ラサ商事 業績予想上方修正と増配公表で株価急騰

金融、証券

ラサ商事は2/24、「通期業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を公表しました。これを受けて翌営業日の2/27、同社株は急騰(1,601円、216円高)しています。2/27には自己株式の取得終了のお知らせが出ていて、「増配発表前に自社株買いを完了」というのはどうなのか、という点につき読者の方からご質問いただきました。

インサイダー取引?

業績の上方修正と増配を公表する直前まで自己株式の取得を行っていた。つまり公表前に安く自社株を買っていたということですから、インサイダー取引のような見え方になってしまいますね。

自己株式の取得というのは、その株数上限や金額上限を決めて買付けを公表し、例えば買い付け機関に依頼するなどして、そこから先は同社は依頼した先での買付という行為に一切関与しないんですね。そうすることで、買付け行為がインサイダー取引と見做されないようにします。おそらくラサ商事の場合もこういうカタチをとっていると思います。

自己株式の取得終了のお知らせが一日遅れたため見栄えが悪いんですが、2/24の取引終了後同社が取得終了の報告を受け、そのことをもって取締役会で増配等を決議したという流れであれば、さらに問題なさそうです。ただこの場合も、その証跡がしっかり残っているか、増配等を決定したのが本当に、かつ実質的にその時点だったかどうかは問題視されるかもしれません。

監視委員会は動くでしょう

ただ際どいタイミングですし、株価が急騰していることもあり、監視委員会は調査を開始するんじゃないかと思われます。過去に増配という重要事実が未開示の状態で自己株式を取得したとして摘発されたケースもありますしね。いろいろと突っ込みどころはありそうですが、「業績上方修正と増配の公表」をしたいので、自己株式の取得を急がせていた(指図していた)。みたいなことが出てくると厄介です。

「ラサ商事 業績予想上方修正と増配公表で株価急騰」への2件のフィードバック

  1. 取り上げて頂きありがとうございます。お詳しい方のご意見を伺いたいと思いました。私が蒔いた種なので些かのフォローも。タイミングがタイミングだけに勘繰ってしまいましたが、用意周到に策を進めていました。

    定款記載の取締役会での市場買付決定は適法だし、その後の買付状況報告書でも1日に約1,100万円ずつ(9千株強)慎重に買付をしており(当時の出来高は3~6万株/日)ソロリソロリと(用意周到に)買い進めています。2/24に買付終了~増配決定という流れは、少なくとも議事録上は抜かりなく行われていると思います。

    こちらの会社、先述した通り2022年9月(Q2が終わる前!)にも通期の業績上方修正と増配、8月にはストックオプションのための信託での株式取得を公表しています。まあその頃から社長やCFOはずっと考えていたのではないかと思いますが、恐らく公の決定事項は出てこないでしょうね。あとはそのプランが外部に漏れていないか、首謀者が株を大きく買っていないかどうか、くらいでしょうか。株主構成見ても特定の個人は上位に見当たらないし、ストックオプションも取締役が成果を手にできるのは退任時。利益を使って株価(時価総額)を上げることくらいしか表立っては見えません。

    1. いえいえこちらこそありがとうございます。
      限られた紙面ではあそこまでしか書けませんでしたが、全体的にしっかり対応できてるような感じですね。
      気の利いたご意見いつもありがとうございます。
      今後もよろしくお願いいたします。

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