「選択」という雑誌の2019年1月号に「三井住友銀が悪質金商法違反」という記事が掲載されました。ここで言っている金商法違反というのは、ファイアウォール規制違反のことで、中でも主に「優越的地位の濫用」という違反行為のようです。
違反行為が行われた経緯と行為の概要
2016年4月に、三井住友銀行副頭取だった人物がSMBC日興証券の社長に就任し、人材交流として証券から銀行の法人営業部隊にも営業員を積極的に出向させます。いわゆる銀証連携を強力に推進しようとしたわけです。証券マンが銀行員と一緒に法人回りをしながら、証券の商品を買わせたり、証券に口座を作らせたりしたというお話です。
その際問題になるのが、ファイアーウォール規制で、今回問題視されているのが優越的地位の濫用という違反行為です。銀行は顧客に融資をしていたり、これから融資しようとしているとき、顧客に対して優越的な関係にあります。お金を借りたい顧客に、その弱みに付け込んで顧客が必要としていない商品を買い付けさせる、といった行為を優越的地位の濫用といいます。
もともとは独占禁止法の定める不公正な取引方法であり、銀行が単独でこの行為を行った場合も違反となりますが、金商法が銀行と証券を分離するファイアーウォール規制の中に取り込みました。ということで、今回指摘されている行為は、銀行の優越的な地位を利用して、グループ会社の日興証券の商品を買わせたという整理になります。
三井住友銀行事件 金融機関の独占禁止法違反
実は平成17年に、公正取引委員会は三井住友銀行に対し、独占禁止法違反を理由として違反行為の排除措置を取るよう勧告を行っています。これを受け、平成18年に金融庁は三井住友銀行に対して行政処分を行っているんです。記憶されている方もいらっしゃると思いますが、優越的地位を利用して金利デリバティブ(金利スワップ)を売り付けていたあの事件です。
行政処分では、金利系デリバティブ商品の取り扱い6か月間の業務停止であったり、法人営業部の新設禁止、内部管理態勢の改善などの命令が出ています。国会でも議論になったりしていた記憶があります。にもかかわらず、なんでまた、こんな、同じようなことを?というのがkuniの率直な感想です。顧客本位の業務運営が求められ、それをいかに実現していくかを各金融機関が知恵を絞っているこの時代にですよ。理解不能です。
もう少し突っ込みどころがあるんですが、少し長くなりましたので、本日のところはこの辺にしておきます。続きは次回ということで。