「デジタル鑑識」金商法で規定へ 契約締結前交付書面見直しも

12/18付け日本経済新聞で報道されていました金融庁の新たな取り組みの話題です。紙面では「悪質な違反事件などで・・・」という前提しか書かれていないため、非常に分かりにくい記事になっていました。金融庁のHPではもう少しわかりやすく説明されてます。

犯則調査における証拠収集・分析手続

17日に開催された金融審議会「市場ワーキング・グループ第18回」で配布された事務局資料の中に、「直接金融市場に関する現行規制の点検」という資料がありました。その中で2番目の話題として掲載されています。

金融商品取引法には、刑事訴訟法や国税通則法等に導入されている電磁的記録に係る差押え等の規定が整備されておらず、押収物たるパソコン等の外部にある電磁的記録の取得等を行う場合、任意の協力を求めるしかない状態になっている。とのことで、あくまで犯則調査における証拠収集・分析手続についての法整備をするということのようです。

犯則調査における・・・、としていますから、金融庁や監視委員会が銀行や証券会社に対して実施する検査ではなく、告発して刑事訴追することを目的とした犯則事件の調査において、ということのようです。この辺りが明確に書かれていなかったので、記事読んだ感触では通常の検査の話題と混同した人も少なくなかったのではないでしょうか。

契約締結前交付書面等の見直し

同じ資料の1番目の話題として掲載されているのが「契約締結前交付書面等の見直し」です。こちらは日経では取り上げられていません。金商法施行時に目玉であった顧客向け法定交付書面ですので、その見直しについては金融庁もかなり気を使っているフシがあります。日経にも取り上げないでくれとか言ってるんですかね。こちらは見直しを検討していく、というステータスのようです。

証券界にはこちらの話題の方が圧倒的に重要な話題です。この書面、証券会社が取り扱う商品ごとに作られていて、その商品を買い付けるまでの間に交付しなければなりません。株式や国債、普通社債や外国債券といった一般的な書面については、交付漏れ(これは法令違反になります)を防止するために、書面集といった形にして年に1回全顧客に一斉送付しています。

証券会社でお取引のある方でしたら、年に1回分厚い書面集が届くのをご存知だと思います。これが契約締結前交付書面集というやつだったんですね。ただし、中身をじっくり読まれた方はほとんどいらっしゃらないと思います。証券会社の営業員でも良く分からない箇所がたくさんですから。

投資家に商品をよく理解してもらうために導入された書面のはずが、証券会社が責任を回避するための書面になってしまい、一般の投資家には非常に難解な内容になっています。金融庁と日本証券業協会が証券会社と調整しながら作成しました。こんな法律は早く廃止しましょう。契約締結前交付書面とは別に、本当に投資家にわかりやすく作った資料を各社用意してますから。

温暖化ガス削減 脱炭素化へ向けた日本が誇る環境技術

日経12/16の記事でアメリカズ・プレッジのカール・ポープ副議長の言葉「日本には脱炭素化に役立つ環境技術がたくさんある。イノベーションを起こせる」 。記事では、富士通、NTT、トヨタ、積水ハウス、イオンといった企業の取り組みが紹介されていました。

公害って死語ですか

最近、「公害」という言葉を聞かなくなりました。環境汚染や環境破壊ですね。kuniが幼いころ、まさに高度成長期には工場などから排出される排ガスや廃液、廃棄物で日本中が汚染されていき、大きな社会問題になっていました。公害の二文字を見ない日はないと思われるくらいの惨状だったんです。今の若い人たちは公害という言葉知らないかもしれませんね。

その後、公害を防止するための様々な技術が開発され、川や海、大気もきれいになりました。というか、きれいになったとされています。そして公害という言葉が聞かれなくなり、環境汚染や地球温暖化などのように、日本人にとっての直接的な被害ではなく、地球レベルでの問題に置き換わったように、やや他人事のようになった気がします。日本以外の国では同じことが繰り返されているわけです。

日本の環境技術

日本が公害を克服してきた技術は世界トップレベルにあると言われます。冒頭の副議長の言葉にもあるように、世界に役立つ技術がたくさんあるんだと思います。ただし、その技術で会社が儲かるかどうかは別の問題でしょうし、だからこそ国家レベルもしくはそれ以上のレベルでの後押しが必要になるというものです。

こんな感じで少し調べものしていましたら、面白い記事を見つけました。日経ビジネスなんですが、「環境技術 日本が10位にも入らない理由」という記事。ただし、2011年9月ということで少し古い記事ですね。

それでも内容はなるほどという感じです。あくまで当時の話ですが、「代替エネルギーに関する特許の地域別の割合を見ると、なんと55%を占めているのが日本」とのこと。「太陽光発電に限ると68%になる」んだそうです。

ところが同じ時期にエネルギー・環境技術の国際会議で使用されたデータでは、「日本は世界の上位10か国の中に入っていない」という事実もあるということです。特許の数、つまり基礎的な技術は確実にあるけれども、それを活かすことが下手のようです。記事では「日本は情報戦が下手」としていました。

確固たる環境技術を世界のどこかにある需要に結びつけていく。従来からこうしたビジネスマッチングは総合商社の得意分野だと思われますが、環境技術のビジネス化の実態はどんな感じなんでしょうね。総合商社やメガバンク、国も一緒になって、日本の技術を世界に示していってほしいものです。

キャッシュレス決済 日本経済新聞の調査結果

調査概要 日本経済新聞と「日経クロストレンド」「日経FinTech」がマクロミルに委託し、10月25~30日に実施。全国1万人から回答を得た。クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、スマホを使ったモバイル決済、QRコード決済を対象に、認知度や利用頻度などを聞いた。そうです。

キャッシュレス「東高西低」

日々の買い物で使う金額のどれぐらいをキャッシュレスで決済しているか聞いたところ、全国平均は43%だった。47都道府県別のキャッシュレス比率では千葉(48.5%)や東京(48.4%)、神奈川(46.4%)など首都圏が上位を占めた。一方下位では、佐賀(31.9%)や宮崎(32.2%)、島根(33.6%)、徳島(34.9%)といった九州、中四国が並び、脱現金では「東高西低」の傾向が浮き彫りになった。とのこと。

記事でも指摘しているように、スイカやPASMOの存在が大きいんでしょうね。kuniも昼食はほぼPASMOで済ませてしまいますし、交通系電子マネーが使用できる自動販売機も多くなりました。

kuniの10月以降昨日までのお買い物を改めて思い出してみましたが、キャッシュレス比率が軽く8割を超えていました。ちょっと大きな買い物があって、いずれもクレジットカードを使用したのが要因ですが。ちなみに政府の統計と一緒で、口座振替は決済金額から除外してます。

QR決済「知らない」8割

違和感があったのがこのデータです。QRコード決済を「知っている」と回答した人が19%にとどまったとか。冒頭にこの調査の概要を引用しておきましたが、全国1万人という回答者のプロファイルも知りたいところですね。地域別の回答者比率や回答者の年齢層でこの手のデータはどうにでもなりますからね。

で、12月に入ってペイペイが購入額の20%分を還元するキャンペーンを行って認識度が上がっていると思われるが、これは今回の調査結果に反映されていないと断っています。ペイペイとLINEのキャンペーンを経て認知度が大きく上昇したという記事の伏線ですかね。

ソフトバンク19日上場

この手の記事を並べておいて、ソフトバンクのIPOの募集結果についても報じていました。応募倍率は2倍弱だったとのこと。やはり、このサイズの募集となるとこんなもんでしょう。SBI証券が当選株数を後から増やしてきたという話題も書いていましたが、証券会社はそれなりに苦労したと思いますよ。

ある顧客が5000株キャンセルしたとかの事例も取り上げていましたが、この程度の話は常につきものです。問題は核になる顧客。予定していた1件で100万株がキャンセルに・・・なんてのと戦うわけですよ、営業さんはホント、お疲れさまでした。

ACGAのコーポレートガバナンス ランキング 日本は7位

ACGA(アジア企業統治協会)がまとめた2018年のコーポレートガバナンスランキングでは、日本は7位だそうです。2年ごとにまとめるそうですので、前回は2016年。この時は4位ですから大きく順位を下げたことになります。

アジアのコーポレートガバナンス上位

1位はオーストラリア、2位香港、3位シンガポール、4位以降はマレーシア、台湾、タイと続いています。で、日本とインドが7位で、後ろには韓国と中国ですと。なんとも情けない結果ですよね。ACGAが評価する際の基準を詳細に公表しているわけではなさそうですが、いずれにしても残念すぎます。

日本に対する評価

このお話、日本経済新聞では12/14に報道されているんですが、調べてみるとロイターは12/6には報道してるんですよね。日本に対する評価として、「コーポレートガバナンス・コード」や「スチュワードシップ・コード」について触れているところの伝え方がかなり違ってます。

日経ではこれらを評価しているかのような書きぶりになっていますが、ロイターでは「厳しい規制改革よりもソフトローに焦点を当てることは、規制当局が少数株主の権利をめぐる問題に対処していないことを意味する」と、明らかに批判している書きぶりになっています。

2年間で多発した企業の不正

ロイターの方が正しく伝えているように見えますので、ロイターから引用します。ここ2年間で起きている日本企業の不正等を評価した結果だと思われますが、「社外取締役や監査委員会を通じた、取締役会レベルの監視強化による日本のガバナンス改善への取り組みは、見栄えはするものの、実際は多くの企業の取締役会ではほとんど変化はみられていない」という辛辣なモノになっています。

取締役会レベルでの監視の強化、に焦点が当てられていますが、日本の企業が抱える最大の課題ですね。取締役会レベルで監視する役回りは、社外取締役と監査役そして社外監査役です。このうち、社外取締役と社外監査役は、その会社のことをよく知りませんし、業界のこともよく分かっていないことが通常です。

加えて、監視される側は社外取締役や社外監査役に自身にとって不都合な情報を開示しようとしません。そうなると自ら進んで資料請求したり、納得できるまで事実関係を説明させるなどして、取締役会の円滑な運用を妨げるようなこともやっていく必要が出てくるわけです。

本気で務めるとなるとかなりしんどい仕事ですよね。ほとんどの会社が、そんな役割に見合う報酬を設定していないと思います。おそらくここが一番の問題です。監査役なんてもっとひどい状態ですよ。その辺りの実態をもっと社会で評価しなおす時が来たんじゃないでしょうか。

洋上風力発電 本格普及へ

太陽光発電の次に来るもの

北海道胆振東部地震では太陽光発電が今一つ活躍できなかった、というか少し悪者扱いすらされていたような感じがしました。で、次は風力発電ときましたか。まぁ、そんな感じでニュースを聞いていたんです。

少し気になって調べてみたんですが、資源エネルギー庁の資料によると、太陽光発電もなかなか活躍してたみたいですね。需給のバランスが崩れた中では、昼間だけ発電する太陽光発電は使いにくい。みたいなことが言われていたような記憶があります。しかし、家庭用の太陽光発電設備の多くは、停電時に自立運転を行う機能を備えていて、電力会社に売電するのではなく、自宅用の電力として使えたんだそうです。

同庁のアンケート結果によると、住宅用太陽光発電ユーザー428件のうち、約85%にあたる364件が自立運転機能を活用していたそうです。そうした人たちの声として「冷蔵庫、テレビ、携帯充電が使えた」とか「友達にも充電してあげ、喜んでもらえた」などが紹介されています。ということで太陽光発電がダメだからということではなさそうです。

11月30日 海洋再生可能エネルギー発電利用促進法 成立

海洋再生可能エネルギー発電利用促進法という新法が成立しています。従来は沖合での利用ルールが曖昧で、突然海が使えなくなるリスクがあったため、普及が進まなかったということらしいです。そのため、洋上での発電はもっぱら港湾内に限られていました。成立した新法により、国が5か所の海域を促進区域に指定し、最長30年間、その海域を発電用に占有できるようになります。

洋上風力発電のメリット

ではなぜ洋上風力発電なのか。まず、太陽光発電との比較で風力発電のメリットは、昼夜ともに発電可能であることがあげられます。もちろん風が止んだらできませんけどね。他にも、耕作地が減少したり、反射光が誰かの迷惑になったり、ということがありません。

また、洋上ということのメリットとしては、景観を損ねない。騒音問題がない。他にも巨大なパーツの運搬や組み立てが楽といったメリットがあるようです。確かに漁業や航路との関係さえ解決できていれば、人間の生活域から離れた洋上にはメリットがたくさんありそうです。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のHPで調べてみました。3枚のブレードからなる風車で風を受けて発電するわけですが、このブレード1枚がなんと50メートルの長さですと。将来的に計画されている最大級の7メガワットクラスになると、80メートルだそうです。風車の直径は160メートルですね。

海に囲まれた日本は、この洋上風力発電をしっかり活かして、失われつつある原子力発電、世界からまさに批判の的になっている石炭火力を、置き換えていくしかなさそうです。同じ海に囲まれたイギリスが世界一で、日本の百倍の発電量らしいです。今後の取り組みに期待しましょう。