みずほフィナンシャルグループ 金融庁へ改善報告書

日本経済新聞は8/31、「みずほ、新システム総点検 きょう金融庁に報告書」を掲載しました。2021年に入り6度のシステム障害を起こした問題で、新システムの総点検やバックアップが機能しない場合の復旧手順の整備などを盛り込んだ報告書の全容が30日、明らかになった、としています。

システム障害

みずほ銀行では2月末から2週間足らずで4件の障害が発生。その後、みずほが6月に策定した再発防止策を実行に移す途上で、8月20日と23日にも再び障害が起きました。中でも2/28の通帳やキャッシュカードをATMが取り込んで出てこなくなったという障害は驚きでした。

ATMが通帳やキャッシュカードを取り込むトラブルは合計5244件、自行ATMの7割超に相当する4318台が稼働を一時停止ました。インターネットバンキングの一部取引もできなくなったてましたね。

報告書

で、8/31に金融庁に報告書を提出するということなんですが、原因はなお突き止められていないんだとか。「点検を検討する」とか、「さらなる調査・確認を進めていく」とかとか。この報告書は中間報告みたいなもんですね。

SNSのとある書き込みで、「それにしても、金融庁に報告する前にここまで内容が漏れる(漏らしてる)のも、どうかと思うが」というのを読みました。たしかに昔からリークの非常に多い会社ですが、今回はどうなんでしょうね。

通常、金融庁が報告書を徴求・受領する際は、あらかじめドラフトを提出させ、金融庁が納得してからの正式提出となります。ドラフト段階でいろいろと指導が入ります。つまり、提出の前段階で内容を把握しているわけで、日経に報告書の内容をリークしたのは金融庁という可能性も結構高いんじゃないかと。

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その4)

アジャイルメディア・ネットワークは6/17、「取締役の辞任に関するお知らせ」を公表しました。役員の不正行為に関する第三者委員会による最終報告に関するお知らせ」を公表したあのアジャイルです。

公表の内容

6/17をもって、当社取締役が辞任することとなりましたので、お知らせいたします。辞任の理由は、「第三者委員会による最終報告を受け、本人の申し出によるものであります。」とだけ説明されてますね。

不正を働いた役員、身を隠したわけではないようです。現在も連絡が取れる状況のようですね。「石をも動かす力」というお名前の前取締役CFO。実際にはその地位及び権限を悪用して従業員を動かし、会社のお金を詐取してきました。まったく残念な話です。

こういう事件は、ギャンブルか異性に対する事情というのが定番ですが、その真相はどうだったんでしょうか。

役員の所有株式数の異動

この辞任に関するお知らせの翌日、同社は「役員の所有株式数の異動に関するお知らせ」を公表しています。同社代表取締役社長から大量保有報告書(変更報告書)が提出されたことを受けての開示ということです。

元役員による資金流用の疑義及び、それに伴う2021年12月期第1四半期決算発表の延期を受け、金融機関の「債権保全を必要とする相当の事由が生じた」との判断により担保処分が実行されたとのこと。

代表取締役社長が同社株式を取得するため、金融機関に借入金の担保として同社株式を差し入れていたものの、銀行が同社の不祥事と決算発表の延期を受けて担保株式の強制売却を行ったということですね。

まさに、「雨が降り出したので貸していた傘を取り上げる」という構図。これが銀行です。

クリエイトジャパン 証券取引等監視委員会が検査結果に基づく勧告

証券取引等監視委員会は13日、金融商品取引法違反行為が認められたとして、クリエイトジャパン株式会社に行政処分を行うよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し勧告しました。クリエイトジャパンはFX(外国為替証拠金取引)とCX(商品先物取引)の会社です。

不招請勧誘に関する法令違反

違反行為として2種類の行為があげられています。一つは、勧誘受託意思確認義務違反というもの。FX等の勧誘に先立って、顧客に対し「勧誘を受ける意思の有無」を確認しなければならないんですが、これを確認することなく勧誘していたということです。

そしてもう一つが、再勧誘の禁止違反というもの。勧誘を受けた顧客が「FXはやらない」とか「勧誘を引き続き受けることを希望しない」という意思表示をしたにもかかわらず、FXの勧誘を継続したということです。

それぞれ、金商法第38条第5号、第6号の禁止行為に該当する行為。FX等のデリバティブ取引の勧誘に関して設けられた、いわゆる不招請勧誘ルールです。同社では長期間にわたり、継続的かつ恒常的に多数の営業員により、これら法令違反が行われていました。

経営管理態勢

経営管理態勢が極めて杜撰であると指摘されています。代表取締役が「顧客からの苦情等がなければ法令等遵守に問題はない」と安易に考えていた。営業責任者である担当役員はこの法令違反行為をむしろ容認し、行わせていた。などと指摘され、、、酷すぎますね。

経営が率先して、違法かつ積極的な営業を行わせ、法令違反を発生させないための管理態勢も設けない。今でもこんな悪質な会社があるんですね。今から10年位前かな、監視委員会によるFX業者の一斉検査が行われてました。こういう会社はその時一掃されたかと思いましたが、、、。

SBIの地銀連合構想 野村證券と大和証券

ちょっと古い話題ですが、10/24、SBIホールディングスが群馬県を地盤とする東和銀行と資本提携することが日経で伝えられました。SBIが進める地銀連合構想で5行目の出資です。その翌営業日の10/26、金融審議会での銀行・証券の垣根問題に関する議論が日経で紹介されていました。

ファイアウォール(FW)規制の緩和

金融審議会市場制度WGで議論されているのは、銀行と証券が顧客情報を共有することを制限するルールの緩和について。この日紹介されていたのはM&Aを例にした法人顧客のケースでしたが、個人についても概ね同じような展開で、野村、大和が緩和反対。メガバンク等が賛成という構図。

この日のニュースでも海外の顧客だけを規制の対象外とする、という玉虫色の結論。野村證券を筆頭に、大和証券など6社が入る「資本市場の健全な発展を考える会」というのがあるんですね。銀行が証券の世界になだれ込む、、というか、銀行系証券が銀行の顧客を囲い込むことに対して抵抗を続けているわけです。

SBIの地銀連合構想

上位の銀行と上位の証券がFW規制の緩和でもめているところ、スルスルと抜け出してきているのがSBIですね。菅首相や金融庁とも、地銀再編という目的が一致していることもあり、地銀連合構想、ことのほか順調に進んでいます。

SBIにとっては、地銀が抱える地域の重要顧客へのアクセス権が得られるという大きなメリットがあります。この後も着実に銀行顧客を囲い込んでいくでしょう。

「選択」11月号では、SBIが紹介して地銀に融資させているとして、THEグローバル社に対する融資の危険性に触れていましたが、まぁそれくらいのことはやるでしょう。北尾氏は生き馬の目を抜くと言われていたころの株屋の、数少ない生き残りですから。

金融審における野村、大和の記事とSBIの日経記事。ほぼ同時に出てきた記事なんですが、両陣営の勢いの差を感じさせられる記事でした。

役員報酬1億円以上 三菱UFJFGで10人

三菱UFJフィナンシャル・グループの2020年3月期通期の有価証券報告書。「役員ごとの連結報酬額等の総額等」の項目を見ると、なんと総額が1億円以上の方が10名も。1億円以上の人だけが記載されるんですね。カルロスゴーン氏が虚偽記載していた、アレです。

三菱UFJFG

三菱は皆さんたくさん貰ってるんですね。トップはもちろん社長だった(4月から副会長)三毛氏で2億1500万円。二番手は1億9000万円、三番手で1億8000万円と並びます。三菱UFJ銀行から7名、三菱UFJ信託銀行から2名、三菱UFJ証券から2名となっています(1名は証券と銀行を兼務)。いやぁ、凄いですね。

三井住友FG

気になって他のメガバンクも調べてみました。三井住友フィナンシャルグループの2020年3月期通期の有価証券報告書です。こちらも3名お名前がありますね。トップは銀行頭取の高島氏で1億5000万円。二番手が1億3800万円、三番手が1億3700万円と続きます。

2020年3月期は三井住友FGが、トップを守ってきた三菱UFJFGを純利益で逆転してメガのトップになりました。三菱が海外の銀行の減損処理で多額の損失を計上したのが原因かもしれませんが、トップになったという結果は事実です。にもかかわらず役員報酬のこの差はちょっと気の毒。

みずほFG

「提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等」の欄には、「連結報酬等の総額が1億円以上である者がおりませんので、記載しておりません。」と書かれてます。みずほFGにはいないんですね。ほぼ全員が9980万円頭打ちみたいな感じでしょうか。

今回はメガバンク3行の役員報酬を見てみましたが、公表の仕方に各銀行の色が出ていて面白いですね。しかし、世間の相場とは大違い。やっぱり出世しなきゃダメですね。