ソーシャルレンディング エーアイトラストに2回目の行政処分

何度か取り上げてきたエーアイトラスト、2月下旬に証券取引等監視委員会から行政処分の勧告が行われていましたが、3/8 金融庁(関東財務局)が2回目の行政処分を行いました。今回は第二種金融商品取引業の登録を取り消すという内容です。まぁ、予想された通りですね。

また、業務改善命令としては、顧客が出資した財産の運用・管理の状況等を精査して、顧客への説明を徹底することとか、出資した資金の顧客への返還に関する方針を策定して速やかに実施すること、とかが求められています。しかし、こういうのって履行されるんですかね。経営陣はまだ所在はっきりしてるんでしょうか。

ソーシャルレンディングってどうなんですかね

今でもこのソーシャルレンディングの世界って、アフィリエイトなんでしょうかねぇ、宣伝するというか煽るというか、そんなサイトがたくさん出てきます。各社の利回りランキングとかも掲載してるんですが、8%、10%とか、中には13%なんてのもあります。こうしたサイトに煽られて素人投資家が手を出していると思うと、、、。

この低金利で銀行は貸し出す先がなくて困ってます。地銀辺りはかなりリスクをとった先にも融資を拡大してきており、その積極性に警鐘を鳴らす向きもあります。そのような時代であるにもかかわらず、銀行から融資を得られない先がこのソーシャルレンディングの貸出先ですよね。投資家の皆さんはそういうことを考えたことあるんでしょうか。

さらに、10%の負債を抱えてもやっていけるということは、それだけ儲かるビジネスであるということです。それほど収益性の高いビジネスがあるとは考えにくいですし、そのビジネスに本当にずば抜けた収益性や将来性があるのなら、既存の金融機関が喜んで融資します。

その他の業者も

ネットで検索するとたくさん出てくるソーシャルレンディング業者。エーアイトラストの場合は経営者たちの経歴を見て、いかにもという感じでした。他の業者についても、既に行政処分を受けているみんなのクレジットだとか、maneoマーケットだとか、、、。なにやら一時期の悪徳FX業者の一斉摘発時期に似てきましたね。

証券取引等監視委員会と各地の財務局が検査に入ろうにも、なかなか全部を検査しきれません。一年、二年かかってしまうんじゃないでしょうか。悪徳業者はその辺りのことまで計算しているかもしれません。自分たちの順番が来る前に撤退、みたいな。

kuniはその他の業者まで全てを調べたわけではありません。中にはまともな融資先しか相手にしない、まともな業者もあるのかもしれません。それでも皆さん、是非慎重に投資してくださいね。それから、エーアイトラストに投資された皆さんの資金、できるだけたくさん戻ってくることを祈っております。

東証 市場区分見直し(その2)

3/10 日本経済新聞の記事に、東証の市場区分見直しに関するニュースがありました。現在の東証の問題をいくつか指摘していますが、おそらくこの指摘は東証内部で検討されている改善に向けた議論の中で出てきている課題とも一致してるんでしょう。

東証市場区分の課題

① 1部上場企業数が多すぎる
② 1部上場企業に時価総額や売買代金が小さい企業が多い
③ 2部やマザーズ経由の内部昇格の方が1部直接上場よりハードルが低い

記事ではこれらの点を指摘しています。③が原因となって、①②のような状況が生まれているということです。③の内部昇格ルートに関するレギュレーションは2012年に変更されているそうで、それまでは500億円の時価総額が必要だったのが、40億円に引き下げられています。

最高位市場の創設

2012年のルール変更がこのバランスの悪い市場を作った原因である、という批判を受けながら、現在の1部上場銘柄から時価総額基準で2部降格銘柄を大量に出すとは思えないんですよね。東証の責任問題を軸にして新しい市場区分を考えていくのが正解のような気がします。

東証自身が、最も批判を浴びることなく、最高位市場の上場銘柄数を減らす方法はというと、1部市場の上位に最上位市場を新設することでしょう。「特定市場」とかね。英国ではプレミアムと呼ばれるそうですが。

プレミアムには約500社が上場しているそうですから、日本の特定市場も日経平均採用225社に300社程度を加えて厳選500銘柄程度に。時価総額基準とESGにおいて世界に通用する銘柄群としましょう。当然、ガバナンスに関しては東証が唱えるコーポレートガバナンス・コードを十分に満たしている企業です。

過去5年間に不正・不祥事を起こしている企業は特定市場から除外するという基準もあっていいかもしれません。しかしこれやると日経平均採用銘柄で特定市場から漏れる銘柄も出てきそうですね。いずれにしても、まず最高位市場の創設が行われると思います。

特定市場 1部市場 2部市場

これで、最高位市場には500銘柄程度。これに1部市場1600銘柄、2部・ジャスダック・マザーズが1500銘柄。2部市場とジャスダック、マザーズは統合して2部市場でいいんじゃないでしょうか。それでもまだ1部市場はやや多すぎますか。

1部から2部への降格は、2012年以前の昇格時の時価総額基準500憶円で見直しというのはどうでしょう。500億円未満で何社くらいが降格になるんでしょうね。ただし、これをやると東証が責任を問われかねないので、3年程度の経過措置付きということで。

以上、kuniの勝手な新市場区分予想でした。日経によると、東証から今月中にも改善案が公表されるらしいです。

IHIでまた検査不正

3/9 日本経済新聞の記事です。IHIが3/8に記者会見を開き、航空機エンジン整備での検査不正を発表したとのこと。見つかった不正は2年間で211件。そのうち208件は必要な資格を持たない従業員が検査を行っていたようです。残り3件は規定と異なる手順で検査していたというもの。

3/5 日経でも報道

「IHIが民間航空会社から受託しているジェットエンジンの整備事業で不正が発覚し、国土交通省の立ち入り検査を受けていたことが4日、分かった。」 記者会見より前、この報道が先行しました。これを受けて同社が発表したウェブ上のお知らせがいけてません。

「本日の一部報道について」というタイトルで、「本日、当社の民間航空機エンジン整備事業に関する不適切な事象について、日本経済新聞朝刊などにおいて報道がなされましたが、これは当社が発表したものではありません」と知らせています。これに続けて、立ち入り検査で不適切な事象があったことが判明したことを認めてはいますが、書き出しの他人事のような台詞には違和感を覚えた方が多かったのではないでしょうか。今もそのまま掲載されています。

不正の常連

日経記事にも書かれているように、IHIは不正・不祥事の常連です。「本日の一部報道について」に見る開示の姿勢が、同社の体質、カルチャーを示しているような気がします。加えて最初の報道から3日経ってからの記者会見。こんなやり方だから新聞で取り上げる方にも力が入るというものです。

ちょっと脱線しますが、ホームページでの公表については是非KYBの姿勢を見ていただきたいです。ほとんどの会社が不正・不祥事に関するニュースやその後の更新情報を、プレスリリースのコーナーで言い訳程度に表示していますが、KYBは違います。トップページにほぼ全面にお詫び記事とともに更新ニュースを掲載しているんですね。本来のホームページのコンテンツはほとんど隠れてしまっています。

こんなところに会社の姿勢が表れていると思いますし、そのためかマスメディアのその後の追及も少ないように感じます。内部通報で発見対処できたことも含めてIHIとは非常に対照的です。

国内重工メーカーの優等生?

IHIはプラント建設や発電用原動機などの事業再編を進めており、「中核部門と非中核部門の線引きをはっきりさせている。国内重工メーカーの中では最も改革が進んでいる」と評価されていました。にもかかわらず、ガバナンスは付いてきてないんですね。

同社のグループビジョンでも、「航空エンジン事業において主導的地位を確保するとともに、宇宙開発事業においては推進系技術を中核として産業化を確立する」とあります。中核事業でこのありさま。そして、不正に対する残念な企業風土。昨年4月に内部通報があったにもかかわらずその好機を逃し、今回も初動が3日間遅れ、いやぁ、本当に残念な会社です。

765台が認定不適合 三菱電機のエレベーター

3/5 日本経済新聞の記事です。また、三菱電機のエレベーターで国の認定に適合していないブレーキアームが使用されていたとして、国土交通省が原因の究明と再発防止策の報告を求めたというニュースです。同社は今夏をめどに全てを認定適合品と交換するとしています。

国交省によると、三菱電機自身も適合しない材料を使用したブレーキアームに関して、再度強度計算をしており、必要な強度を有していることが確認されているとしてます。また、指定性能評価機関である「日本建築設備・昇降機センター」からも、このエレベーターについて安全性に問題はない旨の見解を得ているそうです。

エレベーター巻上機のブレーキアーム

ここまで読んでいただいた方には、かなり危険なお話のように見えたかもしれません。ただ、今回問題になっているブレーキというのは、巻上機の主たるブレーキではなく、各階にある扉が開いたまま動き出そうとした場合に自動でブレーキをかける。そのためだけのブレーキのようです。

おそらく通常は作動することがないブレーキなんでしょうね。資料上では「主たるブレーキと機械的に独立させた補助ブレーキを設ける」と書かれています。しかし、問題の本質は非常に危険なもので、主たるブレーキの方にも強度が足りないブレーキアームが使われていた可能性だってありそうです。

不適合は、エレベーター巻上機のブレーキアームを製造する鋳物メーカー(三菱電機の子会社)が生産システムに材料情報を登録する際に入力を誤ったことにより、強度の低い材料が使われてしまったとあります。三菱電機のチェックはどうやら効いていないようです。

戸開走行保護装置の義務化は平成21年9月から

戸開走行保護装置というのは、かご及び昇降路の全ての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止し、人が挟まれるのを防ぐ装置のことだそうです。建築基準法施行令の改正により、この装置が21年9月から義務付けられています。

一方で今回三菱電機が製造・設置したエレベーターで、この装置の認定仕様に適合しない765台のエレベーターは、平成21年10月から平成30年12月までの間に出荷されたエレベーターであるとのこと。この辺りのことについては、日経は報道していません。

ひょっとすると、法改正後に製造したエレベーター全部ということかもしれません。今回三菱電機が届け出たのは大臣認定番号で見て5種類のエレベーターのようですので、少なくともこの5種類のエレベーターは全滅ということですね。 

三菱電機では、昨年も別の子会社でゴム部品の検査データ不正が発覚しています。この事件を受けて、品質管理態勢の見直しを進める中でこの事案を自ら発見できたというところが、唯一救われる点です。

著作権法改正 ダウンロード違法化 今度は文化庁が

ここまでの背景・経緯

文部科学省 文化庁は、海賊版サイトを巡る著作権法の改正に向けて、文化審議会著作権分科会を立ち上げ、議論を重ねてきていました。先月、その検討結果を踏まえて著作権分科会報告書が出されました。

そして2/22 自民党文部科学部会・知的財産戦略調査会合同会議なる会議体に、著作権分科会報告書の概要をまとめた資料を配布したわけですが、この資料が審議会の意見を無視しており、自民党の判断を誤らせかねない不正確な情報が提供されているとのこと。明治大学知的財産法政策研究所が同配布資料の検証レポートを発表していて、文化庁の姿勢を批判しています。

自民党の文部科学部会は先月上記会議を経て法改正を了承したものの、党の最高意思決定機関である総務会は、関係者への説明不足などを理由に了承先送りを決めています。これも異例のことらしいです。先ほどの研究所以外にも異論を唱える方が少なくありませんでしたからね。

明治大学知的財産法政策研究所の検証レポート

検証レポートの内容は、違法ダウンロードの対象拡大に対する審議会における委員の意見が加工されており、対象拡大への積極派が大多数のように見える資料が配布されていたというものです。

検証レポートは、「4人の慎重派委員の意見そのものを省略し、2人の慎重派委員の主張の重要部分を省略、慎重派の2名の意見の一部だけを切り取り積極派であるかのように誤誘導、積極派の人数を水増しするなどの処理を行っており、議論の正確な状況が伝えられていない」、と批判しています。

続けて、「無限定な対象拡大に積極的な意見は少数派であるにもかかわらず、これが多数派であったような誤解を誘っている。政策判断を行う上で、審議会における議論の状況を正確に把握すべき立場である与党に正確な情報が提供されていない点は、立法過程における極めて重大な問題をはらんでいる。」とも書いています。

文化庁のチェリーピッキング

レポートは他にも、配布資料で諸外国を引き合いに出して、ダウンロードを全面的に違法とすることが、国際的な潮流であると読めるような説明をしていることについても、比較対象国の選択がフェアでない。と言っており、文化省のチェリーピッキング※1であると批判しています。

行政機関が法律をある一定の方向へ修正(改正)しようとすることは珍しいことではありませんが、わざわざ専門家を招いて、審議会で議論してもらった結論をひっくり返してまで進めるのはいただけませんね。文化庁長官の宮田氏は生粋の芸術家のようですし、著作権に関する思い入れは強いんでしょう。今回のこのニュース、文化庁の不適切配布資料、みたいな感じで炎上しちゃうんでしょうか。

※1 数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術