全銀ネット障害 送金255万件に影響

10/10から2日間、金融機関同士の資金のやり取りを担う全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)のシステムで障害が発生しました。三菱UFJ銀行やりそな銀行など10の金融機関で他行宛ての振り込みができなくなり、合計255万件の送金が滞りました。復旧したのは10/12です。

全銀ネット

全銀ネットはNTTデータにより1973年に開発され、これまで極めて安全性・信頼性の高いシステムとして順調に稼働してきました。その取扱量や加盟金融機関数等において世界に例を見ないシステムとして世界から評価されています。そのシステムでおそらく初めてとなる大規模障害だったんです。

他行あての振り込みなど一部の取引ができなくなる障害が発生したのは、三菱UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、日本カストディ銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫の10行の銀行だそうです。

全ての銀行ではなく、上記の一部の銀行で発生していることから、全銀システムそのものではなく、そこから中継されるシステムで障害が起きたことが分かると思います。今のところ報道等では、「システムの不具合は、全銀システムとつなぐために各金融機関に2台ずつある中継コンピューターで起きたとされています。

事業者さんへの影響は

255万件の送金が滞ったということですが、企業の決済や給与の振り込みが集中する「5・10日」に発生していることもあり、事業者への影響は心配です。インフレで事業が行き詰っているような時世で、この障害が引き金になって会社をたたむことになった事業者さん、、、どのくらいあるんだろうね。

富士通子会社のシステム 住民票の写しなど証明書誤交付

富士通100%子会社の富士通Japanは3/30、住民票の写しなど公的証明書をコンビニで交付する同社のサービスで27日に障害が発生し、横浜市で、申請者とは違う住民の証明書が発行されたと発表しました。

富士通Japan

富士通Japanは富士通の100%子会社で、自治体、医療・教育機関、および民需分野のソリューション・SI、パッケージの開発から運用までの一貫したサービスを提供する企業。AIやクラウドサービス、ローカル5Gなどを活用したDXビジネスの推進も。非上場企業ですが、売上高は6,000億円に迫ります。従業員数もなんと10,000人。

障害の概要

障害が起きたのは、横浜市のマイナンバーカードを使ってコンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書などを交付できるサービス。3/27、3/28の両日で、申請者とは別人の住民票の写しを誤って交付してしまった例が5件(11人分)あったといいます。

そしてさらに、5/1には足立区でも同様の障害が確認されました。誤発行は3人分の住民票写しと、1人分の印鑑登録証明書の計2件で、いずれも足立区内のコンビニで3〜4月に発生したということです。横浜市で発生した誤交付を受けて、富士通ジャパンが他の自治体向けのサービスも点検して判明しました。

他の自治体向けサービスの点検は4月末で完了し、足立区以外の不具合はないとのこと。事実上の終結宣言ですが、マイナンバーカードやら個人の公的証明、かなり皆さん敏感な対象だけに、、、この誤交付はいただけません。親会社の富士通からも何ら開示がされてないってのも気になります。

グローリー 電子マネー決済システムの障害

グローリーは2/24、「2月14日から2月19日にかけて発生した電子マネー決済システム(iD決済)の障害に関するお詫びとお知らせ」を公表しました。同社が提供する電子マネー決済システムの障害により、一部の加盟店でのiD決済において、利用代金が二重に引き落としされる事象が発生したということです。

システム障害の概要

発生した障害はまぁ、冒頭で書いた通りで、すでに原因を特定し、正常に復旧しているとのこと。本件は、サイバー攻撃等によるものではなく、顧客の個人情報の流出はないとしています。二重引き落としされた利用者に対しては、利用者側の手続きなく、後日、カード発行会社から返金されるそうです。

ちゃんと開示しようよ

このシステム障害の件、kuniが知ったのはメルカリのヤフー掲示板でした。適時開示はされておらず、ホームページ上のお知らせのみ。メルカリは適時開示もホームページでのお知らせすらもしていません。まぁ、同社はグローリーにとっての「一部の加盟店」ということで、うちのシステムの問題じゃないから、ということかもしれませんが。

自分で定期的にホームページとか見に行ってる人以外は、たとえ株主であっても、被害に遭われた方でも、このシステム障害の件は知らないということですからね。企業の開示に対する姿勢って、こんなもんで良いんでしょうか。

自社に都合のよくない事案はできるだけ伏せる。こういうのって本当によろしくないと思います。この感覚って、kuniだけなんでしょうか?

KDDI 大規模通信障害(その2)

KDDIは7/5、「2022年7月2日に発生した通信障害に関するお詫び」を公表しました。7/2に発生した大規模通信障害が、7/5の15時36分に全面復旧したことを確認したという内容です。いやぁ、長かったですねぇ。障害発生から実に86時間ですか。KDDIの皆さんも、ユーザーの皆さんもお疲れさまでした。

謝罪会見

そんななか、7/3に行われた高橋社長による謝罪会見が結構話題になっているそうです。会見のほとんどすべてを社長本人が説明し、質疑応答にいたっても、技術的な話も含めて技術担当に代弁させることなく、社長自身が自分の言葉で説明していたというもの。

たしかに、日本の企業でこれだけできる社長さんは珍しいですね。もちろんこの方技術畑出身の方なんですが、とはいえ、技術はどんどん進歩していきますので、社長という立場の方がここまで説明するってのは大変なことです。

一方で組織の経営者としての手腕は、どんなものなのか。これはちょっと分かりません。組織の力を結集して障害対応を進める、という点に関しては、86時間もかかっているわけで、やや課題があったのかもしれません。SNS等では社長の引責辞任を望まない声が多いそうですが、、、。

補償の問題

社長会見でリスク管理の最終局面は事なきを得たわけですが、この後直面するのは、総務省による行政指導と顧客への補償の問題ですね。ちなみに、契約の際の取り決めである約款では「全く利用できない状況が24時間以上続いた場合に限り補償」するということになっているそうです。

ほとんどの顧客において24時間を超えてるものと思われますので、これはエライことになりそう。補償の範囲も金額もまったく想像できません。

今度はKDDI 大規模通信障害

KDDIの携帯電話サービスやインターネット通信で7/2、全国規模の通信障害が発生しました。障害発生から既に2日経過した7/4時点でもまだ完全復旧していないようです。昨年10月のNTTドコモの大規模障害以上の規模、時間の障害となっています。

通信インフラどころではない

大規模通信障害どころではなく、ATMの利用や自動車のサービスが使えないなどの影響が出ているといいます。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及で、通信トラブルの影響が生活全般で深刻化するということのようです。もうこうなってくると通信インフラではなく生活インフラと考えざるをえませんね。

kuniはKDDIのサービスを一切使用していないので、今回の障害の影響はありませんでした。しかし、対岸の火事とばかりは言ってられません。今回のKDDIの障害はルーターの変更作業が原因だとか。昨年のドコモのケースはサーバーの切り替え作業でしたよね。いずれも必ず必要になるハードの交換で発生しています。

KDDIが提供する「au」や「UQモバイル」、格安プランの「povo(ポヴォ)」で音声通話とネット通信などがつながらない。各サービスの個人向けの契約者数は3月末時点で合計3097万件だそうです。凄い量ですね。個人のスマホ以外に会社貸与のスマホを持たされているサラリーマンも多いと思います。両方のキャリアがKDDIだとアウトですね。

こんなふうに通信障害が起こるたび、通信キャリアが別々のスマホ2台利用が今後の標準装備になっていくんだろうな、と感じます。複数キャリアが使えるスマホとエアコン。最近強く感じるんですが、これらは現代人にとって最重要な生命維持装置かもしれません。