証券口座乗っ取りで不正売買 そろそろ証券取引等監視委員会も

日本取引所グループ(JPX)は、サイバー犯罪集団が証券口座を乗っ取る事例が相次いだことを受け、証券会社や日本証券業協会、証券取引等監視委員会などと密に連携していることを公表しました。さらに傘下の日本取引所自主規制法人に特別チームを設けて監視にあたっているとも。

口座の凍結

不正売買による相場操縦が疑われる取引について証券会社などと連携し、把握した不審な取引を証券会社側に伝えることで、実行犯の口座の凍結などの対応も可能になりつつあるということです。ただこの口座凍結って法的な措置ではありませんので、あくまで証券会社の判断で行われているということでしょう。

ただ、こうした情報は当然証券取引等監視委員会にも共有されますから、監視委員会から金融庁へ勧告したり、事態の重さを考慮して、検察庁に告発することで起訴させることも可能になるかもしれませんね。バンバンやっちゃってください。

また新しい業務が

一方で、証券会社には、口座の凍結といった事後の対応にとどまらず、入り口での対応も求められそうです。口座開設時の本人確認の強化や、その後の取引のモニタリング。異常を察知した場合の当局への報告などなど。悪さする奴が出てくるたび、こうして証券会社の管理業務は増えていくわけです。

東証社員インサイダー事件 起訴内容認める 懲役1年6月求刑

東証社員インサイダー事件の初公判が4/24、東京地裁でありました。検察側は細道被告が業務上閲覧できた部署内の共有情報を父親に繰り返し伝えていたとし、細道被告は罪状認否で「間違いありません」と述べたたとのこと。伝えられた情報をもとに株を不正に取引したとしてインサイダー取引違反の罪に問われた父親の正人被告(58)も起訴内容を認めました。

おさらい

上場部開示業務室に所属し、上場企業の未公表情報に関する相談を受けていた細道被告が、TOB情報を得て、対話アプリのLINEの電話機能などで父親の正人被告に伝達。正人被告が情報が公表される前に合計3銘柄を取引して約409万円を不正に設けていたという事案でしたね。

懲役1年6月求刑

検察側は「市場の公正性と健全性、一般投資家の信頼を低下させた程度が大きい」などとして、2人に対し懲役1年6月、罰金100万円を求刑。父親の正人被告には追徴金約2116万円も求めました。判決は5月9日に言い渡されるということです。

409万円の利益に対して2人とも懲役1年6月。罰金が200万円に追徴金2116万円。インサイダー取引がどれだけ割に合わない不正かがよく分かりますね。

動機が

父親の正人被告が未公表情報を求めていたようで、これに対して細道被告は被告人質問で断り切れなかった理由について「父親との関係があまり良くなく、改善したい気持ちがあった。インサイダー取引は必ず露呈すると認識していたが、喜んでもらいたいという気持ちを優先してしまった」と語ったそう。東証元社員は(DVなどを背景にした)被害者だったんでしょうか。

東京証券取引所 株式の最低投資金額、10万円程度に引き下げ

東京証券取引所は、株式投資に必要な最低投資金額を10万円程度に引き下げるよう全上場企業に要請するようです。現在は上場規程で50万円未満を努力義務として定めています。投資単位の大幅な引き下げで、若年層も少額から日本株を購入できる環境を整えたいとの考え。

新NISA

NISA等で日本株が不人気な理由の一つとして、最低投資額が50万円必要なこと、値嵩株ではさらにそれ以上の金額になることが挙げられてきました。そのため、最低投資額が少額で始められる米国株式に流れてきたというわけです。

最低投資額引き下げ

最低投資額を引き下げることには反対しませんが、日本特有の「100株単位でしか売買することができない単元株制度」の見直しを行うべきでは?と考えます。上述のように欧米の株式等が小さな金額で取引できるのは、1株単位での取引が可能だからなんです。グローバルスタンダードに合わせましょうよ。

「最低投資金額を10万円程度に引き下げる」という方法は、上場している企業に努力してもらうというスタイル。一方、会社法を改正して「1株単位での売買を可能にする」という方法は、東証や行政等が汗を流せば済む話。なんでも上場企業に丸投げというこの体質はいかがなものかと。

日経平均株価 年末に44,000円 とな

先日、楽天証券のチーフストラテジストが公表したマーケット見通し。強硬だった米国の関税政策に緩和の兆しが出ていることを受け、世界的な不況や長期低迷を回避できるとの見方が強まってきたことから、日経平均株価は年末めどに4万4000円まで上昇するという見方を示していました。

中々の強気

関税上乗せ部分を90日間停止したり、電子関連製品(アップルアイフォンに配慮)を相互関税の対象から除外したりと、少しづつ落としどころを探る動きが出てきています。確かに「トランプ関税えらいこっちゃ」、という市場の急落懸念は相互関税の公表時期がピークだったようにも見えますね。

この方の主張は、関税によって打撃を受けるのは米国の企業であり、米国民であるという主張で、「米国が民主主義国家である限り、最終的には世論が制する。関税の強硬姿勢は緩み、株価を押し上げる方向に作用する」というもの。

確かにおっしゃる通りなんだけど、これに対してトランプ氏が唱える米国産業の復活というシナリオをどのくらい織り込めるのかという面が注目されます。復活の条件をしっかりと確立しながら、国民の経済環境を守り抜けるのか。ここが注目されますよね。

まぁ、いろいろな見立てがあるでしょうけど、日経平均株価が年末に44,000円という主張はなかなか勇気ある見立てだと思います。ん~、そうなってほしいけど。

トランプ関税ショックで株価暴落 新NISA等で投資を始めた皆さんへ

自動車関税や相互関税など、矢継ぎ早に関税を表明・実行するトランプ氏。世界中の株式市場が暴落することとなりました。4/7には東京市場も日経平均で一時3000円近く下げました。ブラックマンデーやリーマンショック、新型コロナショックと色々見てきましたが、今回はそれらを上回るインパクトです。

新NISAは長期投資

新NISAがスタートし、初めて投資の世界に入った方、あれからすでに1年以上経過したのかな。当時の株価から見てもすでにかなりの評価損が出ていると思います。結論から言うけど、長期投資なんだから絶対損切なんてしないでくださいね。3年に一回くらいのペースでこうした急落場面は来るものです。

積み立て等の長期投資がなぜ上手くいくかというと、だれも手が出せないような急落場面でもコツコツと買い付けを行うからです。長期投資なんですから、「ここで買ってみよう」という選択はありだけど、「怖くてしょうがないからとりあえず損切りしちゃおう」なんて選択はくれぐれもしないように。

ゲームチェンジ

とはいえ、全世界関税合戦ともなってっくると、戦後確立されてきた自由貿易という面で最適化されてきた基本ルールが強制終了されることになります。そのインパクトが世界同時株安を招いているわけです。そう簡単に元の世界には戻らないでしょうが、関税に制限を受けながらでも、必ず経済は新しい世界で復活すると思います。

現時点で投資家として最も気持ちが楽になる選択が損切りです。最も気が楽になる選択こそ多くの投資家が陥る失敗であり、その逆を選択する投資家が成功する。投資の世界で不変なことはこの心理なのです。新投資家、ガンバレ!