ダイイチは6/24、「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」を公表しました。社外からの指摘により、一部不適切な会計処理が行われていたことについて調査してきた結果ですね。「社外からの指摘」というのは札幌国税局による税務調査だったようです。
通常とは逆の会計不正
ダイイチは北海道帯広市や、旭川市、札幌市などにおいて、食料品主体のスーパーマーケット事業を21店舗展開している企業でした。
よくある会計不正ってのは、今期業績が芳しくなく、翌期以降の売上等を先行計上することで儲かってるように見せるというパターン。同社では真逆で、売上原価や経費の先行計上など、今期の利益を抑えて次の期の利益を大きく見せる(確保する)という会計不正なんですね。
2014年9月期にはこうした会計不正が行われており、2021年9月期まで毎年継続して行われていました。これらは経営陣(取締役レベル)が主導して行っており、その指示に基づき全社的に行ってきたもののようです。調査委員会が調査している最中に電子データを削除し、これを復元不能にするよう工作までしていたと。
不正の動機
会計不正を行ってきた動機というのも珍しいです。報告書では、「株主に対して右肩上がりの業績の推移を示すことにより、経営の自由度を高める」ためということです。つまり、株主からの経営に対する干渉を排除したいという自己保身的な動機だったということなんですね。
最近、四半期開示について議論が盛んになっていますが、ダイイチにおいても似たような弊害が出ていたということかもしれません。毎期毎期利益をあげなきゃ株主が黙ってない。そもそも企業経営なんて長期で語るべきものでしょうにね。