スルガ銀行 社長、専務も辞任

8/30 日本経済新聞一面の記事。スルガ銀行はシェアハウスを含む投資用不動産向けの不適切な融資が横行していた問題の責任を取り、3人いる全ての代表取締役が辞任する人事を固めた。らしいです。

何だかなぁ、この記事

「3人いる全ての代表取締役が辞任」とか「全員辞めるのは異例のこと」とか。いかにも取締役が全員辞めるかのような見え方がして良くないです。取締役はここまで出てきた3人以外にあと4人居るでしょ。社外取締役も4人。日経、記事書きにくい理由でもあるのかな。

企業文化・ガバナンス改革委員会(委員長=木下潮音弁護士・東工大副学長)

これもよく分かりませんね。委員長は過去にも名前を聞いたことある弁護士だけど、あまり評判良くないのかな?ネットではネガティブな話が結構あるみたいだけど。

で、この弁護士、調べてみたら少なくとも2016年6月~今年の5月までスルガ銀行の社外監査役やってんのね。取締役の職務の執行を監査しなければならない立場にありながら、このような執行状況を看過してきた責任はどうなった?そして、この6月から社外取締役って、どうよ、これ。

他にも超有名人がこの6月に社外取締役退任してたりとか、ツッコミどころ満載。マスメディアって、こういうところにツッコんでいくんじゃないの。

キャッシュレス決済 第2回

キャッシュレス決済により何を実現するのか

報告書では、我が国の置かれる状況として、少子高齢化や人口減少に伴う労働者人口減少による生産性の低下をあげ、キャッシュレス推進により次のようなメリットが期待できるとしています。

  1. 実店舗等の無人化や省力化
  2. 不透明な現金資産の見える化、流動性向上
  3. 不透明な現金流通の抑止による税収向上
  4. 支払いデータの利活用による消費の利便性向上や消費の活性化

また、キャッシュレス化の実現プロセスで、既存の業界スキームとは異なる形態のビジネスモデルが現れることについても言及しています。これこそが既存の金融機関に大きな影響を与える、場合によっては全てぶっ壊してしまう怪物なわけです。

1番~4番のメリットについては、多くの場合4番の支払いデータの利活用がクローズアップされてますよね。ただ一方で、2番や3番って、実は国にとってかなり重要なメリットです。ちょっと他人には知られたくない買い物ってありますよね。お金持ちの場合だと、他人には知られたくないお金とかもあるでしょう。特に税務署とか。そういうのが全部デジタルに記録されていくのは非常に怖いことでもあります。(脱線しました)

第1回で書けなかったことの追記

韓国がキャッシュレス比率第1位と書きましたが、これは政府によるクレジットカード利用促進策によるものだそうです。具体的には次の3つが紹介されています。

  • 年間クレジットカード利用額の20%所得控除(上限30万円)
  • 宝くじの権利付与
  • 店舗に対してクレジットカード取り扱い義務付け

いろいろ考えるもんですね。宝くじは、1000円以上利用で毎月行われる当選金1億8000万円の宝くじ参加権ですって。

ついでに、中国。みなさんもうご存じだと思いますが、アリペイが既に5億人のユーザーを囲い込んでいて、世界200以上の都市と国、18の通貨に対応しているそうです。いわゆるプラットフォーマーとして、決済のみならず、各種サービスを提供していると紹介されています。

日本でキャッシュレス決済が普及しなかった理由

日本でも、クレジットカード普及に向けた取り組みや、電子マネー導入への取り組みが、他国と比較して遜色ない程度に行われてきたことを紹介しつつ、日本の特殊性を2つあげています。「治安の良さ」、「綺麗な紙幣と偽札の流通が少ない現金に対する信頼の高さ」これがキャッシュレスが普及しなかった理由です。これ納得感ありますね。

(第2回終わり)

キャッシュレス決済 第1回

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、10年後にあたる2027年6月までに、キャッシュレス決済比率を40%程度とすることを目指すとしています。

私、kuni のお勉強も兼ねて、キャッシュレス決済について、何回かに分けて連載という格好でまとめて行こうと思います。主に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」という報告書に基づき整理していきます。

キャッシュレス決済の定義

今年4月に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、その定義は「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」とされています。そのうえで、公表時点での具体的な支払い手段として、以下の4つのサービスをあげています。

  1. 電子マネー(交通系、流通系)ー前払い
  2. デビットカード(銀行系、国際ブランド系)ー即時払い
  3. モバイルウォレット(QRコード、NFC等)ー即時払い
  4. クレジットカード(磁気カード、ICカード)ー後払い

キャッシュレス決済比率の国際比較

2015年時点での他国との比較について、この資料では、1位は韓国(89.1%)、2位中国(60.0%)、3位カナダ(55.4%)、7位アメリカ(45.0%)、9位インド(38.4%)、日本は10位(18.4%)となっています。

韓国が1位となっていますが、これには事業会社等の支出に利用されるクレジットカード(コーポレートカード)による決済分で、20%程度上ぶれしているという注釈が付いてました。もちろん、他国もこの数字を含んでいるんですが、韓国はこの比率が高いということのようです。

上位に位置する国は、もともとクレジットカードの普及率が高かったことにより、キャッシュレス決済比率も高くなっている国と、社会インフラが未整備であったがために、スマホが爆発的に普及し、併せてアプリによるモバイルウォレットも一気に普及した国、に分類できます。日本はこうした国々を相手に、18.4%を10年間で40%まで引き上げようとしているということです。

なお、キャッシュレス決済比率は次の計算式で求めているそうです。

キャッシュレス支払い手段による年間支払額÷国の家計最終消費支出

つまり、この比率は金額ベースなんですね。キャッシュレス決済比率の報道はよく見かけますが、金額ベースであることは意外に明示されていません。用語の定義は重要です。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、用語の定義が不明確なまま迷走する会議、みなさんも経験されてません?

(第1回終わり)

スルガ銀行 会長辞任へ

8/28 日本経済新聞によると、スルガ銀行の会長が辞任する意向を固めたことがわかったようです。創業家の出身と言うことで、120年あまり続いた創業家経営に幕を下ろす、ということらしいです。

会長が辞任、それで?

会長が辞任することで創業家の支配を断ち切り、社長以下の経営陣はそのまま残るんでしょうか。今回の事件が創業家経営の闇の部分であるとの主張は分かりますよ。しかし、それを全面に出すことで、その他経営陣の責任を回避しようという目論見、ありますよね。

総入れ替えで良いじゃないですか

まずは創業家経営との決別をしっかりアピールすることで、メディアや世論の反応を見てるんですね。で、それなりに納得感が得られているという感触なら、社長以下取締役が○ヶ月間の報酬を自主返納だとか、○ヶ月減給だとかのありがちな落とし所を探ろうと。

いや、総入れ替えでしょ。少なくとも取締役は全員。会長が暴走したかもしれないけど、それを容認してきたのは取締役の責任です。既にここまでの調査で、賞罰を検討すれば再起不能になった(になるであろう)行員もたくさん居るでしょうに。下切ってお仕舞いじゃあねぇ。残る行員やその家族たちのためにも、総入れ替えで良いです。

投信、ネット証券の顧客36%が損失

インターネット証券経由で投資信託を購入・保有している顧客のうち2018年3月末時点では64%が評価益を、36%が評価損を抱えていることが分かった。金融庁が都銀・地銀29行を対象に調べたところ、同じ18年3月末で投信を保有する顧客のうち46%と半数近くが評価損を抱えていた。今回の調査によると、ネット証券の方が銀行よりも投信で評価益がある顧客の比率は高い。

ある時点での投資信託の評価損の比較

18年3月末時点での比較だそうですが、これってそんなに意味がありますか?たしか、大幅に儲かって既に売却した実現益は全く考慮されてなかったですよね。また例によって金融庁のミスリードが始まりましたか。有価証券投資なんて、一番重要なのは売却のタイミングです。実現できなかった評価益なんて何にもなりません。

投資信託の買い付け時手数料

投資信託の種類を特定しているようでもないので、顧客は買い付け時に一定の手数料を払っているはずです。都銀・地銀で買い付けた投資信託はおそらく3%程度の手数料、ネット証券の場合だと1%以下。平均するとそれくらいでしょうか。ネット証券の場合はもっと手数料率低いかもしれませんね。

買い付けた後、投資対象としているマーケットがそれぞれ3%、1%、上昇するまでは評価損ということになります。この統計、もし買い付け時手数料を考慮していないのであれば、両者の評価損の比較は何の意味も持たないということです。

だから手数料をもっと下げなさい

この統計から言えることは、「だから対面販売の銀行等はもっと手数料を引き下げなさい」ということだけです。販売した後の乗り換え営業や、短期での売却といった、銀行の営業姿勢を槍玉に挙げようということであれば、ちょっと違う気がしますね。

手数料についてどういう取り扱いにしているのか、少し調べてみようと思います。この手数料についてしっかり配慮されてるようでしたら、また更新しますね。