大手商社「兼松」から営業秘密を不正取得したとして、警視庁は9/28、大手商社「双日」元社員を不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の疑いで逮捕しました。持ち出された情報には兼松が管理していた自動車の部品に関するデータや取引先の営業情報が含まれていたといいます。
兼松 双日
兼松は電子、食料、鉄鋼などに強み持つ専門商社。一方の双日は旧ニチメン、旧日商岩井が経営統合した総合商社で、自動車、航空産業、石炭、肥料などの各事業に強みを持つ企業です。売上高で比較すると、商社部門で双日は第11位、兼松は第19位という位置付け。
逮捕容疑
容疑者は兼松で自動車部品の取引を扱う部署に勤務。2022年6月に兼松を退社し、翌月に双日に転職しています。兼松在職中にもファイルを持ち出していたほか、転職後も元同僚の派遣社員のIDやパスワードを使用したとみられているようで、土日にデータベースへのアクセスを繰り返していたということです。
多くの社員が休む週末に、単一のアカウントから多数のアクセスがあるとして兼松が異常を検知し、社内調査に乗り出し被害が判明したとしています。
容疑者は転職前の6月にも自分のアカウントを使って兼松の内部データ約3万7千ファイルをダウンロードした形跡があったといいます。この時点で退職(転職)に待ったをかけることができれば、ここまで大きな事件にはなっていません。
通常、上場企業であれば、退職の〇か月前までには退職する旨を自己申告しなければならない。みたいなルールがあるものです。退職予定者の業務端末の動作記録(ログ)を調査できるIT技術と、退職までの期間を合理的に組み合わせる社内ルールがあれば、回避できたのではと思うんですが。