サンリオでも会計不正? 特別調査委員会を設置

株式会社サンリオは2/9、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。同社のライセンス事業におけるロイヤリティを、あるべき月に売上計上せずプールすることで、任意の月に売上計上を行う期間帰属の操作が行われていたということです。

サンリオ

根強い人気を保つ「ハローキティ」を筆頭に、「マイメロディ」、「シナモロール」などオリジナルキャラクターを多数開発してきた会社です。アジア、欧州、北米などに子会社を持ち、世界でライセンスビジネスを推進するキャラクターライセンサーの大手企業。キャラクターグッズを販売するサンリオショップやコーナーを全国展開するほか、東京多摩地区と大分県にテーマパークを運営しています。

不正の概要

同社のライセンス事業における特定の取引先を管理するライセンス営業本部担当者が、ロイヤリティをあるべき月に売上計上せずプールすることで、任意の月に売上計上を行う期間帰属の操作を行っていたことが、今年1月に判明したといいます。

社内調査の段階で見えてきた情報から、当該操作が行われた金額は最大で1億円強ではないかとしています。顧客に夢を売るビジネスだけに、この手の不正は困ったものですね。

「特定の取引先を管理するライセンス営業本部担当者」というふうに、不正行為の範囲がある程度特定されている様子なんですが、社内調査では全貌が見えず、特別調査委員会を設置する。開示ではこんなふうに読めるんですね。取引先の範囲は特定できても、関与した者の特定なんかは社内調査ではしんどいってことでしょうか。もちろん、今後の調査で取引先等が拡大する可能性もありえます。

パスコ 不適切な会計処理で決算発表を延期

株式会社パスコは2/7、「2023年3月期第3四半期決算発表の延期及び特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。前期、前々期において、利益先送りに関する不適切な会計処理が行われていたということです。ここまで社内調査委員会で調査してきたようです。

株式会社パスコ

パスコは国内外で地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービスを提供する空間情報サービス事業を展開する企業です。セコムの子会社(発行済み株式の71%を保有)ですね。 

過去にも当ブログで取り上げたことがあるんですが、その際は防衛関連企業が続けざまにサイバー攻撃を受けていたという事案でした。同社も被害を受けていましたが、それほど大きな影響はなかったような気がします。同社は、防衛省から基地などの測量業務を受注し、衛星画像を納入していたんですね。

不適切な会計処理

2021年3月期および2022年3月期において、利益を先送りしていたとのこと。それぞれの年度末に完了した案件の利益の一部を翌期に繰り越していたということです。ここまでは社内調査委員会で調査してきましたが、専門的および客観的な見地が必要として、特別調査委員会を設置することになりました。

今回の開示で判明していることは以上です。決算発表を延期してでも、第三者の目線で客観的に調査を行う。これが正しい対応です。先日取り上げた大豊工業ではこの視点を欠いていました。っていうか、親会社TOYOTAの方針だと思いますけどね。

親会社の姿勢は開示にも表れていて、差出人名というか、発信者名のところ、その欄にはパスコと並んで「親会社 セコム株式会社(コード:9735)」と明記されています。親会社としての責任を自覚されているということだと思います。

サムティ株式会社 特別調査委員会を設置

サムティ株式会社は1/16、「2022年11月期通期決算発表日の延期ならびに特別調査委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。11月期通期ですから、いわゆる本決算ですね。

サムティ

サムティは賃貸マンションなどの用地仕入、企画開発、賃貸募集、物件管理、保有および売却、REIT(不動産投信)などのファンド運用、マネジメントをグループ内で完結する「総合不動産会社」です。大和証券グループ本社の持分法適用関連会社で、東証プライム市場上場企業です。テレビ東京で早朝放送しているモーサテのスポンサー企業ですね。

事案の概要

正直なところ何が起こっているのか全く分かりません。今回の開示によると、「当社において、特定の取引先(以下「本件取引先」といいます。)との取引に関連し、過年度決算における会計上の連結対象範囲の判断等についての疑義が判明した」と説明されています。

さらに、「本件疑義についての事実関係の調査、本件疑義に類似する事象の有無などについて、公正かつ透明性が担保された形で実態把握をする必要があると判断し、外部の有識者で構成する特別調査委員会を本日付で設置することとした」というこことです。

特別調査委員会

連結対象範囲の変更(是正)ということだけだとすると、特別調査委員会は大袈裟ですよね。会計監査人の意見に沿って範囲を見直し、訂正すればいいだけのように思います。「公正かつ透明性が担保された形で実態把握」なんてセリフが出てくる辺り、会計不正なんかも出てきそうな感触です。

2019年11月期におけるこの「特定の取引先」との取引は43億円だそうですから、決して小さくはない金額ですね。最近、金利上昇でボコボコに売られてる不動産株、もう一段売り込まれますかね。続報を待ちましょう。

株式会社エルテス 深夜の開示 何があった?

株式会社エルテスは1/14、「連結子会社によるバンズ保証株式会社の株式取得に関するお知らせ」を公表しました。なんと開示されたのは1/14の0時45分です。1/13に2023年2月期第3四半期決算を発表するとしていましたが、それが間に合わず、、、この開示となっています。

エルテス

エルテスは、企業向けにソーシャルメディア(インターネット上のSNSやブログ、掲示板など)におけるネット炎上などのリスクを検知するモニタリングや、その対応方法のコンサルティングなどのサービスを提供提供する企業。東証グロース市場上場で、設立から10年ほどの企業です。

事案の概要

予定した決算発表が間に合わず、その理由が同社子会社のJAPANDXが昨年買収した「メタウン」という会社にあるとのこと。現連結子会社化した際(要するに買収した際)の財務諸表の数字がおかしいことが判明したということです。

実際に連結決算に取り込むべき数字と、「株式譲渡契約に記載の譲渡明細上に記載されていた売掛金、立替金、預り金、未払金、前受金などと差異があることが判明しました。」としています。買収時に実態よりもより良い決算数値を見せられて、より高い買物をさせられたということでしょうかね。

取締役の保有する企業

ややこしいのがこの「メタウン(旧社名がバンズ保証株式会社)」、もともとはエルテスの取締役がオーナーだった会社だったこと。取締役が自分の会社を、自分が取締役を務めるエルテスに高く売り付けたという格好になってるのかもしれません。ちなみに、買収金額は15億6,000万円(うち、12億円は金融機関からの借入)みたいです。

決算発表できませんでした。という開示の中で、この件の調査に対応するため「対応人員の確保」とか言ってる時点で相当ヤバいことになってそう。以前にも書いたことありますが、深夜の開示には相当注意が必要です。社内はめちゃくちゃ混乱しているものと思われます。

株式会社オークファン 特別調査委員会の調査報告書を公表

オークファンは1/13、「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社である SynaBiz において、複数事業年度に渡って不適切な取引及び不適切な会計処理が行われていたとして、特別調査委員会を設置して調査してきました。

調査により判明した事実

調査の結果、以下のような不正又は著しく不適切な取引ないし会計処理を行っていたことが明らかにされています。
① 循環取引とも評価すべき経済実態のない商品取引を実施することにより、架空の売上を作出し計上
② 商品取引の商流の中間に形式的に介入するだけで、実質的には仲介手数料程度の収入を得られるにすぎないのに、売上を総額で計上
③ 倉庫及び物流費の先送り並びに広告売上の架空・水増し計上及び前倒し計上による利益操作

発生原因

こうした不正が発生した原因として、「売上高の成長を過度に追及していた企業風土及び実力からかい離した予算の設定」だとか、「トップダウンで設定された予算の達成に向けた厳しい予実管理」などがあげられています。この手の不正ではよく見かける原因ではあります。

何だかスッキリしない

報告書を読んでいて何だかスッキリしない。報告書ではこれら不正について、「SynaBiz 担当者が・・・」と表現されていて、執行役員を含む経営幹部や親会社の幹部の関与があったかどうかについて、ほとんど触れていないんですね。これだけたくさんの不正が出てくると、そこが一番重要だと思うんだけど。