このところ公正取引委員会(以下、公取委)の動きが活発になっています。というか、メディアで取り上げられる機会が増えているといった方が正しいかもしれません。長崎県の地銀合併問題で真っ向から対立した金融庁が、老後2000万円問題で大炎上したことで一層元気付いている、と見る向きもありますが、、、。
GAFAへの規制
GAFAと呼ばれる巨大なプラットフォーマーへの規制が世界中で議論されていますが、日本においてこれを取り扱うのはまさに公取委です。金融庁が斜陽産業(言い過ぎました)の地銀の指導や統合といった監督を行っているのとは、かなり対照的ですよね。今まさに最も旬な業界を相手にするわけです。おまけにその一角、フェイスブックがステイプルではありますが、仮想通貨など金融領域にまで進出し始めています。「アマゾンが金融に進出したら」という話題も未だ尽きません。
コーポレートガバナンスの課題も
コーポレートガバナンスについて、「上場企業の経営者がリスクを取って成長しようとしない」とか、「上場維持や企業として存続することが目的化している」という話を聞くことが増えました。いわゆる攻めのガバナンスが足りていないのではないかというご意見です。
そういう実態が原因となって、行われてきた合理化や徹底したコストダウンは、検査工程の人員削減や監査部門の弱体化を引き起こし、、、多くの企業で不正・不祥事へとつながっていきました。そしてさらに、コストダウンの流れは下請け企業へも大きな影響をもたらしているのではないかとの懸念が出てきます。
下請け企業への知財吸い上げ防止
下請け企業に対して、より安くて、良い商品を納入させることで、親企業側はコストダウンを図る。それが不当なものであれば当然問題です。政府も、大企業の働き方改革に伴う下請け企業への「しわ寄せ」を防止するため、総合対策の取りまとめに動いてますし、先日書いた「ノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為」にしてもこれら不当なものに対する危機感のあらわれと言えます。
後者の知的財産については、先日公表された調査結果で、企業が取引先から知財の開示を不当に強いられる事例が多数判明したことを受け、公取委が企業や業界団体向けの説明会を開催するなどの防止対策に乗り出しました。同調査結果に基づく個別企業の調査も始まっていると思われます。
権益拡大の好機
さらに、公取委のもう一つの所管である独占禁止法については、コンビニ24時間営業等のフランチャイズ契約の問題で脚光を浴びていますし、課徴金減免を拡充する改正独占禁止法の成立という話題も。なにかと話題が豊富な公正取引委員会。冒頭の話で言えば、組織としての権益拡大の好機であり、下請法、独占禁止法のもとに摘発企業が増加するのでは、、、という気がします。