石炭株ETF、大幅下落 再生エネルギー関連は3割上昇

週末の日本経済新聞に、「石炭株ETF、大幅下落 環境懸念で投資撤退相次ぐ 再エネ関連は3割上昇も」という記事がありました。ESG、とりわけ環境問題、気候変動に関する投資家の動向はここまで顕著になってきているということですね。

iシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギーETF

記事で紹介されていた、「iシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギーETF」は、クリーンエネルギーセクターのグローバル株式で構成される指数と同等の投資成果を上げることを目指している、ナスダック証券取引所に上場するETFです。運用会社はブラックロック・ジャパン株式会社。

4月以降、約1割上昇している。とか、米中貿易摩擦で米株が乱高下するなかでも好調で年初からの上昇率は3割にのぼる。と伝えています。いかにも腹落ちするお話ではあるんですが、ここでSP500の年初来騰落率を見てみると、22.3%となっています。ちなみに同日のiシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギーETFの年初来騰落率は29.2%です。

大きく下げている石炭株ETFと対比させているこの記事だけを見ると、再生エネETF3割上昇、凄いなってことでしょうが、米国株指数を7%ほどアウトパフォームしているだけです。やや色あせて見えますね。とは言っても、これからも有望であることはkuniも認めてますよ。

東証には再生エネ関連ETFがない

紹介したETFはナスダック上場と書きました。つまり東証には上場していないのです。そればかりか再生エネルギー関連をテーマとしたETFが1銘柄もないのです。ESGをテーマとしたETFは3銘柄上場していますが、これだとかなり投資対象が広すぎてピンボケですよね。

一方で、東証はインフラファンドを6銘柄上場させています。いずれも太陽光発電設備への投資ですので、こちらはピンポイント過ぎますし、リスク分散ができません。ただ、年率6%近い利回りは出しているようですが。。。日本でも日本株式への分散投資という形で、再生エネと付き合っていけるETFがほしい、と思うのはkuniだけ?

洪水浸水想定区域 水防法を読んでみた

10/31付け日本経済新聞で「工業団地 580ヵ所浸水恐れ」という記事が。この記事の中に出てくる「洪水浸水想定区域」というのが気になり、「水防法」を読んでみました。水防法って、金商法みたいに略してるんだと思ったら、「水防法」で正式な名称なんですね。

2015年改正で1000年に一回しか起こらないレベルへ

法改正で「想定しうる最大規模の降雨」の定義が1000年に一度起きるかどうかのレベルに。つまり条件を厳しくしたとのこと。水防法第14条にありました。「想定最大規模降雨(想定し得る最大規模の降雨であって国土交通大臣が定める基準に該当するものをいう)」。

国土交通大臣が定める基準というのは、別途、大臣告示という方法で示されていて、「最大規模の降雨に係る基準」というのがありました。その中で「年超過確率0.1%程度の降雨」という基準が示されています。これが、どうやら年超過確率1/1000(約1000年に一回)程度という意味らしいです。この基準で地域や対象面積ごとに定められています。

この際覚えておきたい用語

洪水浸水想定区域という言葉は、日経3面の「きょうのことば」というコーナーで一通り説明されているんですが、水防法第14条から15条にかけて、このほかにも、雨水出水浸水想定区域、高潮浸水想定区域というのが出てきます。3つを整理しておきます。

・洪水浸水想定区域は
河川の増水・氾濫によって、浸水の想定される区域です。
・雨水出水浸水想定区域というのは、
公共下水道等の排水施設に雨水を排除できなくなったり、排水施設から河川等に排除できなくなったときに浸水の想定される区域のことです。
・高潮浸水想定区域は
台風等により海面水位が高まり、防潮堤を超えてくることによって、浸水の想定される区域ですね(津波は含みません)。
そして、これら3つを合わせて、「浸水想定区域」と定義されています。

新型熱電発電素子 三桜工業

以前、「再生エネルギー 地熱発電 増感型熱利用発電 」という記事を書きました。その中で紹介したのが、三桜工業が開発に成功した「新型熱電発電素子」。熱源に埋め込むだけで素子を通じて電流が取り出せるというもので、排熱発電や地熱発電等に革命をもたらしそうな技術です。

三桜工業

以前の記事では、三桜工業の株価は開発成功のプレスリリースを出した7/18から3日間で、450円から598円まで、30%以上上昇したものの、元の株価水準に戻ってしまいました。と紹介していたんですが、再度上昇をはじめ、昨日時点で993円まで付けています。年初来高値を更新し、株価はほぼ2倍になったことになりますね。

最近では、予想に反して足元の決算が良かったことも材料視しているようですが、前述の新技術の実用化を材料にしていることも確かです。あるんですねぇ、今でもこんなふうに一本釣りされる銘柄が。信用買残が1.43倍。サイズは小さいですが、ちょっとした仕手株テイストです。

いまどきこういう人気が付くのも、やはり環境関連の課題を解決するという、時代に合った材料だからこそでしょう。まだまだ実用化に向けてそれなりの時間が必要でしょうし、そもそも実用化できるかどうかも分からないという段階です。だからこそカラ売りも飲み込み、相場になるという面もありますが。

AGC 三菱ケミカルなども

暴騰している三桜工業の時価総額は2カ月で倍になったといっても350億円ほどです。AGCや三菱ケミカルといったESGの観点から画期的な開発をしている企業はあるんですが、これらの時価総額はそれぞれ8千億円、1兆2千億円なんですね。少しくらいの材料では動きません。

というのがこれまでの常識。しかし、今後は分かりませんよ。ESGや特に気候変動関連の材料で、いわゆる大型株が大きく値を切り上げていく相場が来るかもしれません。売られる場面ではコツコツ拾っておく価値はありそうです。

関西電力の会長、社長 他企業の社外取締役や社外監査役を辞任

週末の日本経済新聞のニュースです。関西電力の会長、社長が他企業の社外取締役や社外監査役を辞任するとのこと。また、別の面では、同社監査役が金品授受の実態を把握していたにもかかわらず、取締役会への報告を怠っていたことも判明したと伝えています。

社外取締役や社外監査役を辞任

前回、会長、社長とも速やかに辞任すべきと書きましたが、その前に社外取締役等の社外職を辞任するようで。しかし、笑っちゃいますね。一億円以上金品受け取ってた人達が社外では取締役会の御意見番やってたってことですからねぇ。社外取締役や社外監査役を続けていると、その企業に迷惑をかける、、、と考えたんでしょうか。だったら、関西電力に対しても同じことです。

関与したことが判明している会長、社長ほか関与していた役員の辞任は速やかに行い、第三者委員会による公正な調査を実施してほしいですね。そして何より重要なのは、過去の不正・不祥事に対する是正対応と、今後の原発再稼働の是非という問題をしっかり切り離して議論することです。当事者たちに限らず、我々国民としてもその点を意識して見守る必要があると思います。

監査役の報告義務違反

前回、金品を授受した取締役について、会社法の「会社取締役の収賄罪」の適用もあるかもしれないことを書きました。こちらは、会社取締役の贈収賄罪を規定した会社法第967条第1項です。

そして今度は、会社法第382条。監査役の取締役会への報告義務違反が発覚しました。もう、何のための監査役なんだか、、、って感じです。不適切だが不正とまでは言えない、、、って解釈なんですかね。382条の条文を載せておきます。

第382条(取締役への報告義務)
監査役は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。

ドコモとAGC 世界初「窓の携帯電話用基地局」

10/2付け日刊工業新聞に「窓の基地局 運用開始」という記事が。昨年11月、ドコモとAGCが共同でガラスアンテナの開発に成功したというニュースから約1年、実際に都内のオフィスビルで導入されたようです。この技術の実用化は世界初とのこと。

850㎜(幅)× 212㎜(高さ) 2.5㎏(重量)

というサイズのガラスを、オフィスビルの大きな窓ガラスの最上部に張り付けて使用するようです。ホントにただのガラス一枚に見えます。このガラスアンテナからは4本の配線が天井に伸びていて、天井裏で無線装置に繋がり、光ファイバーへ通じるという構成。昨年11月に公表された時よりも、幅が150㎜大きくなってますし、重量も0.6㎏増えてますね。さらに改良されたんでしょう。

今現在、楽天が基地局の設置で苦しんでいるように、都内では基地局設置のスペースが不足しています。このガラスアンテナは既存のオフィスビルの窓ガラスに張り付けるだけなので、まさにこの課題を克服してくれる画期的なものです。

他にも、透明であるというガラスの特徴により、目立ちにくく、景観や室内デザインを損なわないというメリットもあります。そしてさらに、室内側から張り付けるため、足場の設置や土台工事が不要というメリットもあります。まさに社会的課題を解決する画期的な発明です。

AGC(5201)

日本の企業もアルファベット3文字みたいなのが増えましたね。AGC、、、昨年、旭硝子から社名変更しています。創立1907年、世界市場シェアNo1、グループで5万人の従業員を擁するトップ企業です。

今回10/1に開始したのは、ドコモの4GLTE向け携帯電話用基地局ですが、当然この後商用サービスが開始される5Gに対応したガラスアンテナも開発中とのこと。サービスエリアが狭くなってしまうため、より多くの基地局が必要になる5Gこそ、このガラスアンテナが活きてきそうです。こちらは2020年中のサービス開始を予定しているそうです。