リクナビ問題38社 (その2)

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、「内定辞退率の予測」(リクナビDMPフォロー)を企業に提供していた問題。予測データ購入企業第1号はホンダでした。その後もどうやって調べたんでしょう、7社が購入していたことが報道されました。

①ホンダ、②トヨタ、③大和総研、④アフラック生命、⑤りそなHD、⑥NTTコムウェア、⑦NTTファシリティーズ、⑧東京エレクトロン

これらに続いて、今度は予測データ購入企業からの公表も始まりました。第1号は8/16 YKKです。グループ企業のYKKAPにもデータは提供されていたようですが、こちらはプレスリリースでは確認できませんでした。同日、続いて、レオパレス21も公表しています。

⑨YKK、⑩レオパレス21

「就職説明会への参加促進が目的であり、採用選考の合否判定には一切使用していないことを確認している」という説明と、「採用活動における個人情報の取扱いに一層配慮していく」という宣言がパターン化してきましたね。自ら公表したこの2社については、学生および関係者に対し正式に謝罪しています。

ここまで様子見を決め込んでいたその他の企業はどうするんでしょう。お盆休みも明けたことですし、残り28社の公表がここから相次ぐんでしょうか。次回は38社出そろった頃にでも書きましょうかね。

日本株式市場を取り巻く環境の変化(その2)

8/18の日本経済新聞に、「投資信託によるリスク運用を初期設定(デフォルト)とする企業の確定拠出年金(DC)が増え始めた。」という記事が掲載されました。DCの窓口業務などを担う運営管理機関大手10社によると、2018年度末で1年前の2.7倍になったとのこと。

元本確保型ではもう無理

預金など元本確保型の商品ばかりだと、この低金利、もう運用にならないんですね。kuniが就職したころ(30年以上前です)、財形貯蓄に入りましたが、これはひたすら国債を毎月買い付けるもの。しかし、当時の10年利付国債の利回りは6%台だったと思います。途中7%に乗せたことも。これって10年複利で倍増するレベルの金利です。

かたや、今では金利などありゃしません。国債や預金で運用しても将来に何も残せません。ここでも老後2000万円問題が契機になったんでしょう。企業がリスクをとってでも運用するしかない、というスタンスを取り始めました。これまた株式市場に与えるインパクトはデカいです。

米国でも2006年に同様の変化があったようで、これが株式市場に相当の影響を与えたという記事が同記事に添えられていました。昨日書いたような変化に、企業の確定拠出年金(DC)も加わってきました。株式市場にとって負の要素(売り圧力)になる、企業同士の株式持ち合いの解消売り。これを吸収していくのが個人の資産運用になるはずです。

米国や中国発で日本市場が急落する場面。コツコツ買っていきましょう。個別の銘柄が分からなければ、日経225投信やTOPIX、JPX日経400といった、いわゆるインデックス投信でいいと思いますよ。

日本株式市場を取り巻く環境の変化

4~6月GDPが事前の予想を大きく上回る数値になりました。それを支えたのが設備投資などの内需であったことも先日書いた通りです。一方で米国では米中関係の悪化が伝えられるたびに株式市場が急落しています。この後、米国と日本の株式市場の強弱感が逆転してきそうな気がします。

米中貿易戦争(新冷戦)

事前の予想通り、米国にも中国にも相当悪影響が出始めています。日本も工作機械辺りを筆頭に相当影響が出ています。メディアの論調を見ていても、この新冷戦は当分続きそうな感じですね。過去の米ソの冷戦と同じくらい長引くのではということから、冷戦と呼んでみました。

若い人には冷戦と言ってもピンとこないかもしれませんが、その昔米国とソビエト(現ロシア)は直接戦うことはなかったものの、1945年から1989年まで40年以上睨み合いを続けていたんですね。一触即発という場面もありました。しかし、意外にもこの時代に日本は高度成長やバブル経済を経験しています。株式市場も基本的には右肩上がりでした。

現在の米国と中国の貿易戦争も、世界を代表する超大国が睨み合い、そのことで両国が疲弊していく構図は似たものになって行くのではないかという気がします。もちろん、ある程度長い時間を掛ければということですが。長い目で見ると日本には追い風となる大きな変化かもしれません。

老後2000万円問題

金融庁の老後2000万円問題により、国民の投資に対するスタンスが大きく変化しました。金融セミナーや投資セミナーの申し込みが急増しているようです。株の世界は日本人にとって非常にハードルが高く、kuniも証券会社で営業していた若い頃とても苦労しました。いくら後ろから押してあげても、なかなか一歩を踏み出してくれないんです。

老後2000万円問題を機に、日本人が本気で資産運用を考え始めました。資産運用元年と言っていいのではないでしょうか。これ、実は非常に大きな変化です。

身近になった証券投資

証券会社がこれまで顧客を大切にしてこなかったというのも、証券投資が一般化してこなかった大きな理由です。ここへきて、従来の証券会社とは違うIFAのようなアドバイザーが登場しましたし、お買い物のお釣りやポイントで株式投資が始められるサービスなんかも登場してきました。投資家のすそ野を拡大していくきっかけとして、これらも大きな変化と言っていいでしょう。

どうでしょう、こんなふうに考えていくと、米国や中国よりも日本の株式市場の方が明るい未来がありそうな気がしてきたんですが、、、皆さんはどう感じてます?

2025年の崖 DX(デジタルトランスフォーメーション )

8/14 日本経済新聞で「デジタル社会を創る IT利用「負の循環」に終止符を」という社説がありました。グローバル化や少子高齢化が進むなか、社会の生産性を高めて付加価値を上げるにはデジタル技術の活用が不可欠としたうえで、それを妨げている現状を訴えています。

設備投資の中核に

社説にも書かれていたように、日本のIT関連投資は停滞してきました。ピークだった1997年から2割の減少だそうです。加えて、「そのIT投資の8割を古いシステムの運用や保守に使用しているのが実態」lという専門家の指摘もありました。いやぁ、これは耳の痛い話です。大企業の多くがそういう状況なんですね。

投資総額が少ないうえに、そのほとんどを古いシステムに使っているとなれば、米国や中国に置いていかれるのも当然ですわな。2025年にはこの構造が行き詰り、経済損失が膨らむとの指摘があるとしていましたが、社説ではこれ以上の深掘りはありませんでした。

2025年の崖 問題

「2025年の崖」、、、実はこれ、2018年9月に経済産業省が公表した「DXレポート」で指摘され、かなり話題になったお話なんです。DXは、デジタルトランスフォーメーション と読みます。で、このレポートでは、現状の課題を克服できなければ、「2025年以降、1年あたり最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある」と指摘しているんです。社説はこれを言いたかったんでしょう。

このレポートでは、DXとは新たなデジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変すること、と説明されています。一方この社説では、DXという用語はあえて使わず、デジタル社会という言葉で説明していますね。

このレポートが言っている克服しなければならない課題というのが、老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化してしまったレガシーシステムを放置していることです。そのためシステムの運行や保守に莫大なコストを費やすことになっているんですね。システム障害も増加します。加えて、このレガシーシステムの存在がDXの妨げにもなっているというわけです。

このような既存システムの刷新需要、かなり大きなものになりそうです。さらにシステムが刷新された後には新しいビジネスが生まれやすくなりますし、企業の経営改革も進むと思われます。米中には大きく引き離され、追い詰められた結果ではあるものの、ここから日本が再生する好機と考えるべきでしょう。

NHKから国民を守る党 泡沫候補 泡沫とは

先の参院選で泡沫候補扱いされていた、山本太郎氏の「れいわ新選組」、立花孝志氏の「NHKから国民を守る党」が大躍進しました。世界中でポピュリズムの台頭が言われてきましたが、やはり日本にもその時代がやってきたと実感させる出来事でした。両党とも法律的に政党要件を満たしたわけですから、もう泡沫なんて言葉使っちゃいけません。

泡沫 ほうまつ うたかた

今日はこの「泡沫」という言葉について。「泡」も「沫」も「あわ」という意味なんだそうです。「ほうまつ」と読み、「あわ」や「あぶく」の意味です。泡沫候補だとか、泡沫会社などという使い方の場合は、「問題にならないようなもの」とか、「取るに足らないもの」という意味になります。

一方で、「泡沫」は「うたかた」と読む場合もあります。この場合は「はかなく消えやすいもの」のたとえとして使われます。「泡沫の恋」とか「泡沫の夢」などといった使われ方、皆さんも見たことあると思います。こちらはとても美しい日本語ですね。

バブル

泡沫を英語にしただけですが、1980年代の日本で土地の価格が高騰し、日経平均株価が4万円近くまで暴騰したのち、急落に転じた場面のことを指して、「バブルが弾けた」とか、「バブル崩壊」という表現がいたるところで見られました。それまでの当時の好景気をバブル景気だとか、バブル経済などと呼びます。

不動産や株価など資産価格が投機により高騰し、実態から大きく乖離してしまう現象をバブルと言います。当時はこれをまじめに学問しようとする向きもあり、「投機的泡沫理論」などと言って話題になったものです。今はググっても当時の論文とかは出てこないみたいなので、世の中に十分認識されるには至らなかったんですかね。

ちょっとしたことで壊れてしまいそうなはかない恋を表してみたり、欲望むき出しで我先に金儲けに走る投機の世界を表してみたり。「うたかた」と「ほうまつ」。同じ日本語でもこんなに違うニュアンスを表してしまうんですね。