シャープ カンタツに関する調査委員会の調査報告書を公表(その2)

シャープは3/12、調査報告書を公表しました。連結子会社カンタツにおける会計不正に関する報告書、本日は第2弾です。初めてご覧になる方は、一日前の同名の記事をお読みいただいてから、この記事を読んでいただければと思います。

米中貿易戦争が止めを刺した

足元で一気に業績を悪化させたカンタツ。その要因の一つに米中貿易戦争があったようです。トランプ大統領が次々と繰り出す中国企業への制裁、カンタツが製造する携帯電話カメラ用のマイクロレンズユニットの販売先が次々と制裁の対象となったんですね。そのため売上が一気に低迷します。

そんな状況下で、シャープ出身の取締役たちが何とか販路を開拓しようとするものの、上手くいきません。製品を売り上げたことにして不正を続けますが、シャープ本体からのいわゆる子会社管理はほとんど行われず、現場の暴走を止めることはできませんでした。

常勤監査役がいない

驚くことにカンタツには常勤といえる状況の監査役がいなかったようです。肩書き上はもちろん常勤がいたわけですが、実際には常にカンタツに勤務する体制は執られていなかったようです。同社は監査役会設置会社ですので、常勤監査役を置く必要があります。会社法違反なわけです。

IPO

業績はかなり悪化し、資金繰りにも窮していたカンタツですが、19年にはIPO(取引所への新規上場)の審査にも対応していたようです。業績の実態としてはとてもIPOなんて望める状況ではありません。IPOを実現するため、という動機もこの不正の原因の一つとなったようです。

もう10年近く前になると思いますが、エフオーアイという会社が、上場後わずか7ヶ月で上場廃止となる事件がありました。上場審査時の粉飾決算が原因です。売り上げのほとんどが虚偽で、カンタツと似た状況です。カンタツがこのまま上場していたらと思うと恐ろしいことです。株券があっという間に紙切れになるところでした。

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