フィラデルフィア半導体株指数 SOX指数 新高値

先日、「長短金利逆転とフィラデルフィア半導体株指数」という記事で二つの先行指標について書きました。その後者のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が、先週あっさり新高値をとってきました。先週末の終値は1477ポイントです。雇用統計が市場予想を上回ったこともあり、米国株全体に引き締まった展開になりました。

長短金利逆転から1年以内にマーケットが天井を迎える。先行指標となるフィラデルフィア半導体株指数が新高値。こうなると、今年の年末辺りに向けた上昇相場が始まったと考えるのが妥当なところでしょうか。

悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ

相場の格言に「相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というのがあります。アメリカの有名な投資家、ジョン・テンプルトンの言葉です。この格言に当てはめると、皆さんは今どういう局面だと思われますか。kuniは今はまさに「懐疑の中で育ち」という局面ではないかと思っています。

米中貿易戦争が継続し、明らかに景気は悪化している。スマホはもうこれ以上成長しそうにない。まぁ、悪い材料には事欠かないわけですが、マーケットは下げません。皆が景気の先行きに悲観し、マーケットにも懐疑的な中、実は相場は育ち始めているんだと思います。

5G 米国でスタート

先週、米国で5Gが始まりましたね。韓国の方が先だという主張があるようですが、、、実測値では4Gの数倍のスピードしか出ていないとか(100倍のスピードになるはずだったのに)。なんでも発祥の地としてしまうお国柄ですからね。とにかくサービスがスタートしたわけです。ここから不調のスマホの分を上回る半導体等の需要が立ち上がってきそうです。

日本での5Gは来年以降になるようで、世界的には第2グループだそうです。半導体等の本格的な需要はこの辺りでしょうが、マーケットは常にこうした実需に先行して動きます。日本では今年は助走段階であり、その先に東京オリンピックが控えます。

オリンピックに向けた建設等の従来のインフラ投資は一巡したかもしれませんが、5G関連、Iot関連投資はまさにこれからです。5Gはまさにインフラそのもの。その先にIotをはじめとした様々な新しい技術開発、サービスが花開くはず。強気でいいんじゃないでしょうか。この後の東京市場の動向、楽しみになってきました。

見えているはずなのに、見えていない 選択的注意

先週、ある日の出来事。kuniは喫煙者なので、仕事中も一定時間ごとに喫煙室に行くんですね。この日も何度か行ったのですが、喫煙室のすぐそばの廊下で公衆電話を発見しました。あの緑のヤツです。この廊下、一日に10回くらい通っているのに、そこに公衆電話があることに気付いていませんでした。実際設置されている公衆電話は激減してますしね。

たまたま、その公衆電話で話している人が居たから気付いたんです。最近はみんなスマホ(一部にガラケーの人もいらっしゃいますが)持ってるので、この公衆電話も使われている場面に出くわしたこともなかったんだと思います。

自分に必要なくなったモノ、というか、とりあえず今必要ないモノって、目には入ってるんだろうけど、脳が認識しないんですかね。昨日までのkuniだと、「このビルに公衆電話あるでしょうか?」なんて誰かに尋ねられても、答えに窮していたと思います。これを見付けてから、自分の部屋に戻るまでに、もう2台見付けました。注意して歩くと見付かるんです。

いやぁ、これってある意味びっくりでした。見えているはずなのに、見えていない。こんなことホントにあるんですね。会社の仕事の中とかでもこういうことってあるんだろうか?真剣に考えさせられます。

選択的注意 カクテルパーティ効果

この日kuniが経験したような、「自分が興味のあるものだけが目に入り、それ以外の情報が全く意識に入ってこない」みたいなことを、専門的には「選択的注意」と言うんだそうです。「知覚した情報のうち、一部の情報だけを選択して注意を向ける認知機能」だそうです。今回は視覚のお話でしたが、聴覚においては「カクテルパーティ効果」というのも有名らしいです。

kuniのこの貴重な体験、認知心理学だったかな、立派に研究対象になっている出来事、経験なんですと。皆さんが務めている会社のビル、公衆電話がどこにあるか思い出せます?

野村證券 構造改革 縮小・撤退

国内証券トップの野村証券が構造改革策を発表しました。3年間で1,400憶円のコストを削減し、経営資源の選択と集中を行うとのこと。地銀、メガバンクを飲み込んできた構造不況の波がとうとう証券界まで達したのか、というちょっとショッキングな日本経済新聞の記事です。

株式市場が最悪期を抜けた2014年頃、大和が一気に営業所を拡充するなどの強気の店舗展開を見せました。これに続いて、日興、野村も久しぶりに新店を出していたと思います。当時強気の出店は、準大手以下にも波及していましたが、あれから僅か5年弱でこの野村の動向。他社もこれに続くのか見ものです。

強気の出店攻勢から弱気の撤退へ。昔から何度も見てきた光景ですが、これまでは基本的にマーケットの変動に応じたものでした。相場が良くなると強気出店。相場が低迷すると撤退。新規出店しても、その支店が採算とれるようになるには相応の時間が必要で、撤退するときは新規に出店した支店から閉鎖していきます。証券会社らしいでしょ、損切りは早めに、、、みたいな。

店舗2割減と営業スタイルの変更

欧州のトレーディング事業や米国のハイイールド債トレーディングからの撤退、コーポレート部門のシンプル化、については正解だと思います。が、やはりこの会社の場合は国内の支店営業がどうなるのかが注目されます。2割、約30店舗以上を統廃合し、営業員6,900人のうち3,300人の配置を変えると日経は伝えていました。

実際に野村がインベスターデーで使用した資料も読んでみましたが、従来はその境界線が曖昧だった、法人等、富裕層、マスアフルエントを担当する組織を、明確に分離しようとしている(このため配置換えが起きる)ようです。そのうえで法人・事業オーナーや富裕層における資産収益率を拡大するという、まぁ、どこの会社でも同じようにトライしていて、なかなか実現しない目標に取り組むみたいです。目新しさはありませんでした。

営業の現場はどう受け止めるのか

これまで最強の営業部隊といわれていた支店営業ですが、顧客本位の業務運営に舵を切ったとたんに、やはり収益力は低迷しました。さらに3年間で5人もの警察逮捕者を出してしまった野村。どこかがおかしくなってきています。

今回の支店の統廃合や組織再編、カニバリを起こしかねないネットの強化などなど、経営のメッセージは営業の現場にどんなふうに伝わるんでしょうね。場合によってはリテール空中分解みたいな状況もあるかもしれません。一番しんどい想いで頑張ってる人たちに、どう真剣に向き合ってやれるか、、、だと思いますよ。

りそな銀行 レオパレス21

選択という情報誌の4月号に、りそな銀行の記事が掲載されています。2003年に公的資金の注入により、実質国有化されたりそな銀行。その3兆円の公的資金を2015年にやっと完済したわけですが、そこに今度はレオパレス21がらみの投資用不動産関連融資の問題が浮上しているというお話です。「公的資金再注入の危機」などという物騒なサブタイトルも。

スルガ銀行との比較

スルガ銀行は不動産業者とつるんで、融資の条件となる預金残高等の改ざんにより、不正融資をしていました。このことが明るみに出ることでスルガ銀行は制裁を受け、また採算が取れない無理な貸し付けにより、オーナーが返済不能に陥ってしまうという構図でした。不動産業者も銀行も悪事を働いていたということです。

一方でりそな銀行の場合は、今のところこうした不正は確認されてなさそうです。レオパレス21の施工不良問題が泥沼化したことで、レオパレス21関連の投資用不動産に貸し付けた資金が大量に不良債権化するのでは、という構図のようです。

施工不良の解消のための改築費用や、入居者の引越費用などにより、レオパレス21の業績は相応に悪化するでしょうし、入居率が大幅に低下してくると彼らのようなサブリース業者は「オーナーへの支払い>実際の家賃収入」という状況になり、毎月一定の資金がキャッシュアウトしていきます。それでレオパレス21はアウトに、という見立てですね。

レオパレス21オーナーへの融資残高

一方で、オーナーはと言うと、入居率が下がっても一定期間は家賃保証がありますが、いずれ条件が改定されて、家賃収入が低下。「借入の返済額>家賃収入」となってくるあたりから、返済不能に。銀行にとっては不良債権化するわけです。

りそな銀行のレオパレス21関連の投資用不動産向け融資残高は、記事では8,000億円~1兆円と推測して、これが不良債権化した場合に、りそなに何が起きるかということを書いています。まぁ、確かにこの想定通りだと、かなり危ないことになってきますね。

世間的にもアパートローンの出し手としては、かなり有名な銀行でした。スルガ銀行、西京銀行、そしてりそな銀行。ありえない話でもなさそうです。いずれにしても何度か書いてきたように、サブリースショックが現実のものになりつつあることは間違いなさそうです。

三菱UFJ銀行 指定金融機関 辞退

このニュース自体は今年2/25に流れていたものです。地方自治体の公金収納や支払い事務などを受託する指定金融機関。三菱UFJ銀行が、芦屋市や宝塚市、明石市、伊丹市、池田市、所沢市など、10市程度の地方公共団体の指定金融機関を、辞退することになったというお話。

三菱が口火を切った

その昔、指定金融機関になることは、多額の公金預金の受入れや縁故債の引受などのメリットがあり、銀行同士が結構競い合ってた記憶があります。その見返りとして、銀行は窓口収納業務など各種手数料を無料化または大幅割引してきました。今ではそのメリットもなくなり、全くコストに見合わない業務となってしまったため、いただくべきコストをちゃんと払ってくれという交渉が始まっていたんですね。

しかしながら、ここに出てきた10市はいずれもその交渉を受け入れなかったということです。ちなみに、芦屋市の場合は、年間7万200円だった費用を、1500万円というレベルに引き上げる交渉だったそうです。これだけ見ると吹っ掛けてる感じですが、実際にかかっているコストであり、妥当な要求なんです。

10市はいずれも、三菱UFJ銀行が輪番制で指定金融機関を務めていた先のようで、三菱が口火を切った形です。そのため、他の銀行も地公体との交渉がしやすくなったようで、10市の中には、三菱と一緒に輪番を組んでいたもう一つの銀行が交渉を続け、手数料等の増額に成功した事例も出てきたとか。

銀行が好調だったころの慣行

時代が変わって、銀行も国や地公体にコスト割れのサービスを続けていくことができなくなりました。三菱と言えば3年ほど前、国債の入札に参加する際の特別な資格である「国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)」を返上したという出来事もありました。この辺りから、既に三菱はコストに関してかなり敏感に対応していたように感じます。結果的に、御上よりもステークホルダーを志向し始めている。そんなふうにも言えるかもしれませんね。

昔の慣行にメスを入れ、地方の指定金融機関の座は地方金融機関に返すことになっても構わないという判断。これをきっかけに銀行界が当然の要求をし始めるといった新しい潮流を作ろう。そんな狙いもあったのかもしれません。

三菱UFJモルガンスタンレー証券

最後に脱線。昨年、三菱UFJモルガンスタンレー証券が国債特別資格を停止される、というニュースがありましたが、こちらは国債先物取引で相場操縦をしてしまったことに対する処分でした。上記の話とは違います。。。実は2004年に、当局検査において検査忌避で業務停止命令を受けたUFJ銀行(当時)も、同じ資格取り消しを受けてます。三菱UFJグループ、この資格とは因縁があるようで。