証券取引等監視委員会は4/17、取引が活況であるように見せかけるため仮装売買をしたとして、金融商品取引法違反の疑いで、島根県に住む70代の会社役員の男性に課徴金3億3475万円を納付させるよう金融庁に勧告しました。相場操縦による個人に対する課徴金としては過去最高だそうです。
同一人物
監視委員会のホームページでは、この三信建設工業株式に係る仮装売買に対する課徴金納付の勧告と、同株式に係るインサイダー取引に対する勧告の2件が別々に記されています。見た目には課徴金納付命令対象者は別の人物のように見えますが、メディアの報道では同一人物とされています。
三信建設工業は2018年6月25日に、アクティオHD(非上場)による株式公開買付け(後に完全子会社化して上場廃止)を公表しましたが、その事実を知りながら仮装売買と内部者取引を公表日の前まで行ったというものです。この70歳の男性、TOBによる完全子会社化の契約に関する交渉をしていた人物らしいです。
売買の手口
親族や知人の口座も利用して、自身が出している売り注文に、買い注文を対当させて、権利の移転を伴わない売買を6/5まで、計27回、71,000株約定させたとのこと。TOBの価格を少しでも高く決定させたかったんでしょうかね。71,000株のうち28,000株が自己の口座での売却となっていて、自己の口座での買いはありません。
そして、6/5から6/14までの間に、5,000株を266万円で買い付けており、こちらはインサイダー取引で御用となりました。課徴金は70万円です。最後に自己の名義で1,000株だけ買ったのと、知人名義で4,000株買ったのが、インサイダー取引とされています。
売買の流れをみると、仮装売買した後の数量合わせをしただけで、インサイダー取引の意図はなかったのかもしれませんね。三信建設工業はこの70歳の会社役員について、同社の関係者ではないと公表しています。金融庁が公表しているポンチ絵でも、両社の枠の外に描かれているんですね。この70歳、会社役員って、、、どこの誰?