インフラ輸出、風力で挽回へ 政府戦略見直し、貿易保険で優遇

2/15 日本経済新聞の夕刊にこんな記事が出ていました。記事では、「政府は風力発電などの再生エネルギー分野をインフラ輸出の重点分野とする方針だ。優遇する貿易保険を新設し、金融機関が風力発電などの輸出計画に融資しやすい環境を整える。」と伝えています。

経協インフラ戦略会議

経協インフラ戦略会議において、従来の原子力発電に代わって、洋上風力発電をはじめとした再生エネルギーなどについて、「経営参画も含めた取り組みを積極化する」と明記するようです。

経協インフラ戦略会議とは、安倍晋三政権の成長戦略を支えるために設置された組織の一つで、海外との経済協力やインフラ輸出、資源獲得の3分野を統合的に議論する会議体です。会議は官房長官が議長を務め、副総理兼財務相、総務相、外務相、経済産業相、国土交通相、経済再生担当相のほか、必要に応じて関係者が出席するとされています。

2013年3月に初会合が開かれ、安倍首相は、「企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステム輸出を後押しすることは、3本の矢の一つである成長戦略の重要な柱」と強調。経済協力、インフラ輸出を考えるうえで、
① アジアを中心とする新興国の成長を取り込み、日本経済の活性化につなげること
② 日本の優れた技術を世界に提供し、人々の暮らしを豊かにすること
③ 政府として、海外の現場で働く邦人の安全を最優先に確保すること
の3点が重要であるとの考えを示しています。

政府が動き出した

東芝や三菱重工が原子力から撤退し、つい先日は日立の英国での原発計画が凍結されたことを受けての判断のようですが、正解だと思います。当ブログでも再生エネルギーの重要性については何度か取り上げてきました。ただ、今回の判断はインフラ輸出としての国の支援ということ。国内での再生エネルギーの推進策ではありません。

とはいうものの、国内で実績のない技術が海外で通用するわけもなく、当然国内での実績は積み上がっていくと思われます。太陽光発電は電力の買取単価の魅力で一気にブレイクしましたが、洋上風力発電や地熱発電といった大きな投資を要する設備が拡大するためには、買取単価だけでは難しそうです。政府の後押し、次の施策に期待しましょう。

もう一つのインフラ 日本の高速固定通信

2/16 朝刊トップでは、「日本の光通信速度、先進国23位に転落」という記事がありました。日本の光回線など、高速固定通信の速度が低下しているということ。回線がそのままで、足もと一気に通信量が増えているわけですから、そうなりますよね。これも心配です。言うまでもなく、次の最重要インフラとなる5Gについても、遅い回線の影響を受けてしまいます。これに対しても国の支援など、適切な関与を期待したいところです。

ご当地発電 地熱発電 洋上風力発電

先月末の日本経済新聞に「地熱発電、22年ぶり稼働 岩手・松尾八幡平 官民でノウハウ」という記事がありました。そして2/14には「洋上風力発電、日本で始動」という記事が出ています。洋上風力発電については以前当ブログでも取り上げました。

再生可能エネルギーへの取り組みが拡大してきたようです。原子力を失った日本だからこその選択肢であり、高度な技術を必要とする選択であるからこそ、日本が本気で取り組むべき課題。kuniはそう考えています。

地熱発電

国内における中規模以上の地熱発電としては、22年ぶりの稼働だそうです。1990年代までは建設が相次いでいたらしいのですが、国の予算が原子力発電に振り向けられたことで、その後は開発が進まず、技術の伝承もままならない状況らしいです。地熱発電に関しては、ほぼ仕切り直しという感じですね。

それでもこの地熱発電、日本の地熱資源量は米国とインドネシアに次ぐ世界第3位だそうです。現状では資源量の2%程度しか利用されていないとのこと。フルに活用できるようになれば、今の50倍の電力を供給できるようになるということです。

今現在の地熱発電が供給する電力は55万キロワット程度。これに対して政府は30年までに150万キロワットの供給を目指しているそうですから、3倍に引き上げることになります。ただ、日本が保有する資源量をフルに活用できれば、55万キロワットの50倍、つまり2,750万キロワットが供給できる計算になるわけです。

となると、日本の電力供給量の20%近くをカバーすることができるということになりますね。素晴らしいです。まぁ、机上の空論というヤツですが、日本はとにかく資源に苦労してきた国家です。資源を巡って戦争まで仕掛けてきました。世界第3位の資源、活かさない手はありません。

洋上風力発電

こちらの記事では、「オリックスが千葉県銚子市沖で17万世帯分の消費電力に相当する20万キロワットの発電設備を建設する方向で調査を始めた」と伝えています。また、海外で実績のあるエーオン社(ドイツ)や、世界最大手のアーステッド(デンマーク)が日本の電力会社と組んで参入しようとしていることも。他に、国内組では丸紅や三菱重工も参入しそうですね。面白くなってきました。

こんなふうに見ていくと、千葉県や秋田県では洋上風力発電、大分や岩手では地熱発電みたいな感じでご当地発電みたいなことになるかもしれませんね。こうした発電資源を持っている地域に人が移住していくなんてのもありかもしれません。地方にしてみれば過疎化対策にもなるんじゃないかと。

おまけ 不動産投資にESG

同じ日の日経にこんな記事もありました。国土交通省が不動産投資にもESGの考え方を取り込むように促すというもの。こんなふうにESGの波がいたるところへ押し寄せてきています。石炭火力による発電に対する風当たりはますます強くなっていくでしょう。再生エネルギーを利用した発電設備の拡充、待ったなしです。

脱プラスチック EUは産業政策 使い捨てストロー、日本より廃止進む

1/24 日本経済新聞の記事です。使い捨てプラスチックへの対応が、日本と欧州で違いが出てきているという記事。欧州では日本など比較にならないほど樹脂製のストロー廃止が進んでいるというもの。そのうえで記事ではEUがリサイクルの強化により、新たに20万人の雇用を創出しようとしているとしています。

リサイクルでは日本よりEUの方が上

リサイクルを強化するんだったら、ストロー廃止しなくていいんじゃないの?と、突っ込みたくなるところですが、そこはグッと抑えて。。。記事ではリサイクルの方法は2種類あって、EUが後押しするリサイクル法は「マテリアルリサイクル」だと言います。

経済協力開発機構(OECD)の報告書では、このマテリアルリサイクルで各国のリサイクル率が示されており、日本のリサイクル率は22%、EUの30%を下回るそうです。ところが日本側の認識では、「日本ではリサイクルが進んでいて86%」とのこと。この認識の違いを生んでいるのが、サーマルリサイクルを計算に含めるかどうかということらしいです。

リサイクル方法の違い

マテリアルリサイクル:廃プラを原料として、プラスチック製品に再生する手法
ケミカルリサイクル :廃プラを科学的に分解して、化学原料に再生する手法
サーマルリサイクル :廃プラを焼却して熱エネルギーを回収する手法

このように、調べてみるとリサイクルの方法は3種類出てきましたが、二番目のケミカルリサイクルについては、記事では触れられていません(ただし全体に占める比率は小さかったです)。こうやって比べてみると、確かにサーマルリサイクルってのは、プラスチックのリサイクルではなくて、エネルギーのリサイクルでしかないように見えます。

EUはサーマルリサイクルを含めずにリサイクル率を計算していて、日本で主力のリサイクル方法が世界に認められなくなってしまうかもしれないと、危機感を訴えているわけです。

ところが、環境省が2016年のデータで作成した資料によると、ドイツやスイス、オーストリア、オランダ、や北欧3国などは、サーマルリサイクルも含めた基準で100%に近い数字になっています。何だか日経記事の調子とは違います。日本が得意とする基準で比較したとしても、これらの国々にはあっさり負けているということ。英国やフランスで70%前後ですので、かろうじて日本の方が上といったところです。

日本の技術力 再び

素人のkuniには、リサイクルの方法としてはマテリアルリサイクルに軍配が上がるように見えますが、プラごみの種類やその分別など、もっともっと様々な要素があり、どの基準で見るべきか、当ブログで結論が出せるようなお話ではなさそうです。ただ、一つ言えることは、「日本のリサイクル率は世界でも有数」、、、で思考停止しちゃダメってことですね。

50代、60代の日本人は「日本の技術力は高い」と思ってます。しかしながら、最近の若い人は全然そう思ってないらしいです。違いは何か。日本のハイテク製品が世界からNo1と評価され、自動車もテレビも日本製ばかり、という日本の全盛期を知っているかどうかです。今はもう日本が一番なんてことないんですね。もう一度、技術の日本を見せつけてほしいものです。

廃プラスチック分解 水素を活かす 昭和電工

1/20 日本経済新聞に「水素を生かす(下) 廃プラ分解、ホテルの電力に」というコラムがありました。昭和電工の川崎事業所では、年間6万トンもの使用済みプラスチックを高温で分解して水素を製造しているそうです。同市の臨海部に建設されたホテルへパイプラインで供給する実験も2018年から始まったとのこと。

2年間ほどで株価は6倍に

昭和電工と言えば、昨年まで大きく株価を上げた銘柄として、証券の世界では話題になった企業です。2016年央の安値1000円辺りから、昨年10月の高値6,470円まで上昇し、現在は3,500円程度。上げも凄かったけど、下げ方もまた強烈です。

電気炉向けに黒鉛電極の販売が好調でしたし、黒鉛電極自体の値上げが浸透したことから大幅な増益基調となってました。19年12月期も大幅増益予想となっています。既に締めた直近12月期は来月辺りに発表されるんでしょうか。第4四半期が米中貿易戦争の影響をどれくらい受けるのかが気になる銘柄です。

廃プラスチックに新たな生命を吹き込め

今回、日経に取り上げられた廃プラスティックから水素を作るという話題。昭和電工のHPで調べてみました。すると特設の新卒採用サイトのプロジェクトストーリーというコーナーで、このKPRプロジェクト(廃プラスチックに新たな生命を吹き込め)が成功するまでのお話が掲載されています。

もともと学生向けの情報提供ですので非常に分かりやすいです。また、他にも2つのプロジェクトが紹介されていて、昭和電工の魅力を上手く表現しています。時間があったら是非読んでみてください。kuniお勧めです。

決算短信を読んでみました

ついでに2018年度第3四半期の決算短信も読んでみました。第3四半期までは米中貿易戦争が本格化する前ですので、引き続き好調な決算となっています。非財務情報から、この会社の魅力、いくつかか書いておきます。

「ESG投資のための3指数に2年連続採用」。世界的なインデックスプロバイダーであるFTSE Russell社(注)のESG投資指数「FTSE Blossom Japan Index」および同MSCI社の「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数」の構成銘柄に、2年連続で採用されたようです。

また、社会的責任投資ファンド「モーニングスター社会的責任投資株価指数」(モーニングスター社運営)に5年連続で、また「SNAMサステナビリティ・インデックス」(損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社運用)にも7年連続で選定されています。

さらに、株式会社シナモンと、AIを活用した技術文書活用システムを共同で開発することを決定したようで、この共同開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「AIシステム共同開発支援事業」の助成事業に採択されています。

他にも、「パワー半導体SiCエピウェハー高品質グレードの3次増強を決定」、なんてのもありました。次世代の新技術てんこ盛りみたいです。かなり、伝統ある会社ですが、なかなか魅力的な事業に挑戦してますよね。今後も少し追い掛けてみたいと思います。

プラスチック製ストロー

使い捨てのプラスチック製ストロー廃止

米スターバックスが20年までに全世界の店舗で廃止するとか、米マクドナルドが英国等で9月からプラスチック製ストローを紙製に切り替えるとか。国内でも、セブン&アイ・フードやケンタッキー、すかいらーくが同様の方向性を発表しています。

海洋汚染の一原因かもしれませんが、いきなりプラスチック製ストローが槍玉にあがったというのが腑に落ちませんでしたが、どうやら鼻にプラスチックストローが突き刺さったウミガメの動画が原因のようです。どう考えてもストローだけの問題ではないですよね。ストローが踏み絵になってしまったようです。

マイクロプラスチック

環境にとってプラスチックが有害であり、特にマイクロプラスチックが問題だとして悪者になってます。いわゆるバズワードなのか、直径何ミリ以下のプラスチックのことかと調べてみましたが、明確な定義はないみたいで、通常は5ミリ以下を指していることが多いようです。

その発生原因もよく分かってないようで、海洋ゴミとなった大きなプラスチックが壊れて、細かい粒になっていくパターン。紫外線による分解促進という面もあるみたいで、おそらくこのパターンがストローを悪者にするケース。

他にも、工業用に意図して作られた研磨剤(これがそもそもプラスチックの粒子)が海に流れ出るのが原因とするものもあれば、衣類の洗濯により流れ出た合成繊維の粒子だ、なんてのもあるみたいです。いずれにせよ、ストローってのは環境にとって有害なプラスチックの極々一部ということですね。

SDGsのどの目標?

目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」というのがあります。目標14「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」ってのもありますから、一義的にはこれらの目標に沿った考え方ということでしょう。「使い捨てプラスチック製ストローを排除し、我々は海洋・海洋資源を保全していきます」という、SDGsに則った企業の宣言なんですね。

生分解性プラスチック

じゃあ、何で代替するの?ということになるわけで、今度は化学業界やら製紙業界がSDGsに則り、社会に貢献しようと活気付いてくるわけです。当然、プラスチック製ストロー以外、その他プラスチック製品に代替する紙製品は出てきそうですし、生分解性プラスチックによる代替というのもありでしょう。

生分解性プラスチックというのは、自然に分解して無害な成分に戻るプラスチックです。現在の技術では生分解性プラで同じものを作ると、コストは5倍程度になるとか言われてます。カネカや三菱ケミカルなど、株式市場では生分解性プラスチックを手掛ける銘柄が投資対象になりつつあるようです。

しかし、その前にリサイクルじゃないの?とkuniは考えます。ストローにしろ、スプーン、フォークにしろ、同じ成分で規格統一すれば、もっとリサイクル率上げれるんじゃないかと思います。

日本におけるプラスチックの回収率は相当高い方らしく、80%を超えているそうです。が、しかし、再度プラスチックとして利用されるリサイクル率は23%らしいです。これを上げることを考えるべきじゃないですかね。先日、中国がプラスチックゴミを受け入れないとかいうニュースもありましたしね。