スルガ銀行と金融庁のその後

1/14の日本経済新聞特集記事「地銀波乱(1)」。タイトルは「スルガ銀救った『預金支援』迫る銀行廃業時代」でした。「2018年秋、地方銀行を所管する金融庁銀行第2課は、主な地銀に預金協力を打診した。ある地銀幹部は、20年前の奉加帳方式が復活したのかと驚いた」とあります。

金融庁のスタンスには疑問

この記事では金融庁関係者の発言として「資金規模が3兆円を超える大きな地銀が破綻すれば、中小の地銀への連鎖は避けられない。新体制で再生するまで信用を補完した」と書かれていますが、避けられないっていうくだり、本当にそうでしょうか。

確かに、必要な情報をしっかり国民に伝えることなく破綻してしまうと、他の地銀への影響は少なくないと思われます。しかし、あれだけの悪いことをしてきた銀行です。その制裁として他に影響を与えない形での自主廃業といった終わらせ方はあったんじゃないでしょうかね。

資金規模が3兆円もある銀行が潰れたんじゃなく、あんな悪いことをした銀行だから潰れた。確かに地銀を取り巻く環境はよろしくないし、業績が悪化している地銀も少なくない。しかし、それらについては再編という方向性も示しながら、潰れるべき銀行が廃業しただけ、というシナリオは描けたと思います。

野党各党が金融庁の責任を追及

野党が金融庁の責任を追及し始めたようですね。もちろん、スルガ銀行を巡ってです。金融庁の苦情相談窓口に、スルガ銀行の悪行に関する苦情は2015年1月から寄せられていたそうですが、3年間にわたって検査等に着手することなく放置していたということのようです。

金融庁の中にも、スルガの経営実態に疑念を持って、検査した方が良いという意見はあったそうですが、スルガ銀行のビジネスモデルを称賛していた当時の森長官に配慮したため、結局何もできなかったということのようです。

投資用不動産向け融資に関するアンケート調査

昨年末辺りで金融庁が全国の金融機関に対して行ったアンケート調査。42項目で20ページほどのアンケートとなっていますが、一つの質問において、直近4年度にわたり融資の実行額や件数などなど、16個とか32個の実績データを記入させるようなつくりになっていて、さながら検査着手前の準備資料を作らされているようなものでした。この調査結果を見て、次のオンサイト検査対象銀行を決めようとするものと思われます。

この後の金融庁の対応

とまぁ、いろいろと書きましたが、よく読むと冒頭の日経の記事には2018年秋のこと、と書かれてますので、一連の騒動に対して行政処分を行い、改善報告書を提出させるまでの工程で取り付け騒ぎ等が起きないよう、つなぎで要請した預金と考えるのが順当なところでしょうか。

他の地銀についても調査したうえで、どこと統合させるかとかも考えているところですか。統合させた地銀も同じようなことやってたんじゃシャレにならないですからね。