新紙幣は何をもたらすのか

新紙幣が2024年度上期に発行されることが決まりましたね。渋沢栄一、津田梅子、北里梅三郎の3人の肖像が使用されることになりました。紙幣の偽造を防止するため、20年に一度こうして新紙幣に変更するんだそうです。いやぁ、それにしても福沢諭吉がもう20年にもなるんですね、歳も取るわけです。

新紙幣の効果

新紙幣に変わることで、タンス預金を流動化させる効果があるんじゃないかとも言われてますね。う~ん、確かにその影響はあるかもって感じですが、旧紙幣も別に使えなくなるわけじゃないしなぁ。けどまぁ、旧紙幣で貯めこむより新紙幣の方が良いかも。っていう程度ですかね。

キャッシュレス決済を推進しようとしてるのに、なぜこのタイミングで新紙幣なんだろう?っていう疑問もありますよね。加えて、新紙幣に変更される5年も前に発表されたことや、新元号「令和」が発表された時期とも重なることも。この辺りには、いろいろと政治的な思惑もあるんでしょう。祝賀ムードや景気への刺激という効果も狙ってるような感じです。

それでも新紙幣発行で1兆3000億円の経済効果があるとか。銀行ATMにも修正が必要になるでしょうし、POSやらレジやら、自動販売機、いろいろと特需は発生するんでしょう。銀行にとっては自前のATMを放棄するいいタイミングかもしれません。ATMはコンビニとの共同運営へという選択が一気に拡大しそうな気がします。

今後のスケジュール面を考えてみても、東京オリンピックや大阪万博、新紙幣。とにかく話題が盛沢山になってきました。変化がたくさんあるってことは楽しみではあります。

渋沢栄一にこめられた思い

新1万円札の肖像は渋沢栄一です。「日本の資本主義の父」と称される人で、実業家としては、多種多様な企業の設立に関わり、その数は500以上と言われています。道徳経済合一説という理念を持ち、「利益を独占するのではなく、国全体を豊かにし、富を社会に還元するべき」と考えた人です。

また、「富をなす原動力は仁義道徳であり、正しい道理の富でなければ、その富は永続することはできない」とも言っていて、彼の経営哲学はまさに現代のコーポレートガバナンスを先取りしたものと言えそうです。ガバナンスの問題で揺らぐ現代の日本企業、まさにこのタイミングで新紙幣の顔となることは、非常に意味のあることだと思います。

シティグループ証券 証券取引等監視委員会が勧告

今年3月、シティの英国法人、シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッド(以下、CGML)のディーラーによる相場操縦が発覚し、1億3337万円の課徴金勧告が出ていましたね。この時の注文を受発注していたのがシティグループ証券だと思われます。証券取引等監視委員会は金融庁に対し、シティグループ証券に検査を実施、行政処分を行うよう勧告しました。

4/20付で日本経済新聞が伝えていますが、まぁなんと小さな記事です。勧告が行われたことを伝えただけ。これだけ質の悪い業者はもっと大きく取り上げるべきだと思います。

検査着手の経緯

CGMLが行ったのは長期国債先物取引における見せ玉による相場操縦でした。買い付ける意思のない注文を出して相場を強く見せかけたり、売りつける意思のない注文を出して相場を弱気に見せかけたりする行為です。当然、こうして出された注文は約定すると困るので、多くの場合はすぐに取り消されます。

これらの注文を市場に発注していたシティグループ証券に対しては、「いったい売買管理をどんなふうにやってたんだ?」という疑問が生まれ、監視委員会が検査に着手したという流れかと思います。

監視委員会の勧告内容

監視委員会の勧告の概要は以下の通りです。

取引システムに係る不備により、当該システムを利用した取引の一部(手動での一括取消注文、アルゴリズム取引における分割注文)について、取引データが売買審査システムへ送信されておらず、売買審査の対象となっていない状況が認められた。

売買審査システムに係る不備により、見せ玉形態の取引に係る抽出閾値(しきいち)について、何ら検討が行われないまま、担当者が発注から注文取消しまでの時間を短い時間に設定変更しており、不適切に売買審査の対象を絞り込んでいる状況が認められた。また、売買審査システムに係る設定上の不備により、休日前日の夜間取引が売買審査の対象となっていない状況が認められた。

売買管理態勢等に係る不備により、不公正取引の疑いがあるとしてアラートが集中して発生しているトレーダーがいるにもかかわらず、当該トレーダーに対する取引意図の確認や取引内容の分析など、深度ある対応が行われていない状況が認められた。(引用ここまで)

発注のシステムにおいて、売買審査の抜け道が用意されており、売買審査システムでは抜け道を用意するためにデータの抽出基準を緩め、結果、異常値が確認できた対象データに対しても、何ら是正措置をとっていなかった。ということです。まさに三拍子そろった悪質な売買審査態勢であり、もう言うことありません。法令違反の常習者であるこの会社、退場してもらった方が良いですね。

台湾地震 マグニチュード 6.1

4/18 日本時間の14時ごろ、台湾東部花蓮県を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生しました。震源の深さは約19キロだそうです。スマホで撮影した動画とかが日本のニュースでも流れていましたが、かなり大きな揺れでした。その割にといいますか、不幸中の幸いと言うべきか、今のところ公表されている被害は、負傷者17名だけのようです。

震度は?

いくつかニュースを見てもマグニチュード6.1までは伝えるんですが、各地の震度を伝えないんですね。マグニチュードは地震の震源における放出されるエネルギーの大きさと習いました。なので、各地の揺れ方はこれとは別の震度で表されます。この震度で揺れ方を想像することに慣れているせいか、震度を伝えてくれないニュースに違和感を覚えました。

なんと、実は私たちが日ごろ使っている「震度」は、気象庁震度階級に基づく表示なんだそうです。ですので、この震度は日本でしか通用しないわけです。国際基準ではないということですね。ところが、ネットの一部のメディアは最も揺れの強かった地域で最大震度7だったと伝えているところもありました。

台湾の震度階級は、日本の気象庁震度階級とは別のモノですが、ほぼ同じなんだそうです。日本でいう震度5と震度6は「弱」と「強」に分割されてますが、台湾では分割されていない、という違いだけです。なので、日本の気象庁もほぼ同じと考えてよいと言ってます。

多くのメディアが震度に関してはその基準が違うので、誤解を避けるために「震度」を伝えなかったようですが、一方で震度階級はほぼ一致しているから、「震度」を7と伝えているメディアもありました。面白いですね。kuniのように「震度伝えてくれないと分からないよ」なんていう苦情や意見がメディアにも届いてるんでしょう。

台湾も地震大国

台湾では今年2月にもやはり同じ花蓮県の沿岸でマグニチュード6.4、深度7の地震が発生しています。この時は4人が死亡し、日本人9人を含む200人以上が怪我をしています。日本と同じように二つのプレートがぶつかり、片方の下に潜り込んでいく境目になっているそうで、こと地震に関しては日本と非常によく似ているんですね。

3.11 東日本大震災の直後、200億円を超える義援金が台湾から届いたのを、皆さんも覚えてらっしゃると思います。もちろん、日本も台湾が被災した際に支援してきたからこそですけどね。今回の地震に関しても、日本として何か支援できるのか、見極めないといけませんね。

とうとうやったか「みずほ」 やっとやったか「三井住友」

4/17 日本経済新聞の金融面で、両社の「初めて」の記事が紹介されていました。みずほに関しては、中小企業向けのオンライン融資に大手で初めて参入するという話題。三井住友は年功序列制度からの脱却を目指し、若手を管理職に登用するなどの人事改革。なかなか面白いコントラストで、とうとうやったか、、、と、やっとやるんですか、、、。というメガバンクの動向が伝えられてます。

みずほ銀行

ロットの小さい中小法人向けの融資。これまでは地域金融機関が担ってきたゾーンですが、ネットの発展やAIの進化で、とうとうこのゾーンまでメガバンクが進出です。第一報はすでに一週間くらい前に日経が伝えていましたが、地銀や信金の皆さんはどう感じてるんでしょうか。

こうした法人の規模による金融機関の棲み分けも、なくなったと言われてきましたが、今回のみずほの戦略は、かなり小規模法人までを根こそぎという感じがしますね。融資業務は95%AIが業務を代替できると言われてますし、他のメガバンクも当然追随するでしょう。なりふり構わず、、、って感じです。

三井住友銀行

一方の三井住友は、年功序列から脱却して、最短8年目で管理職への登用に道を開くんだとか。また、定年を65歳に伸ばし、50代以降の給与水準を引き上げて、長く働ける環境も整えるとのことです。50代半ばで多くの人が関連会社や取引先に出て行ってしまうという銀行の文化も変わるかも、としています。

50代半ばで社外へ去るという制度、実はもう制度的に回らなくなってきてるんですよね。受け入れ先がなくなってきているということです。昔のように取引先に睨みがきくような時代ではなくなりましたし、子会社や関連会社にしても、どんどん人を受け入れられるほど景気は良くないです。銀行の人事部が受け入れ先を用意してあげられなくなってきているという事情も大きいはずです。

最短8年目で管理職へ登用というのは、良いことだと思うんですが、、、。銀行の今の文化の中で30歳になったばかりの課長さんが年上の部下を持つってのはかなり気の毒な気がしますね。まずは制度よりも、カルチャーを変えないと。処遇面でも成果主義の色合いを強めるとしていますので、こういうところでカルチャーを変えていくんでしょうね。残された時間はあまり長くなさそうだけど。

実は二つの記事、いずれも初めての領域に踏み込むというお話です。前者は踏み込んではならない業界におけるタブー領域に踏み込んだというニュース。後者はみんなそうするべきだと思っているのに、なかなかできなかった。それがやっと踏み込めたというニュース。そんなふうに感じたもので、変なタイトル付けてしまいました。

日本郵政 かんぽ株 主幹事 野村證券外し

4/17 日本経済新聞で「日本郵政 かんぽ株追加売却 主幹事野村外しの波紋」という記事がありました。日本郵政がかんぽ株の主幹事等を公表したのが今月4日。なんでまたこのタイミングでこんな記事が掲載されたのか、ちょっと良く分かりませんね。

野村不動産を巡る意趣返し

2年前に日本郵政が野村不動産を買収しようとしたものの、価格面で折り合わず、破談となったことに対する意趣返し。というのが今回描かれているシナリオのようです。もともと野村証券が持ち掛けた買収話だったんでしたっけ。しかし、そんな大人げないことやりますか?おまけに2週間も経ってから蒸し返すような話ですかねぇ。と、思います。

今年1月、もう一つ野村外しがあったようで、こちらはかんぽ生命が初めて発行した劣後債。引受先は大和、みずほ、三菱UFJモルガンの3社だったそうです。このタイミングで2回の野村外しに対してこんな記事が出るというのは、この後に控えている日本郵政株第3次売り出しに向けての牽制という意味でもあるんでしょうかね。となると、野村が書かせた記事ということになりますか。

ただ単に不芳な業者外しじゃないの?

とまぁ、いろいろと背景だとか、誰が書かせているのか、、、などと想像してしまう記事ではありますが、kuniは記事を読んで、ただ単純に「最近やらかした2社を外したんだ」と思いました。で、日本郵政の選定結果、全く違和感ありませんです。

直近3年間で4つの刑事事件、5人の逮捕者を出してしまった野村證券。3人は顧客のお金に手を付けてしまい、2人は社員寮で麻薬所持で逮捕。上場企業全部見渡しても、ここまで逮捕者出している企業はおそらくないでしょう。総合的な判断で主幹事外れて当然です。

記事では触れていませんでしたが、もう1社主幹事を外れてます。野村と同様、これまではグローバル・コーディネーターを務めていた、ゴールドマン・サックス証券です。こちらもマレーシア政府系ファンド「1MDB」の汚職問題に幹部が関与していて、壮大な訴訟に発展しています。こちらも総合的な判断で主幹事外れて当然です。

日本郵政側の判断としては、「不祥事を起こした業者は一定期間、取引先から外す」という普通の判断をしただけだと思います。日本郵政の公式な説明では「総合的な観点から選択した」とコメントしているようですね。実は証券界等では、反社会的勢力に該当する顧客との取引をお断りする際にも、「総合的な判断で」なんていう言い回しをするんですね。