日野自動車 三菱ふそうトラック・バスと経営統合へ

日本経済新聞は4/22、「日野自・三菱ふそう統合へ 持ち株会社設立 来年4月上場めざす」と報じました。トヨタ自動車傘下の日野自動車と独ダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスが、経営統合で最終合意する方向で調整に入ったとのこと。持ち株会社を設立し、2026年4月を目標に上場をめざすとしています。

経緯

一昨年には基本合意していた経営統合でしたが、日野自動車のエンジン認証不正への対応が長期化し、米国などで集団訴訟を起こされ、制裁金として12億ドル(約1700億円)を米当局に支払い和解するという展開に。認証不正で1700億円ですよ。これは痛すぎますね。

公正取引委員会による審査のメドもたったようで、早ければ5月にも日野自動車と三菱ふそうの経営統合が最終合意するということです。それぞれの親会社であるトヨタとダイムラートラックが持ち株会社を設立し、日野自と三菱ふそうを完全子会社に。持ち株会社は26年4月を目標に東京証券取引所プライム市場への上場を目指すんだそう。

合併ではなく

合併じゃないんですね。両社は持ち株会社の下に並列するだけで、従来通りの経営が続けられるということのようです。なんとも中途半端な統合になりますが、次はやはり日野自動車を三菱ふそうに取り込む作業が始まるんでしょうね。人事や経理、総務といったいわゆるバックオフィスはそのままというのは非効率すぎます。日野自動車という社名の消失に向けてカウントダウンが始まったと覚悟した方がよさそうです

すき家の異物混入 今度はゴキブリ 全店を一時閉店へ

すき家は3/29、「異物混入に関するお詫びと全店一時閉店に関するお知らせ」を公表しました。今度は昭島駅南店(東京都昭島市)で提供した商品にゴキブリが混入していたとのこと。テイクアウト商品を購入した顧客からゴキブリが混入していたと電話で連絡があったといいます。

ゴキブリ→ネズミ→ゴキブリ

今回の公表文によると、2025年1月に別の店舗においても異物混入が発生していたようです。おそらくゴキブリでしょう。ネットで過去分を調べてみると、2022年にも麦茶の中にゴキブリが、という記事もありました。異物混入の常連さんなんですね。

経営陣による自己満足の再発防止策

ネズミ混入事件を当ブログで取り上げた際、「「提供前の商品状態の目視確認の徹底」というのも気になるところ。目視でより小さな異物(ゴキブリや虫など)って確認できますか?現実離れした本社だけが満足する改善策。現場との乖離があるように見える」と、ルールの実効性などを指摘しました。

あれからわずか1週間でまさに想定していた事象が発生するとはね。問題の本質は目視とかではなく、害獣や害虫が店舗に居ること、容易に侵入できるってことです。今回の開示では約1週間店舗での営業を停止し、専門の害虫駆除会社による駆除施工を実施するとのこと。当然ですね。

しかしこれだけでは不十分。定期的な害虫駆除と、薬品等による害虫等を侵入させない仕組みや店舗構造等の見直しなど、徹底的かつ根本的な対応が求められますよ。あと、一時閉店を「ショッピングセンター内などの一部店舗を除く」というのも気になりますね。閉店すると契約上ペナルティがかかるから?ここでコスト惜しんでどうするの。

アンビスホールディングス 老人ホーム「医心館」で不正に診療報酬を請求

アンビスホールディングスが運営する、末期がんや難病患者向け老人ホーム「医心館」のうち複数のホームで、併設の訪問看護ステーションが入居者への訪問について実際とは異なる記録を作り、不正に診療報酬を請求していたとみられると共同通信が報じました。

アンビスホールディングス

老人ホーム「医心館」は全国120カ所に存在し、ホスピス業界の最大手なんだそう。その医心館を運営しているのがアンビスという会社のようで、その親会社がアンビスホールディングスです。で、この親会社が東証プライム上場企業です。この報道を受けて同社株は本日ストップ安まで売り込まれています。

不正請求の概要等

不正請求手口の類型や共同通信の報道のトーン、すべてサンウェルズの時と一緒みたい。同様の手口がサンウェルズ→スーパーコートと続き、とうとう業界最大手にまでたどり着いた格好ですね。なんや、結局みんな診療報酬の不正請求やってるやん。みたいな。

昨日の一部報道について

アンビスホールディングスも本日になって、「昨日の一部報道について」を公表しています。サンウェルズが第一報で「名誉棄損で訴えるぞ」からの「ほぼ全施設でやってました」という格好悪い対応しちゃったからか、アンビスホールディングスは反発なし。「現在事実関係を確認中」だそうです。

カナデビア(旧日立造船) 無資格者が溶接工事 172件

カナデビアは2/21、「当社向島工場での橋梁等の製作における溶接作業者の資格不備について」を公表しました。一部の橋梁等の製造において、契約等で求められている溶接技能資格を有しない溶接作業者複数名が溶接作業を行っていたことが判明したとのこと。

カナデビア

カナデビアは昔の日立造船。日立グループでもなく、船も作ってないのに日立造船、とよく言われてきた同社ですが、昨年10月にとうとう社名変更しました。現在では、ごみ焼却炉や産業廃棄物処理プラントといった環境装置・プラントの設計・製造・販売を中核事業としている東証プライム上場企業です。

不正の概要

社内調査で、発注先である国土交通省などとの契約で求められている溶接技能資格を有しない作業者に従事させていたことが発覚。問題となる工事は橋梁151件、海洋構造物19件、その他構造物2件の合計172件。この無資格者が施工した溶接量は全体のおよそ10%といいます。

昨年発覚した子会社での船舶用エンジンのデータ改ざん。この調査における横展開で、今回の問題が発覚したようです。新社名でのスタート直後の不正発覚となってしまいましたが、不正の膿を出し切るという意味では同社にとって好機になりそうです。ろくに調査もせず、行為者を切ってお終いにする企業ではこうした効果はないわけです。

金融庁 トヨタモビリティ東京へ立ち入り検査

金融庁が、トヨタ自動車の唯一の直営販売会社であるトヨタモビリティ東京へ立ち入り検査に入ったことがわかったとのこと。損害保険業界の一連の不祥事を受け、ディーラーが兼ねる乗り合い代理店の実態の調査に乗り出したとみられます。

やはりトヨタでも?

金融庁は中古車販売店「ガリバー」を運営するIDOM(イドム)と、同業大手のグッドスピード(名古屋市)にも立ち入り検査に入っていましたね。これらは中古車を扱う業者でした。トヨタモビリティ東京のような新車販売店への立ち入り検査が明らかになるのは初めてだそう。

IDOM(イドム)とグッドスピードについては、自動車保険金の不適切な事案などが確認されており、その調査が目的とみられていましたが、トヨタモビリティ東京については、自動車保険をめぐる実態について調査する目的とみられているようです。

「乗り合い代理店」と「専属代理店」

乗り合い代理店とは、複数(2社以上)の保険会社と代理店契約を結んでいる保険代理店のことをいいます。これに対して、一社の保険会社のみと代理店契約を結んでいる保険代理店のことを専属代理店というんですね。

このところ問題となっているのは乗り合い代理店。複数の会社の保険商品を同時に比較・検討したいという消費者ニーズに対応しているという事業形態でありながら(中立を装って)、その実態は代理店手数料の多い保険を勧めているというのが問題点です。さて、トヨタからも問題点は出てくるんでしょうか。