ドンキホーテホールディングス(現在のパン・パシフィック・インターナショナルHD)株式の取引不正推奨事件で金商法違反(取引推奨)罪に問われた前社長、検察側は「経営トップの立場で規制に真っ向から反し、市場の公正性と健全性を大きく損なわせた」として、懲役2年を求刑しました。
事件の概要
前社長は在任中の2018年8月上旬、ユニー・ファミリーマートHD(現在のファミリーマート)によるドンキHD株に対するTOB(株式公開買付)などの連携強化策について知り、公表前の同9月、知人男性に利益を得させる目的でドンキHD株を買うよう勧めたという事件。
知人男性は公表前に約4億3千万円でドンキHD株を購入。公表後に売却し、約6,900万円の利益を得たそうです。この金額のデカさからみても、前社長、逃げ切れないだろうなぁと思ってました。
当初の言い分は
もともとは内部情報を得た人物が、自身で株などの取引によって利益を得る行為のみが規制対象でしたが、2014年に施行された金商法改正により、インサイダー情報を漏らした側も規制されることになりました。この法令違反で逮捕者が出たのは初めてだと思います。
2020年夏の2度目の強制調査の時までの言い分。「(知人とは)18年8月16日に会食した。決算発表後、材料出尽くしのために株価が下落した。なぜ下がるのだ、という思いがあり、知人に『うちの株は割安だと思うよ』という趣旨のことを言ったかもしれない。正確には覚えていないが」。みたいな感じでした。
被告人質問では
2014年施行の改正金商法で取引推奨行為が禁止されたことを知らなかったとした上で、被告人質問では「知人男性によく思われたいとの見えもあり、推奨してしまった。私の勉強、見識、モラルの不足が原因だ」、ですと。なんとも情けないことになってます。