王子ホールディングスのグループ会社の鳥取森紙業の口座から、現金8億円余りをだまし取ったとして、3/6、詐欺の罪に問われている元従業員に、検察は懲役10年を求刑しました。この事件、第一報は昨年の6月。適時開示はされていなかったため、完全に見落としていました。
不正の概要
舞台となったのは王子ホールディングスのグループ会社の森紙業の子会社の鳥取森紙業という会社です。元従業員は長らく経理業務を担当。金庫の鍵や会社の通帳などを持ち出せる立場にあったようです。親会社の森紙業が昨年3月期決算の過程で不審な伝票に気づき、会計データなどを精査したところ発覚しました。
2014年ごろから23年にかけて、社内の金庫から現金を持ち出したり、会社の口座から預金を引き出したりするなどして、総額8億750万円を私的に流用していました。架空の伝票を作成して社内の会計システムに登録するなどして、残高のつじつまを合わせていたといいます。
元従業員はだまし取った現金を使って競馬を繰り返したほか、趣味や女性との交際費などに消費したということです。長期間経理担当を固定してしまい、子会社のみならず親会社からの管理も行き届かない状況。子会社従業員による横領の典型的なパターンですね。
元従業員にまとまった資産はなく、返済のめどは立っていないと昨年時点でも伝えられていました。裁判は6日で結審し、判決は3月27日に言い渡されるそうです。