切な会計処理

株式会社アウトソーシングは11/5、「連結子会社における不適切な会計処理の疑い及び2021年12月期第3四半期決算発表の延期に関するお知らせ」を公表しました。11/15に予定していた決算発表が延期されてます。同四半期報告書に関しては別途検討中らしいです。

アウトソーシング

アウトソーシング社は、主にメーカーの製造・研究部門での業務請負や、人材派遣サービスを国内外で展開。M&Aによりグループ規模を拡大、海外展開も進め世界約30カ国でサービスを提供しており、売上高の5割程度を海外が占めています。東証1部上場企業です。

不適切な会計処理

開示によると、同社連結子会社のアウトソーシングテクノロジーの上場準備の過程において、不適切な会計処理が行われていた疑いがあることが判明したといいます。既に調査委員会を設置していて、調査に取り組んでいるとのこと。

アウトソーシングテクノロジーの子会社である、株式会社アネブルにおける仕掛品等の過大計上等の疑いがあり、アウトソーシング社の第3四半期決算の連結財務諸表に、数億円の影響を及ぼす可能性があるとしています。

また、過年度についても、上記同様の過大計上の他、アウトソーシングテクノロジーほかにおける収益の過大、費用の過小計上の疑いがあるようで、過年度も同様に数億円の影響が見込まれるようです。

これらを受け、計画をしていたアウトソーシングテクノロジーの株式上場にも影響が生じる見込みであり、アウトソーシングテクノロジー株式の上場申請を一旦取り下げる可能性もあると。

まだまだ詳細は不明ですが、現在に至るまでの決算内容に大きく影響しそうな気配。この開示を受けて、同社株は一時1615円のストップ安まで売られ、終値も458円安の1657円。爆下げです。

ラサ商事(3023) 子会社旭テックで不適切会計

東証一部上場のラサ商事は3/26、同社の連結子会社である旭テック株式会社において、不適切な会計処理が行われていた可能性があることを公表しました。業務プロセスの適正化を目的に社内調査を進める過程で判明しています。

ラサ商事

不思議な名称の会社ですよね。もともとはラサ工業の販売部門として設立され、後に独立しています。今では大株主にも出てきませんね。この「ラサ」というのは沖縄県に属する通称「ラサ島」に由来するそうです。公式には沖大東島と呼ばれています。

沖縄本島の南東、南大東島の南方辺りに位置する周囲5㎞ほどのサンゴ礁でできた小さな島です。このラサ島で明治末期、今のラサ工業がリン鉱石を採掘して以来、「ラサ」が使われてるそうです。

旭テック

ラサ商事は2010年代に3つの企業を子会社化していて、旭テックも2014年に子会社になっています。100%子会社ですね。石油化学プラントをはじめ、多種多様な分野のプラントや関連設備の設計・施工・メンテナンスが主要事業となっています。

そんな旭テックで、従業員が3月中旬に行方不明となり、捜索発見後事情を確認するなかで、数年にわたり売上原価が不正に先送りされている可能性があることが分かったとのこと。先送りが行われた時期、金額については調査中としています。

行方不明とは尋常ではありません。業務プロセスの適正化を目的として行われていた社内調査で、この不正がバレると思ったんでしょうね。期を跨いだ原価の付替え、、、一人で実行するような行為とは思えません。経営陣の関与が今後の調査の焦点になりそうです。

この事件については、ラサ商事内に調査委員会を設置して、不適切な会計処理の詳細、決算への影響金額を含め、事実関係を解明していくそうです。

シャープ カンタツに関する調査委員会の調査報告書を公表(その2)

シャープは3/12、調査報告書を公表しました。連結子会社カンタツにおける会計不正に関する報告書、本日は第2弾です。初めてご覧になる方は、一日前の同名の記事をお読みいただいてから、この記事を読んでいただければと思います。

米中貿易戦争が止めを刺した

足元で一気に業績を悪化させたカンタツ。その要因の一つに米中貿易戦争があったようです。トランプ大統領が次々と繰り出す中国企業への制裁、カンタツが製造する携帯電話カメラ用のマイクロレンズユニットの販売先が次々と制裁の対象となったんですね。そのため売上が一気に低迷します。

そんな状況下で、シャープ出身の取締役たちが何とか販路を開拓しようとするものの、上手くいきません。製品を売り上げたことにして不正を続けますが、シャープ本体からのいわゆる子会社管理はほとんど行われず、現場の暴走を止めることはできませんでした。

常勤監査役がいない

驚くことにカンタツには常勤といえる状況の監査役がいなかったようです。肩書き上はもちろん常勤がいたわけですが、実際には常にカンタツに勤務する体制は執られていなかったようです。同社は監査役会設置会社ですので、常勤監査役を置く必要があります。会社法違反なわけです。

IPO

業績はかなり悪化し、資金繰りにも窮していたカンタツですが、19年にはIPO(取引所への新規上場)の審査にも対応していたようです。業績の実態としてはとてもIPOなんて望める状況ではありません。IPOを実現するため、という動機もこの不正の原因の一つとなったようです。

もう10年近く前になると思いますが、エフオーアイという会社が、上場後わずか7ヶ月で上場廃止となる事件がありました。上場審査時の粉飾決算が原因です。売り上げのほとんどが虚偽で、カンタツと似た状況です。カンタツがこのまま上場していたらと思うと恐ろしいことです。株券があっという間に紙切れになるところでした。

アルコニックス株式会社(3036) 特別調査委員会 調査報告書を公表

アルコニックスは2/5、同社の連結子会社における不適切な会計処理に関して設置していた特別調査委員会から、調査報告書を受領し公表しました。名古屋営業所の所長が一人で行ってきた会計不正だったようです。ただし、一連の不正による所長の個人的な利得はまったくなかったようです。

アルコニックス三伸 名古屋営業所

不正の舞台になったのは連結子会社のアルコニックス三伸 名古屋営業所です。不正を行ったのは2017年に所長となった人ですが、従業員は他に3名のみ。所長になる以前から実質的に所長同様の役割だったといいます。つまり誰も彼を牽制できない状況。

加えて、本社からの管理もほとんど実効性のあるものではなく、まぁ言ってみればやりたい放題の環境だったんですね。この所長、入社当時は同営業所の所長を父親がやっていたとか。所長の息子だからみたいな扱いもあったかもしれません。

不正の概要

取引先との銅管取引(販売)における売上原価の過少計上と、それに伴う棚卸資産の架空計上というもの。銅が高騰し、取引先に販売価格の値上げを打診するも、難色を示されたため今回の不正を始めたようです。

そしてこの不正を続けることで、帳簿上の在庫が積み上がり、棚卸で事態が発覚することを恐れて次の不正を始めます。棚卸のこの超過した在庫分をまた別の取引先に販売したことにして、後にこれを買い戻すという架空往復取引を続けるようになったんですね。

2013年4月以降

証跡としては2011年当時の架空往復取引が確認されているようですが、アルコニックス三信の販売管理システムのデータが2013年4月以降しか残っていないため、調査報告書ではそれ以前の不正については推計できないとしています。ここは妙にアッサリ。

前回も書きましたが、2010年の東証一部上場に対して、この会計不正がどういう影響を与えていたのか、、、については一切分からないままですね。これで東証は納得するんでしょうか。

アマナ(amana) 架空売上 特別調査委員会の委員構成の変更

株式会社アマナは12/1、「特別調査委員会の調査状況及び委員構成の一部変更・追加のお知らせ」を公表しました。てっきり調査結果が出たんだと思いましたが、調査対象とは別件が発覚したということで、より独立性・公平性が高い体制に変更するということです。

面倒なことに、、、

子会社のアマナデザインにおいて、売上高の架空計上や売上高、外注原価の期間帰属の誤りがあった件を調査するため、特別調査委員会を設置。これが11/4のことでした。1ヶ月近く調査をしてきて、このタイミングで別事案が発覚したわけです。

お知らせから引用すると、「当社を含め外注原価の期間帰属の誤りに関する疑義が新たに発覚するとともに、そのうち1件について、当社経営陣の一部が当時その認識を有していた疑義が生じました。」と表現されています。ビミョーな書き方ですね。

もう少し平たく言うと、「取締役が指示して外注原価を翌期に付けさせ、売上利益の水増しを図っていた」ということでしょうか。取締役も1名だけではなさげな書き方です。

以前の記事でも書いたように、アマナは2020年12月期第3四半期報告書の提出期限を延長申請している状況です。この調子では12/16の提出期限には間に合いそうにないですね。

債務超過

提出期限に間に合わないと、その後8営業日の猶予があり、上場廃止となってしまいます。が、それ以前にこの会社、8月に公表した第2四半期決算で18億円の損失を計上し、206百万円の債務超過に陥っています。

取引金融機関も、借入金返済が遅延していることから新たな融資を渋っているようですし、上場廃止どころの問題ではなくなってきています。