上場企業ホームページにフェイクニュースで株価操作

ジーエヌアイグループは3/10、「当社子会社ウェブサイトにおける偽情報の掲載と対応について」を公表しました。連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司のホームページ上に、生成AIによる制作と思われるフェイクニュースが掲載されたということです。

ジーエヌアイグループ

ジーエヌアイグループは、中国を拠点に、バイオ技術を活用して新薬探索・臨床開発から製造、販売まで垂直統合型で事業を行う企業。主にアジアで患者の多い疾患をターゲットにした治療薬を開発している東証グロース上場企業です。

事案の概要

掲載されたフェイクニュースは、「新薬の臨床試験が失敗した」といった情報のようですが、これを受け3/5の東証で同社の株価は2475円(700円安のストップ安)まで売られました。こうした状況に対する対応が(そんなことありませよという)冒頭の開示なんですね。

この事案は上場企業各社しっかり認識する必要がありそうです。上場企業やその子会社などのホームページに侵入し、フェイクニュースを掲載することで簡単に株価を急騰、もしくは急落させることができるという事実です。行為者はあらかじめ同社株を買い付け、もしくは売り付けておけば大儲けという手口です。

企業のホームページでのお知らせやニュースなんて信用できないってことになっていきそうです。やはりこうした情報は適時開示で公表するべきですよね(もちろんTDnetが全面的に安全ってわけでもないけど)。子会社のHPでフェイクニュース流されて、それへの否定を親会社のHPだけでやってる(適時開示はしていない)ジーエヌアイグループの対応はイケてません。

セブン&アイ・ホールディングス 大規模な自己株取得をめぐる盛大なインサイダー祭り

セブン&アイ・ホールディングスが大規模な自己株取得を実施する方向で調整していることが、複数の関係者への取材で分かった。とのこと。KuniはBloombergの記事で読んだんですが、ほかの報道機関でも出てるのかな?

自己株取得

このところカナダの同業者からの買収提案やら、創業家による買収など、様々な動きが報じられてきた同社。今回報じられたのは、2兆円規模の自己株取得という話。6日開催の取締役会で決議し、同日午後にも発表するといいます。複数の関係者への取材で分かったそうな。

マーケットは

このいわゆる観測記事(観測記事と呼ぶべきかどうかはビミョー)により同社株は一時10%高と大幅高。もちろんこの関係者なる人物から情報を仕入れて、公表前に買った投資家はインサイダー取引が問われることになるんですが、報道で観測記事を読んで買った投資家はインサイダー取引に問われることはありません。

あくまで観測記事を読んで行動しただけという判定なんですね。しかし、今回のようなケースはどうなんでしょう。メディアにリークした奴がいるわけで、メディアが報じたのが先か、その前に動いたのか、、、ビミョーです。報道が先走って観測記事を書く行為ってホント面倒なんですよね。

リークする奴ってのは、少しでもメディアと仲良くして、自社にとってネガティブな報道を控えてもらうという目的があるんだろうけど、マジで困りものです。メディアにリークする奴を取り締まるルールって出来ないもんでしょうか。報道の自由なるものが障壁になるんだろうけど。

ワイエスフーズ 代表取締役がヨシムラ・フード・ホールディングス株式でインサイダー取引

株式会社ワイエスフーズ(上場しているワイエスフードとは別の会社)の代表取締役が、2023年に行ったヨシムラ・フード・ホールディングス株式の買い付けに対して、証券取引等監視委員会はインサイダー取引であるとして、札幌地方検察庁に告発しました。

インサイダー取引の概要

ワイエスフーズは北海道でホタテの加工を行う非上場企業でした。2023年にこの会社を上場企業のヨシムラ・フード・ホールディングスが買収(株式を譲り受ける)するという事実を知りながら、当該事実が公表される前にヨシムラ・フード・ホールディングス株式を買い付けたというもの。

つまり、自身が経営する会社を買収しようとする上場企業の株で儲けたって話ですね。普通は買収される側の株式でインサイダーが起きるものですが、このケースは反対です。ヨシムラ・フード・ホールディングス株式は800円くらいの株価が事実公表後に1500円近くまで上昇しています。

いわゆるホタテ長者が、中国が日本からの輸入の全面停止に踏み切る直前に身売りし、ついでにインサイダー取引でも儲けていたという事案。そしてさらに、この代表取締役、知人3名にもこの情報を伝えて儲けさせています。

地検への告発

通常のインサイダー取引では、金融庁長官等に対して課徴金納付命令を発出するよう勧告しますが、当事案は金融商品取引等の公正を害する悪質な行為であるとして、地検への告発となっています。

三井住友信託銀行の元行員インサイダー取引 3千万円超の利益?

昨年11月に行員のインサイダー取引の疑いを公表した三井住友信託銀行。1/17の報道によるとこの行員は3,000万円超の利益を得ていたということです。

おさらい

行ったインサイダー取引は複数回で、行員が10月30日に会社に申し出たことで発覚したということでしたね。翌日の11月1日付で懲戒解雇になっています。この時点では行員の立場や取引の内容、どのくらいの利益を得ていたかなどの情報は公表されていませんでした。

取引等の概要

その後の報道ではそれらの情報が伝えられています。まずこの行員は信託銀行の中枢であり、資本市場の管理人でもある証券代行部門の営業部隊に所属していた部長職。そして、取引は企業のTOB(株式公開買い付け)情報に基づいて株式を売買していたということ。複数回の株取引をした結果、3千万円超の利益を得たとみられるとのこと。

昨年末に相次いだインサイダー取引。金融庁出向中の裁判官、東証の職員、そしてこの三井住友信託銀行の行員、いずれもTOBに関する情報をその職務を通じて知って行為に及んでいます。

金融庁の件も東証の件もインサイダー取引で得た利益は数百万円でした。に、比べると3,000万円超の利益ってデカいですね。いったいどのくらいの元手で取引してたんでしょ。相当金融資産持ってたのか、どこかから融資受けてやってたのか、信用取引でレバレッジ効かせてたのか・・・。

LINEヤフーの韓国従業員にインサイダー取引で1,464万円の課徴金納付命令

証券取引等監視委員会は1/17、「株式会社出前館との契約締結交渉者の従業員から伝達を受けた海外居住者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。

事案の概要

出前館 との資本業務提携交渉に関わっていたLINE従業員から事前に情報(LINEを引受先の一つとする第三者割当増資を行い、同社と資本業務提携する)を得て、出前館株の取引を行ったというもの。課徴金の額は1,464万円です。

納付命令を受けることになるのはラインヤフーの韓国子会社の従業員で、家族名義で約1,108万円で買い付けを行っていたとのこと。

非居住者であっても

韓国からの買い付けということで、韓国の証券会社を通じた取引だと思われますが、こうしてちゃんと調べられ、インサイダー取引が見つかってしまうわけです。

監視委員会の公表文の最後のところに、「本件については、香港、大韓民国、シンガポール、タイ、アメリカの各金融規制当局から支援を受けている。」、「 また、日本取引所自主規制法人から提供された情報等も参考として、実態解明を行ったものである。」と書かれています。非居住者(海外からの買い付け)であっても、、、見つかっちゃうんです。