TATERUの調査結果を受けて西京銀行は

TATURUの特別調査委員会が調査結果報告書を公表し、取締役等の処分が公表されましたが、同じ12/27に西京銀行も自行での調査結果を公表しています。第三者委員会や特別調査委員会ではなく、あくまで西京銀行自身による調査結果です。

何で同じ日に

西京銀行自身が行った調査結果なのに、なんでTATERUの調査結果が報告される日に合わせたのでしょうか。TATERUの調査過程で多数の改ざんが認められていて、それが公表されると当行にも飛び火してくる。そのタイミングで、当行には責任がないことを公表しよう。てな感じですかね。

なんかそう見えちゃいますよね。TATERUと比べれば調査対象件数も少ないはずで、ここまで引っ張る必要なかったんじゃないの、って思ってしまいます。公表した内容を見るとなおさらそう感じです。

プレスリリースの内容

プレスリリースにおける事実認定に関する部分を全文引用します。

(以下引用)TATERUの特別調査委員会の調査結果によれば、TATERUの従業員による資料の改ざんが疑われる事実があると認定されておりますが、当行の社内調査の結果では、当行行員が融資審査関連書類の改ざんその他の不適切な取扱いに対し関与したり、不審に思いつつ見逃し融資手続きを進めたりした事実は確認できませんでした。

 また、当行が融資を実行したTATERUのアパートについては、高い入居率があることを確認しており、TATERUが施工するアパート向け当行ローンについては現在、延滞はなく、これまでに貸し倒れ実績も発生しておりません。(引用以上)

内容の評価

もう少し簡潔に言うと、「当行行員が書類の改ざん等に関与したり、知りながら融資を行った事案はありませんでした」ということを言ってるわけですね。つまり、改ざんが行われたとされる350件のうちいくつかは西京銀行にもあるけど、うちの行員は関与していなかったし、その改ざんに気付くこともありませんでしたと。

関与していたかどうかをどのような調査方法で確認したのか、どういう客観的な証跡により、当行行員が気付く余地などないと評価したのか。この辺りに疑問が残ります。既に様々なところでTATERUと西京銀行の件は悪評がたっているわけですから、もう少し誠意を感じさせる調査結果を報告するべきだったのではないでしょうか。

金融庁が立ち入り検査を行うという報道がありましたが、あれってその後どうなったんですかね。今回のプレスではなんとも評価できません。当局検査の結果を待つしかなさそうです。

化粧品輸出 5,000億円超へ 日本経済復興のカギ

この記事も12/31日本経済新聞から。日本製の化粧品の輸出拡大が続いているという記事です。2018年の1月~11月の輸出額は前年同期比で44%増だとか。1年を通じて初の5,000億円台で、6年連続過去最高を更新することになりそうです。

インバウンド+アルファ

インバウンド消費(いわゆる訪日外国人旅行者の日本での消費のこと)だけでなく、帰国後もその商品をリピートしてくれているのが増加の一因のようです。今年も中国で日本製の輸出に弾みがつきそうな法律が施行されるらしく、さらなる売り上げ増加が見込まれるそうとのこと。この法律って何?

中国で化粧品を販売するためにはCFDA申請なるものが必要らしいのですが、その方法について大きな制度変更が行なわれるようです。登録手続きの撤廃や輸入港の制限撤廃、申請できる地区の拡大といった規制緩和が行われるのではないかという観測があるみたいですね(長くなりそうなのでかなりザックリ説明しました)。 資生堂、花王など。日本の化粧品製造販売メーカーの対中ビジネスに追い風となりそうです。

東京オリンピックと大阪万博の経済効果

大阪万博が決定して以降、東京オリンピックや大阪万博といった催しを高度成長期のイベントの焼き直しとする批判的な意見をよく見るようになりました。「当時の成功体験を持つシニアの短絡的な発想」であったり、「こうしたイベントが経済、産業に与えるインパクトは過去のモノとは比較にならないほど小さい」といった意見です。

確かに日本の経済、産業はあの当時とは大きく変化しました。しかし、やることが決まったんだからどうやって成功させるかを考えるべきじゃないでしょうかね。kuniとしてはこのところのインバウンド消費に注目していまして、さらに帰国後の継続消費にも期待したいところです。

前回との違い

前回と今回の違いはインバウンド消費+αだと思います。前回も多くの外国人観光客を誘致したと思いますが、今回は間違いなくアジアからの訪日客が爆発的に増加するものと思われます。日本が変わった以上に、中国をはじめとしたアジアの国々は大きく発展を遂げました。その富裕層たちの購買力は今更説明する必要はないと思われます。

欧米人にとっての日本商品とアジア人にとってのそれはおそらく違っていて、アジア人は先ほどの化粧品のようにインバウンドで手に取り、買い付け、帰国後もリピートしてくれるんですね。文化や生活様式が近いアジアの人たちだけに、より生活に密着したレベルで日本の商品の魅力を知るきっかけになるはずです。中国、インド、アジアの人口侮れませんよ。

日本の魅力的な商品はハイテク産業機械や自動車だけではありません。化粧品や食品に至るまで、いくらでもあります。ホスピタリティを軸としたインバウンド消費。そしてインバウンド+α、日本経済再興のキーワードのような気がします。

先端技術研究 電池、電力の考察

明けましておめでとうございます。

昨年8月からブログを始めまして、分からないことばかりでしたが、何とか毎日更新を続けてくることができました。読んでいただいてる皆さんに何らかのお手伝いができていればと思います。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

昨年最後 12/31 日本経済新聞一面は「先端技術研究 中国が先行 30テーマ8割で首位」という記事でした。まぁ、中国の躍進といったら、、、凄いことになってるんですね。掲載された一覧表を見てあらためて驚かされた方は多かったんじゃないかと思います。

加えてすべてのテーマにおける論文数で日本が1位になっているものがない。最高でも3位なんだそうで、これにはがっかりというか、危機感を覚えました。皆さんはどう感じましたか。もちろん論文の数だけではないんでしょうが、これはこれで一つのアプローチの仕方ですよね。

最も注目されるテーマ 電池

世界の研究者たちが最も注目している先端技術のテーマで、最も多かったのが「電池」に関するものだったようです。ベスト10だけみても全部で5テーマがランクイン。「ペロブスカイト」、「ナトリウムイオン電池」、「リチウム硫黄電池」、「有機薄膜太陽電池」、「電気二重層コンデンサー」という順でした。

やはり、次世代の電気自動車やロボットなど、新しい産業の要となる新技術ということですね。これに加えて脱炭素を目指す世界の方向性というのもあると思われます。電池というカテゴリーになっていますが、ペロブスカイトは新しい太陽電池の材料ですし、有機薄膜太陽電池もあり、再生可能エネルギー関連技術も2テーマ含まれています。

日本が抱える喫緊の課題

以前、洋上風力発電の記事でも書きましたが、いま日本は原子力発電で躓き、石炭火力等に頼っている状態です。震災による不幸な出来事ではありましたが、時計の針を戻すことができないのも事実です。であれば、その不幸を味わった日本でしかできない技術革新をしていきたいものです。

ただ、いくらカッコイイこと言っても、kuniにはそんな技術も知識もありませんので、ブログを通じて少しでも何らかのお手伝いができないものかと考えております。日本が抱えている喫緊の課題は、原子力発電に代わる再生可能エネルギーを如何に速やかに手に入れるか。今年もこのテーマについて深掘りしながら、皆さんにご紹介していきたいと思います。

TATERU 特別調査委員会 調査結果報告書

今年9月に設置されたTATERUの特別調査委員会が、12/27に調査結果報告書を公表しました。建設資金の借り入れを希望する顧客の預金通帳残高を水増しし、実際よりも多く見せることで、銀行の融資審査を通りやすくしていたという事件です。

本調査の留意事項(調査の前提)

冒頭の留意事項にはいくつか気になることが書かれています。
・入手した資料等から確認できた内容の全てを網羅的に記載したものではないこと
・入手した資料はTATERUから提供を受けたものであり、メールサーバや個々人のメールを独自に全て収集し精査したものではなく、限定的なものであること
こんな感じです。

ほかにも、検討対象となった資料の署名・押印は真正であることを前提としているとか、TATERU側が提出した資料が基本的に正しいことを前提としているとか。社員に対するヒアリングも営業系社員に限定されていたりと、読んでいて全体的に適切性や十分性において疑問を感じさせる内容でした。

第三者委員会日弁連方式

当ブログでも何度か取り上げてきたスルガ銀行などの場合は、日弁連方式で実施した旨が冒頭で書かれています。日本弁護士連合会が公表している「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に即した第三者委員会の運営のことで、企業からの独立性を強く意識した運営方式です。

調査報告書の事前開示は一切せず、企業の現在の経営陣に不利な内容も報告書に記載します。もちろん、真に正しい報告書が出来上がるのであれば、この日弁連方式以外の方法でも全然かまいません。しかし、「会社のことを本気できれいにして再生したい」と思うなら、今のところ日弁連方式を選択すべきです。

TATERUの特別調査委員会の委員も濱法律事務所とTMI総合法律事務所の弁護士となっていますので、委員会設置に際して日弁連方式の選択についての提案はあったものと思われます。しかしながら、その選択はされなかったということのようです。

調査結果

と、こんなふうに、前提がかなり怪しいなぁ、って感じではあるんですが。調査の結果、「営業部長以下31名の従業員が不正に関与し、2,269件の成約物件のうち350件で改ざんがあった」となっています。同時に営業担当常務の辞任、他の取締役の役員報酬減額も発表しています。新聞等ではここの部分くらいしか報道されてません。

調査結果や改善策を見ても、納得感のない点がいくつか。まず、部長より上の経営層には何の責任も認められなかったこと(つまり部長以下の判断で行われたこととして、トカゲのしっぽ切りになっていないか)。そして、「上場前から不正が行われていて、それを発見した際にも、経営が適切な対応を取っていなかったこと」に関する評価の部分。

今年は上場直前に上場申請が取り消される事件が何度かありました。TATERUも上場審査が適切に行われていたら、上場延期、もしくは申請の取り消しとなっていたかもしれません。上場により莫大な創業者利益を得たCEOや役員にとって、今回の減給なんてゴミみたいなもんですね。

SMBC日興証券 インサイダー取引事件(その2)

前回書いたように、SMBC日興証券では近年2回のインサイダー事件が起こっています。2012年には組織の頂点に位置する執行役員。そして今回の事件は組織の底辺に位置する新入社員です。また、執行役員は銀行からの天下りでしたから、いずれも証券会社に入って間もない二人という見方もできますね。

証券会社の実務を知らない人達

二人とも証券会社の実務を知らない人達ですね。ここでいう実務というのは、株や債券を顧客に買ってもらう苦労を指しています。特に株式の場合は、よほど顧客に気に入ってもらい、信頼されないと買ってもらえません。やっと買ってもらったにしても、信頼してくれた顧客を裏切るような結果になることもしばしば。

そういう経験を積み重ねて、インサイダー取引や相場操縦といった、いわゆるマーケットにおける禁じ手を憎む下地ができてくるんだと思います。インサイダー取引に関する研修は受けていたはずですが、しっかり腹落ちしていない。みんなが一生懸命努力して相場に参加しているのに、そんな卑怯なことは絶対だめだという感覚になっていないんだと思うんですよね。

投資銀行業務の特殊性

今回の事件は、いわゆる投資銀行業務に従事している者による犯行です。投資銀行業務は証券会社の中でも最も人気のある職種で、採用段階から一般コースとは別扱いしている業者が多いと思います。一般的にはまず最初に営業店で証券営業を経験させるんですが、高学歴で野心家の投資銀行業務志望者は途中で辞めてしまうんですね。

だから入り口から支店営業をさせずにいきなり投資銀行業務に就きます。これが正直問題ではないかと思います。先ほど書いたように証券の実務を経験しないので、法令等に関する実感がないんです。会社からちやほやされ、2、3年で大きなビジネスをし始めるので、すぐに天狗になり、そんな奴が多いような気がします。おまけにそこを踏み台にして外資系に転職するシナリオまで描いている人が多いんです。

あとは証券アナリストですかね。この人たちも証券実務を知らず、特殊なキャリア形成をしていくので、ルールに関して鈍感で、違反も多いですし、何様?って感じの人が多いですね。実務を経験していない証券マンは要注意です。

職業倫理 プロ意識 企業文化

SMBC日興証券に話を戻しましょう。悪意を持った犯罪を二度と発生させないために、改善策がてんこ盛りです。プリンターに印刷した紙を取り残さないようにする仕掛けや、個室(会議室)の増設、モニターカメラによる監視、誓約書を年に2回提出させる、など。

極めつけがこれです。「職業倫理とプロフェッショナル意識を企業文化にまで定着させる」。問題はどんなふうに実現するか、ですね。素直にそこを教えてもらいたいです。文字にすると格好いいし、美しいですが、、、、その実態は泥臭い研修等の繰り返しですかね。SMBC日興さん、大変だと思います。