仮想通貨は今後どうなる?

最近めっきり仮想通貨の話題が聞かれなくなりました。まぁ、あれだけ通貨の流出事故が発生すると皆構えてしまいますわな。ビットコインの価格も6,200ドルほどで膠着状態のようで、価格変動のニュースもサッパリです。

日本仮想通貨交換業協会

金融庁は資金決済法に基づく自主規制団体として日本仮想通貨交換業協会を認定しました。証券界にも同じように日本証券業協会というのがあります。自主規制団体は業者として守るべき規則を制定し、その遵守状況を検査したりもします。現段階では同協会にそれだけのリソースはないと思いますが。

あっ、失礼しました。今同協会のホームページを見ていましたら、会員に対する検査という項目があり、検査すると書いてますね。ほかにも会員に対する勧告、処分も行うとしています。それでも、「協会の業務内容」という資料、1ページで終わってますから、まだまだこれからですね、コンテンツ充実させていくのは。

仮想通貨交換業者の登録審査

約160社が参入の意向を示しており、そのうち50社程度が登録に向けて具体的に動いているらしいです。ところが、登録審査の細目について、まともに会話ができる業者がほとんどいないようで、記入必須項目も平気で空欄で提出してくるとか。銀行や証券を相手にしてきた金融庁にしてみると、「レベル低すぎ」って感じみたいですね。

金融庁が最も気にしているのは、やはりレバレッジをどこまで許容するか、という点だと思います。証拠金の何倍までの取引を許すかということですね。kuniが以前調べたときは20倍なんて業者、普通にありました。この問題を解決しないと、金融庁は首を縦に振らないと思ってましたが、協会が既存業者を調整して、上限4倍という数字を出してきましたね。

そしてもう一つがAML(アンチマネーロンダリング)です。銀行や証券では本人確認や、取引する者が本人であることの確認など徹底してきましたが、仮想通貨の世界は正直何もやってないようなもんです。来年は日本の金融機関がFATFの審査を受ける年でもあり、マネロン対策も相当厳しいものになるでしょう。

まとめ

そもそも仮想通貨はその決済機能や送金機能、スマートコントラクトといった、現在の金融業では不可能と思われる「新しい金融」を提供するテクノロジーだったはず。国家の信用に依拠しない世界共通通貨の行方に興味があって、kuniは注目してきましたし、今後も応援していきたいと思っています。

レバレッジなんて投機の手段以外の何物でもありません。こんなことで駆け引きしようとする業者を認可する必要などありません。既存の金融の枠組みを壊してでも、未来の夢を語ってくれる、そんな業者が出てきてほしいものです。既存金融機関の重鎮たちは、この仮想通貨交換業者たちの実態を見てホッとしてますよ。

給与のデジタルマネー払い

10/25日付け日本経済新聞の記事です。労働基準法が定める給与の支払方法において、例外的に認めている銀行振込に加える形で、銀行口座を経由することなくカードやスマホアプリなどに送金できるようにするらしいです。

デジタルマネー払いで銀行はどうなる?

記事の中ではこの点について触れていませんが、当然この疑問がわいてきます。これまで銀行は、給与振込口座を持っていれば、その口座の入出金状況を把握することが出来ました。皆さんの通帳には毎月給与という項目で入金が記帳されてますよね。出費についても同様です。

この情報を蓄積し分析することで、顧客の生活の様子がかなり詳細に分かるはずですし、その分析結果に基づき、顧客に適切な与信を行ったり出来るわけです。

このところ話題になっている情報銀行の構想にしても、銀行がこの情報を握っているというアドバンテージが前提になっていると思います。かなり重要な情報がなくなるということになります。

記事の中で「現金払いなども従業員が選択できること、カードや決済アプリに給料を入金する仕組みで入金された給与をATMなどで月1回以上、手数料なしで現金が引き出せること」が条件とされています。また、価格変動の激しい仮想通貨は対象に含まないとも。

ここで言っているATMというのは銀行店舗のATMではなく、コンビニATM等のことだと思われます。オリガミやLINE、ヤフーといった資金移動業者に対してデジタルマネーで給与が支払われ、キャッシュレス決済を後押しするが、コンビニATMで月1回以上、無手数料で現金が引き出せることを条件とする。こんな感じでしょうか。これらの業者にとって、それほど高いハードルではなさそうですね。

銀行の口座 必要なくなる?

デジタルマネーによる給与支払いが増加していくと、オリガミやLINE、ヤフーといった非銀行系に個人の資金移動の情報が集まりそうだ。ここまでは想像できるのですが、公共料金の引き落としの機能ってどうなるんでしょうね。kuni個人としては、勝手に引き落としてくれる機能こそ、銀行口座の一番ありがたい機能なんです。

スマホアプリで何でも出来る時代になってきましたし、家計簿アプリ等も充実してきてるようです。あとは、非銀行系の業者が自動引落の機能まで提供してくれるなら、本当に銀行口座要らなくなるかも。マジで給与はスマホで受け取りっていう人増えるかもしれませんね。

日本企業のIT投資が不足

多くのシステムが老朽化

皆さんの会社でも当てはまりますか?金融機関や証券会社では、かなり深刻な問題になっています。30年も40年も前に基本設計されたシステムがいまだに現役で使用されているんですね。その間、税制や金融の制度等が変更されるたび、新しい商品や取引が始まるたびに、増改築を続けてきた結果、そのシステムに詳しいベテランIT人材もいなくなってしまっているという悲惨な状況です。

kuni自身も最近まで実態を知りませんでしたが、こうした古いシステム、減価償却は終わっていても、システムの運用そのものに巨大な費用がかかっているんです。運用・保守という業務ですね。これもやはりITに掛かる費用、つまり統計上はIT投資に含まれているようです。

経産省によると、日本のIT投資のうち、新規案件に回っているのは全体の2割程度でしかなく、43%の企業はIT関連費用のうち9割を保守に使っているそうです。

最先端のシステムの話題と現実

AI、ビッグデータ、IoT、X-テックなど、最先端のシステム開発やこれらのシステムによるニュービジネスは毎日のようにメディアを賑わせていますが、そうした先頭を走る企業の後ろには、「前向きなIT投資なんて、とても、とても」という企業がほとんどということです。

確かにこれが実体だろうと思います。だからこそスタートアップ企業に利があり、レガシーを抱える大企業にはそうした機動性がないという基本的な構図が生まれるわけですね。

と、理屈は理解するものの、米国に比べてこうした前向きなIT投資が非常に少ないという事実(米国の投資額は日本の4倍だそうです)は、深刻ですね。システム更新を先送りし、捨てられずに使っている古いシステムも、いずれ使えなくなるわけですから。経産省は来年度から、企業にシステム更新を指南する専門家を派遣するそうです。

しかし、最先端の企業とその他多くの企業、このギャップってどうなんでしょう。今はおそらく第何次だか知りませんが、ITブームの最中にあって、メディアに煽られて、先頭集団の映像ばかり見せられているのかもしれませんね。後ろを振り返ってみるとほとんど誰も付いて来てないみたいな。そして、何年か後にはITバブルとか言われてるんだろうか。などと考えてしまいました。これがフィンテックの実像なのでしょうか。もう少し勉強してみます。

仮想通貨 いろいろ調べてみました

仮想通貨の種類

世界中を見渡すと1,500種類以上あるんだそうです。で、日本の交換業者が取り扱っているもので14種類だとか。Bitcoin、Ethereum、Ripple、Bitcoin Cash、Litecoin、NEM、DASH、Monero、Lisk、Ether Classic、Zcash、Factom、MONAcoin・・・。いくつ聞いたことのある通貨がありましたか?

ちなみに、kuniもこれまで知りませんでしたが、MONAcoinという通貨は初めて日本で生まれた仮想通貨らしいですね。ルーツは「2ちゃんねる」にあるらしいです。

時価総額

1位はBitcoinで13兆円、2位はEthereumで2.6兆円、3位がRippleで2.5兆円、4位がBitcoin Cashで1兆円、5位以下は1兆円以下になってます。Bitcoinが圧倒的にでかいですね。歴史もありますし、当然っちゃ当然ですが。ただし、発行量が変化していく通貨もあるので、あくまで現時点の規模という程度で考えてください。

仮想通貨取引所

bitFlyer、GMOコイン、Zaif、DMM Bitcoin、bitbank、BitTrade、Coincheck、ちょっと調べただけでこれだけ出てきます。金融庁が認可した交換業者が先月時点で16社ありましたから、もっとたくさんあるんでしょうね。ちなみに今まさに、流出事故で世間を騒がせているテックビューロが運営する取引所が Zaif ですね。今年の1月に NEM を流出させたのがはCoincheck でした。

仮想通貨流出事故

2014年2月 マウントゴックス    114億円

2018年1月 コインチェック        580億円

2018年9月 Zaif                               67億円

日本で起きた流出事件はこんなところでしょうか。今年2月にはイタリアで210億円、とかもあったようです。これだけの被害額ともなると、金融庁も次第に規制を強化せざるを得なくなりますね。

国別の取引量

最も取引量の多いビットコインで見てみると、世界全体の取引量のなんと52%が日本円建ての取引なんだそうです(今年3月のデータ)。次いで米ドル建てが37%、ユーロ建てが4%。2016年頃まではビットコインの取引の9割が中国元建てだったと言われているそうで、中国の規制強化により海外に逃れ、取引そのものが他の通貨建てに流れているとのことです。こうしてみると、日本の取引所が狙われるのも分かりますね。

次回は、なぜ日本でこれほど人気なのかを考えてみたいと思います。

金融庁と仮想通貨

このところ仮想通貨の動きは小康状態というか、大きな変動はないみたいですね。仮想通貨の流出・消失や、これに伴う金融庁による立ち入り検査、行政処分は断続的に発生しています。仮想通貨ってこれからどうなるんでしょうか。

金融庁のここまでの姿勢

これまで金融庁は、仮想通貨に対してかなり前向きに取り組んできました。前向きにというのは、一方的に否定するわけでもなく、という意味で。その分、交換業者の管理態勢不備による事故が後を絶たず、後手後手となった金融庁の対応に対する批判が噴出しているところです。

法律が規制できる対象ではなかったというのもあると思います。これはFXの初期の段階でもありました。それでも実質的に決済が行われており、送金(資金移動)が行われたりと、実質的な決済機能や有価証券の機能という面から、規制のやりようはあったと思われます。つまり、基本的には寛容であり、受け入れてきたわけです。

このことを森前長官の失点と見る向きは多いですが、kuniは前向きに評価しています。むしろ、BitcoinやEthereumは認めないが、その基盤であるブロックチェーンやスマートコントラクトの技術は素晴らしいとして、現行の金融の枠組みに取り込もうとしている金融機関たちの立ち位置の方に違和感を覚えるのです。

今なぜ仮想通貨なのか

ブロックチェーンやスマートコントラクトは、様々な金融機関やシンクタンクが研究に取り組んでいます。これまでの金融におけるインフラを大きく進化させる可能性があるから(もっとストレートに言うとコストダウンできるから)ですね。一方で、その仕組みが支える仮想通貨に対して否定的なのはなぜでしょう。

金融機関にとって最も大きな不都合な真実は、自分たち既存の金融機関を必要としなくなること。であり、中央銀行も必要なくなるということでしょう。中央銀行を国家と置き換えても良いと思います。国家の信用に基づく必要がない、新しい価値の流通手段であり、保存手段が生み出されたということです。

日本では国家の信用のもと、日銀が管理する「円」で生活することにそれほど大きな不便はありません。っていうか、最も安全で便利な国だと思います。しかし、ベネズエラのように一年間で通貨の価値が1万分の1になってしまうような国もあります。そういう国の国民には、国の信用に関係なく、もう少し安定した、世界中どこでも使用できる通貨があるとありがたいですよね。トルコやアルゼンチンでも一緒です。

現在の金融資本主義はかなり末期症状を見せつつあります。例に挙げたように、その症状はいまのところ限られた国々でしか見られませんが、確実に拡大していると思われます。国境のない通貨や金融の枠組みに対するニーズが、確実に拡大してきています。現在の通貨制度に対して、仮想通貨がどのように取って代わろうとするのか、非常に興味深いと思いませんか?

このお話、まだまだ続きます、、、の予定です。