欧米基準のESG 超々臨界圧 サーマルリサイクル

4/13 日本経済新聞に「石炭火力 狭まる包囲網 三菱UFJ、新規融資中止へ」という記事が掲載されました。石炭火力発電所の新設を取り巻く環境が厳しくなっているため、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が石炭火力発電事業への新規融資を、原則として中止する検討に入ったという記事です。程度の差こそあれ、融資を絞る動きは三菱に限りません。

超々臨界圧

この記事の中では、「CO2の排出が少ない最新鋭の『超々臨界圧』と呼ぶ発電方式も、原則として融資をやめる」と書かれていました。超々臨界圧というのは、石炭を燃焼させて作る蒸気を、従来よりもさらに高温、高圧にして発電する方式で、今の日本の技術では石油による発電とほぼ同レベルの二酸化炭素排出量を実現しています。

ところが、世界の世論はこのことを理解しようとせず、石炭火力は悪、石炭火力発電を推進する企業や、協力、支援する企業は悪。なんですね。このような国際世論が、今回三菱に新規融資の中止という決断を迫ったということですね。

石炭火力に依存する日本の発電にも大きな影響がありますし、今まさに発電能力を増強しようとしているアジアの国々に対する日本の輸出産業としても大きなダメージとなります。温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」に基づく国の目標も、「2030年度に電力に占める石炭火力発電の割合を、17年度比6ポイント減の26%とする計画」というふうに、石炭火力発電はひとくくりにされています。国際基準には勝てないんですね。

プラスチックのサーマルリサイクル

もう一つ似たような話があります。以前にも書きましたが、プラスチックのリサイクルにはいくつかの方法があって、その中に日本が得意とするサーマルリサイクルという方法があります。サーマルリサイクルというのは、廃プラスチックを焼却して熱エネルギーを回収したり、固形燃料にする方法で、日本でのリサイクル率にはこれを含めて計算されています。

ところが、国際機関が各国の取り組み状況としてリサイクル率を計算、比較する際は、このサーマルリサイクルとケミカルリサイクルを含まず、マテリアルリサイクルのみで計算されています。

経済協力開発機構(OECD)の報告書では、このマテリアルリサイクルで各国のリサイクル率が示されており、日本のリサイクル率は22%と、EUの30%を下回ります。ところが日本式で計算すると86%まで跳ね上がるんですね。これほどの差を生んでいるのが、サーマルリサイクルです。

二つの国際基準に悩まされる日本。独自の技術で先行してきたからこそ、こういうことが起きてしまうわけですが、ここはめげずに行きましょう。行政は理解を得るためにコツコツ世界に対して発信していく。民間は国際基準の技術をさらに発展させていく。両面からやっていかざるを得ないですね。

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