荷物積み下ろしパワードスーツ 日本航空が導入

2/13 日本経済新聞の記事です。日本航空が空港で手荷物や貨物を積み下ろす作業用に、パワーアシストスーツを導入したというニュース。着用型ロボットを手がけるATOUN(アトウン、奈良市)という会社のパワーアシストスーツだそうです。

ATOUNという会社

タイトルのパワードスーツはちょっと言い過ぎだけど、こういうの興味わきません?ちょっと古いですけど、映画エイリアンで主人公がパワードスーツを着てエイリアンと戦うシーンがありました。こういうロボットなら作れるかもしれないな、と思ったものです。

で、ATOUNという会社について調べてみました。松下電器産業(現パナソニック)の社内ベンチャー制度「パナソニック・スピンアップ・ファンド」で2003年に設立されたんだそうです。当初の社名はアクティブリンク。2017年に社名変更してATOUNになってます。「あ」と「うん」で、あうんの呼吸で動くロボットを目指すということからつけられた社名らしいです。

資本金は4億7200万円、パナソニックが69.8%、三井物産が29.9%の株主となってますね。本社が奈良市で、支社が福井県越前市(昔の武生)ってのがまたシブいじゃないですか。

ATOUN MODEL Y

今回報道されたのは MODEL Y という商品のようで、「腰の動きをセンサーがとらえ、パワフルなモーターの力で重量物をもったときにかかる腰部への負担を軽減する着るロボット」と説明されていました。彼らは「POWERED WEAR」と呼んでますね。

なるほど。人間の筋力を大幅に増幅させる機械ではなく、腰にかかる力を別の部位に分散させ、腰を痛めたりしないように守ってくれるというのが主目的のようです。エイリアンとは戦えなさそうだな。HPでは計4種類の製品が紹介されています。ちなみに、この MODEL Y の価格は60万円~70万円だそうです。

そして、ありました。プロトタイプ。大型パワードスーツ コードネーム NIO 。現在開発中の、ヒトの能力を拡張する重作業パワードスーツ。人間が包まれるような恰好で、エイリアンに出てきたヤツに似ています。動画も紹介されていまして、なんと、日産のテレビCMに出演していたんですね。

将来性ありそうです

今回は日本航空の地上業務で紹介されたわけですが、作業を続けていると腰が痛くなってしまうような業務。介護の現場だとか、おそらくそういう職場にかなりのニーズがありそうです。日本航空では MODEL Y を使用しながら、一緒に開発にも加わるみたいです。非常に楽しみな取り組みですね。まさに、日本における少子高齢化、人口の減少全てに役立ちそうなテクノロジーです。

IR (Integrated Resort) 統合型リゾート

金融財政事情の最新号で「大穴候補が巻き返し、三つの座を巡るIR椅子取り合戦」という記事がありました。勉強不足ですねぇ、IRの意味がすぐには分かりませんでした。証券の世界でIRと言うときは investor relations であり、「企業が株主や投資家に対して、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供する活動全般」を指すんですが。

IR(統合型リゾート)

ここでいうIRは統合型リゾートのことでして、法律上は「特定複合観光施設」というのが正確な名称のようです。法律の名称も「特定複合観光施設区域整備法」となっています。昨年末に、全国9か所で行われた同法に関する説明会で使用した資料が、分かりやすく書かれています。

当該資料によると、IR(統合型リゾート)とは、
① 「観光振興に寄与する諸施設」と「カジノ施設」が一体となっている施設群
② カジノの収益により、大規模な投資を伴う施設の採算性を担保
③ 民間事業者の投資による、集客及び収益を通じた観光地域振興
④ 民間事業者の投資による、新たな財政への貢献
と、冒頭でこんなふうに説明されています。

施設群の内訳としては、カジノ、ホテル、レストラン(ショッピングモール)、エンターテイメント施設(劇場、水族館等)、MICE(国際会議場、国際展示場)が紹介されており、これらを一体的に整備・運用するとしています。

そして、「我が国におけるIR導入に関する根本原則」を「我が国におけるIRの導入は、単なるカジノ解禁ではなく、また、IR事業を認めるだけのものではなく、世界の人々を惹きつけるような我が国の魅力を高め、大人も子供も楽しめる新たな観光資源を創造するものでなければならない」と謳っています。何だかずいぶんと美しくなりましたね。

認定区域整備計画は上限3

特定複合観光施設の区域整備は3か所までと法律で定められています。三つの座というのがこのことですね。現状では、大阪市と苫小牧市が候補地としてリードしているようですが、他にも北海道留寿都村、和歌山、名古屋、静岡県牧之原、といった自治体が名乗りを上げているそうです。で、なんといっても東京が本命とか。

今のところ具体的な話は出てないようですが、そもそも石原都知事の「お台場カジノ構想」で始まったようなもの。今は様子を見ていますが、東京がド本命というのが、この記事の見立てでした。

おまけ

この特定複合観光施設区域整備法には妙に3がたくさん出てきます。指定する地域が3か所、事業者免許の有効期間3年、日本人の入場規制は7日間で3日、入場料は3,000円など。また、カジノ事業者の儲けは、国庫と自治体それぞれに15%の納付を義務付けてますから、合計30%ですね。

花粉症の対策 スギ新品種へ植え替え進まず

2/11 日本経済新聞の記事です。せっかく開発された花粉が少ないスギの新品種だが、林業が不振で現在あるスギの伐採利用が進まず、従って新品種への植え替えも進まない。という内容の記事です。

花粉症の季節が始まりますね

花粉がほとんど出ない新品種のスギなんてのが、既に開発されていたんですね。風が吹いて桶屋が儲かるみたいな話ですが、木造住宅沢山建てて、国産のスギ大量消費して、植え替えを進めていかなきゃならんですね。

記事では東京都による調査結果を載せていましたが、花粉症の人の割合は2016年度でなんと45.6%。10年前との比較では17.4ポイントの上昇だそうです。東京は全国平均より高いんですかね。しかし、二人に一人が花粉症なんだ。

まぁ、言われてみればそうかもしれません。kuniも一応東京都民ですが、4人家族でkuniを除いて3人がみな花粉症です。家族における花粉症罹患率は75%です。東京都民の平均が45%でも全然不思議じゃありません。

スギの花粉が飛ばなくなったとしても

ヒノキやブタクサなど、スギ以外の花粉症ってのも聞きますよね。だから植え替え進めても、花粉症がなくなるわけではありません。海外の調査結果を見ても、スギ以外の植物で日本と変わらない花粉症患者がいるみたいですしね。

また、花粉は根本原因ではなく、花粉を敵と勘違いして免疫機能が働いてしまう人間の身体の機能が問題のような気がします。もちろん、林野庁がそれを研究するわけではなく、医学がいずれ解決してくれるでしょう(どれだけ先のことか分かりませんが)。

マスク、マスクの異様な光景

日曜日に新宿に出かけました。相変わらずものすごい人でしたが、マスクをした人が多いこと。おそらく今はインフルエンザの予防のためなんでしょう。これが来月辺りから5月くらいまでですかね、花粉症マスクに置き換わっていきます。最近は、白だけではなくカラフルでスタイリッシュなマスクも増えてきました。

しかし。しかしですよ、こうやって予防のためと称して、マスクをつけるのが習慣化してしまうのって如何なもんでしょう。日々無菌室で生活しているようなもので、どんどん身体弱くなっていきますよ。大きなお世話かもしれませんが。厳しい環境がタフな身体を作るんです。

会社でもよくある光景です。マスクしている奴に「風邪ひいたのか?」と聞くと「いえ、予防です」と。こういうヤツほどすぐに風邪ひくんですね。インフルエンザもそう。予防接種が始まると一番に受けてくるヤツ。しっかり一番にインフルエンザで会社を休む。なんだかボヤキになってきました。今日は大幅に話が脱線したまま終わりにします。

不祥事対応での第三者委員会報告書と秘匿特権

皆さんは猫レンジのお話、ご存知でしょうか。米国でおばあさんが濡れた飼い猫を乾かそうと、電子レンジに入れてチンしてしまった。当然猫は死んでしまうんですが、おばあさんはレンジの取扱説明書にそのことが書かれていなかったとして、メーカーを訴え、勝訴したという都市伝説です。今では、それくらい米国が訴訟社会であるというたとえ話ですが、昔は本当にあった話のように伝えられてました。

2/11 日本経済新聞の記事「公表リスク悩む企業 不祥事対応での第三者委員会報告書」は、まさに訴訟社会である欧米と日本の違いを感じさせる記事です。

秘匿特権というのは、弁護士と依頼人のやり取りについては、裁判の証拠から外すことができるという権利で、日本にはない権利だそうです。米国における訴訟を準備せざるを得なくなっていた神戸製鋼は、秘匿特権を放棄したと見られかねないため、第三者委員会報告書の公表をあえてしなかったということのようです。

秘匿特権を放棄したとみなされた場合、当局調査や集団訴訟に対して、証拠をすべて開示せざるを得なくなるということですね。

日本の特殊性

一方で日本では、弁護士等で構成された中立の立場の第三者委員会が徹底的に調査し、結果を隠すことなく正直に公表する企業の姿勢を評価するお国柄。訴訟等で不利になる材料を提供することになるかもしれませんが、世論や社会を敵に回すよりは良いという判断があると思われます。

米国ではしばしば法外な(日本人から見て)賠償請求が認められるのを見聞きします。当局から受ける罰金なんかもそうですよね。日本では考えられない高い罰金を科せられ、その金額から、この会社は信用を無くしてもう駄目なんじゃないか、と思われる会社が結構その後も普通に存続します。

日本における賠償金(少額)と社会における信用の遺失(ダメージ大)=米国における賠償金(膨大)と社会における信用の遺失(小)、という関係が成り立ってるのかもしれませんね。日本では訴訟で負けてお金を払ったら決着とはなりませんが、米国では多額の金を払うので、それで決着してしまう文化があるのかもしれません。

第三者委員会の公正性と客観性

米国における訴訟との関係で、第三者委員会の調査結果を公表するかどうかという論点があることは理解しましたが、これも極端に突き詰めてしまうと、昔のオリンパスみたいに隠蔽に走ってしまうんじゃないかと心配になります。訴訟を控えてどこまで客観的な情報に蓋をするのか、そういう意味では同根ですよね。

米国等での訴訟を意識したとは到底思えない厚生労働省。第三者委員会の面談に幹部社員を同席させていたとか、という信じられないことが起きています。「第三者委員会の調査結果報告書を弁護士名で公表するかどうか」という話と、「第三者委員会の公正性と客観性を守ること」は別の話ですからね。

スルガ銀行 TATERU レオパレス21 サブリースショック 地銀

レオパレス21の界壁問題がまた新たに報道されています。昨年は必要な「界壁がない」という施工不正でしたが、今年2/7に新たに1,324棟で施工不正が見付かったと公表されたのは、界壁や外壁の中に充填している素材が問題になっています。

ということは、昨年来調査してきて、界壁が施工されているとして不備なしとしてきた建物についても、その充填素材に問題が見付かっているということになりますね。まず、天井の耐火性に問題があるとみられる641棟に住む7,782人に転居を要請するそうです。遮音性を満たさない物件などの入居者を含めると、引っ越しを促す総数は約1万4000人。住宅建設を巡る不正では異例の規模のようです。

とにかくまぁ、よろしくない噂や係争だらけのこの会社、今回はさすがにアウトっぽいですね。株式市場ではストップ安比例配分となったようですが、株主もよくここまで持っていたなぁというのが素直な感想です。もっとも、現保有者ってのは、既に切った張ったの投機家たちなんでしょうけど。

サブリースショック

サブリースショックが現実味を増してきました。スルガ銀行、TATERU、レオパレス21、、、とサブリースに関して不正を行ってきた上場企業の揃い踏み。レオパレス21の顧客(アパートのオーナー)は実に7割がリピーターだとか。これまでの報道でも明らかになってきていますが、本来貸せる相手ではない顧客への過剰な融資が、ここまでアパート投資を拡大させてきた最大の要因です。

サブリースという顧客のすそ野を拡大する枠組みに、貸出先に困っていた地銀が過剰な融資で資金を供給。不動産業界と金融界のニーズが一致する、20世紀末のバブルと同じメンツです。今回もここにちょっとしたバブルが膨らんできました。レオパレスの件がトリガーとなって弾けてしまうのかもしれません。

時を同じくして、2/9付け日本経済新聞では、とても小さな記事でしたが、「銀行のカードローンの融資残高が、2018年末時点で前年末比0.8%減の5兆6995億円と8年ぶりに減少した」と日銀が公表したことを伝えています。こちらも利用者の返済能力を上回る過剰融資が問題視されていた件です。

また、1面トップでは「銀行融資 危うい復調 20年ぶり500兆円」という記事もありました。「日銀の分析によると地銀105行のうち過去3年間に貸出量を増やした銀行は、増やさなかった銀行よりも収益力が落ちていた。」という内容です。地銀の貸出先がかなりやばいことになっているわけです。

地銀の抱えるリスク(おさらい)

以前の記事で書いた、地銀の抱えるリスクを再掲しておきます。③と④について、大きな変化が出てきました。⑥の保険の販売についても販売態勢(説明態勢)の見直しが4月頃に行われるようです。

①従来よりもリスクの高い顧客層への貸し出し
②大都市等、他の地域へ進出した貸し出し(主に住宅ローン)の拡大
③アパートローン(サブリース問題も含む)への過剰貸し出し
④個人向けカードローンへの過剰貸し出し
⑤有価証券運用(投資信託と外債への投資が中心)
⑥投資信託や保険等の金融商品販売