キャッシュレス決済 第1回

2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」では、10年後にあたる2027年6月までに、キャッシュレス決済比率を40%程度とすることを目指すとしています。

私、kuni のお勉強も兼ねて、キャッシュレス決済について、何回かに分けて連載という格好でまとめて行こうと思います。主に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」という報告書に基づき整理していきます。

キャッシュレス決済の定義

今年4月に経済産業省が公表した「キャッシュレス・ビジョン」によると、その定義は「物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態」とされています。そのうえで、公表時点での具体的な支払い手段として、以下の4つのサービスをあげています。

  1. 電子マネー(交通系、流通系)ー前払い
  2. デビットカード(銀行系、国際ブランド系)ー即時払い
  3. モバイルウォレット(QRコード、NFC等)ー即時払い
  4. クレジットカード(磁気カード、ICカード)ー後払い

キャッシュレス決済比率の国際比較

2015年時点での他国との比較について、この資料では、1位は韓国(89.1%)、2位中国(60.0%)、3位カナダ(55.4%)、7位アメリカ(45.0%)、9位インド(38.4%)、日本は10位(18.4%)となっています。

韓国が1位となっていますが、これには事業会社等の支出に利用されるクレジットカード(コーポレートカード)による決済分で、20%程度上ぶれしているという注釈が付いてました。もちろん、他国もこの数字を含んでいるんですが、韓国はこの比率が高いということのようです。

上位に位置する国は、もともとクレジットカードの普及率が高かったことにより、キャッシュレス決済比率も高くなっている国と、社会インフラが未整備であったがために、スマホが爆発的に普及し、併せてアプリによるモバイルウォレットも一気に普及した国、に分類できます。日本はこうした国々を相手に、18.4%を10年間で40%まで引き上げようとしているということです。

なお、キャッシュレス決済比率は次の計算式で求めているそうです。

キャッシュレス支払い手段による年間支払額÷国の家計最終消費支出

つまり、この比率は金額ベースなんですね。キャッシュレス決済比率の報道はよく見かけますが、金額ベースであることは意外に明示されていません。用語の定義は重要です。当たり前だろうと思われるかもしれませんが、用語の定義が不明確なまま迷走する会議、みなさんも経験されてません?

(第1回終わり)

スルガ銀行 会長辞任へ

8/28 日本経済新聞によると、スルガ銀行の会長が辞任する意向を固めたことがわかったようです。創業家の出身と言うことで、120年あまり続いた創業家経営に幕を下ろす、ということらしいです。

会長が辞任、それで?

会長が辞任することで創業家の支配を断ち切り、社長以下の経営陣はそのまま残るんでしょうか。今回の事件が創業家経営の闇の部分であるとの主張は分かりますよ。しかし、それを全面に出すことで、その他経営陣の責任を回避しようという目論見、ありますよね。

総入れ替えで良いじゃないですか

まずは創業家経営との決別をしっかりアピールすることで、メディアや世論の反応を見てるんですね。で、それなりに納得感が得られているという感触なら、社長以下取締役が○ヶ月間の報酬を自主返納だとか、○ヶ月減給だとかのありがちな落とし所を探ろうと。

いや、総入れ替えでしょ。少なくとも取締役は全員。会長が暴走したかもしれないけど、それを容認してきたのは取締役の責任です。既にここまでの調査で、賞罰を検討すれば再起不能になった(になるであろう)行員もたくさん居るでしょうに。下切ってお仕舞いじゃあねぇ。残る行員やその家族たちのためにも、総入れ替えで良いです。

投信、ネット証券の顧客36%が損失

インターネット証券経由で投資信託を購入・保有している顧客のうち2018年3月末時点では64%が評価益を、36%が評価損を抱えていることが分かった。金融庁が都銀・地銀29行を対象に調べたところ、同じ18年3月末で投信を保有する顧客のうち46%と半数近くが評価損を抱えていた。今回の調査によると、ネット証券の方が銀行よりも投信で評価益がある顧客の比率は高い。

ある時点での投資信託の評価損の比較

18年3月末時点での比較だそうですが、これってそんなに意味がありますか?たしか、大幅に儲かって既に売却した実現益は全く考慮されてなかったですよね。また例によって金融庁のミスリードが始まりましたか。有価証券投資なんて、一番重要なのは売却のタイミングです。実現できなかった評価益なんて何にもなりません。

投資信託の買い付け時手数料

投資信託の種類を特定しているようでもないので、顧客は買い付け時に一定の手数料を払っているはずです。都銀・地銀で買い付けた投資信託はおそらく3%程度の手数料、ネット証券の場合だと1%以下。平均するとそれくらいでしょうか。ネット証券の場合はもっと手数料率低いかもしれませんね。

買い付けた後、投資対象としているマーケットがそれぞれ3%、1%、上昇するまでは評価損ということになります。この統計、もし買い付け時手数料を考慮していないのであれば、両者の評価損の比較は何の意味も持たないということです。

だから手数料をもっと下げなさい

この統計から言えることは、「だから対面販売の銀行等はもっと手数料を引き下げなさい」ということだけです。販売した後の乗り換え営業や、短期での売却といった、銀行の営業姿勢を槍玉に挙げようということであれば、ちょっと違う気がしますね。

手数料についてどういう取り扱いにしているのか、少し調べてみようと思います。この手数料についてしっかり配慮されてるようでしたら、また更新しますね。

最近お気に入りの缶コーヒー

ブラックの缶コーヒー

缶コーヒーは不味いと言われてきたけど、冷たいコーヒーは昔から缶コーヒーなんですよね。ブラック専門で、最近お気に入りのブラックが写真のコーヒーです。「世界一のバリスタ監修 コクと香りのブレンド・・・」どこまでが商品名なんだか良く分かりませんが。これです。嗜好品ですから、好みはさまざま、皆さんお気に入りのコーヒーがあるんでしょうね。

家ではネスプレッソ

自宅ではネスプレッソを使ってます。ピクシーっていうタイプ。味も気に入ってるんですが、何より後片付けやらメンテナンスが要らないのが素晴らしい。マニュアルには時々湯通ししてマシンの中を洗うように書いているんですが、一度も洗ったことなし。それでもいつも簡単に美味しいコーヒーが出てきます。このマシンは凄いですよ。

インスタントコーヒーのメーカーが出している似たようなマシンはありますが、ネスプレッソのカプセルの中は本当のコーヒー豆ですからね。1カプセルが80円前後(銘柄によって違う)。これが高いか、安いか。人によって違うんだろうけど、私は安いと思います。ぜひ一度お試しあれ。

【経済教室】膨らむ高齢者の金融資産

週末に続き、8/27 日本経済新聞に高齢者と金融に関する記事が掲載されました。一面トップ記事の次は経済教室ですか。なんか気合い入ってますね。

金融資産の高齢化

記事の中に「こうしたトラブルを回避するため、業界ごとに一定年齢以上の高齢者については慎重に契約を進めるなど自主的な取引規制を設けている。とはいうものの事業者が認知機能を巡るトラブルのリスクを回避するために、年齢のみで一律に高齢顧客を回避すれば、認知機能が高く金融商品を理解できる高齢者もリスク資産から遠ざけることになる。」という記述があり、「金融資産の高齢化はリスクマネー供給の先細りや株式市場の縮小、さらには金融市場のゆがみをもたらしかねない。」とも書かれています。

金融商品販売の現場で起きていること

実はここで指摘されているような「年齢のみで一律に高齢顧客を回避する」という想定は、既に現場で実際に起きています。各金融機関が取引規制として設けているのは、多くの場合、一律な適合性チェックの手続きであり、一律に取引を禁止しているわけではありません。しかしながら、高齢顧客の場合、顧客の適合性を十分確認するための面倒な手続きが存在すると、現場としてはどうしても高齢者を敬遠する傾向が強くなってしまうということなんです。

結果的に営業員は高齢顧客との取引を出来るだけ回避し、高齢者の保有するリスクマネーは市場に供給されにくくなっています。もう既に起きているということです。

求められる取り組み

金融ジェロントロジーという枠組みの中で考えるべきかどうかは別として、高齢化による顧客の判断能力の低下という避けて通れない現実に対しては、3つの側面から対応を考えていく必要があると思います。

  1. 判断能力がないとされた高齢者の保有資産に対する金融機関側の柔軟な対応
  2. 判断能力が低下していくことに備えた商品や取引の提供
  3. 高齢化に備えた資産形成期から始める長期投資の枠組みとしての商品開発

この中でも特に速やかな対応が求められるのは①と思われます。常識的に考えて、顧客の口座から解約出金に応じることに相応の妥当性があると思われる状況でも、金融機関として何も出来ない。既にご家族の方から念書を差し入れてもらうことで、出金対応している金融機関もあるようです。しかしながら、個々の金融機関に任せるだけではなく、成年後見制度に加えた公的な枠組みや、自主規制機関等によるガイドライン的な枠組みなど、早急に検討するべきだと思います。