三菱重工 テレワーク(在宅勤務)中の社有PCがマルウエアに感染

少し前の話題ですが、三菱重工グループの従業員が、在宅勤務時に自宅で社有PCを利用中にマルウエアに感染するという事件がありました。テレワークの危険性については以前も書きました(サイバーセキュリティ 日本企業も本気になるか)が、この社有PCはその後会社のネットワークに接続され、感染を拡大させてしまいます。

サーバから情報流出するまでの経緯

4/29 同社グループの従業員が、在宅勤務時に自宅で社内ネットワークを経由せずに外部ネットワークへ接続、SNSを利用した際に、第三者から受領したウイルスを含んだファイルをダウンロードしたことにより、当該従業員の社有PCが感染します。

5/7 当該従業員が出社し、社内ネットワークに接続したことで、感染が拡大します。GW明けの出社ですね。

5/21 外部不正通信を検知し、調査を開始。不正アクセスを受けた機器が判明したため、ネットワークから遮断する等の初動対策を直ちに行った後、通信ログ等の解析を開始。

7/21 流出を確認した情報の精査を完了。  だそうです。

素朴な疑問

それにしても不思議なのは、社有PCでなんでSNSなんかにアクセスするんかねぇ。ってことです。在宅勤務中なんだから自宅のPCやスマホからにすりゃ良いのに。大きな会社だからこういうアホな社員の一人や二人は居るものかもしれませんが。

そしてもう一つは、三菱重工の開示のタイミングです。5/21時点、もしくはそれ以降7/21までのタイミングで情報漏洩の可能性に関する開示はできたはずです。実際の開示は遅すぎる8/7です。防衛関連企業ですから当局との調整等の時間が必要なことは分かりますが、あまりに時間かけすぎでしょう。

他でも既に起きている?

今回の三菱重工の開示。タイトルと本文では、在宅勤務中の事故であることが読み取れません。経緯を一覧表示している表中で初めてそれが書かれている程度。在宅勤務中の感染だったという事実を伏せて開示している企業もあるのかもしれませんね。

旅工房 【2020年6月分】旅行取扱状況速報

以前当ブログで、「旅工房(6548)従業員による不正 調査報告書」というのを取り上げました。法人営業部門の従業員の不正が発覚したというやつですね。詳細は当時の記事をご覧いただくとして、今回は6月の同社の営業状況のお知らせです。

悲惨な状況

まずはファクト。6月の海外旅行取扱額は6,373千円、前年同月比0.3%。国内旅行取扱額は26,036千円、前年同月比45.0%。合計で32,409千円、前年同月比1.3%だそうです。これ、増加率ではなくて去年の6月との比較ですからね。合計取扱額が1/100になっているということです。

ちなみに、新型コロナウイルス感染拡大直前の今年1月を見てみると、海外旅行取扱額は1,958,775千円、前年同月比115.0%。国内旅行取扱額は108,583千円、前年同月比130.8%。外国人旅行取扱額は34,058千円、前年同月比68.7%。合計で2,101,416千円、前年同月比114.5%です。

1月の時点で外国人旅行取扱額は30%以上減少。中国からの旅行客が減少し始めたからでしょうね。それでも合計では14.5%伸びているわけで、その後このような悲惨な状況になるとは思っていなかったでしょう。ちなみに、6月の外国人旅行取扱額はゼロです。

それでも株価は

まさに需要が蒸発してしまった旅行業界。今後もどこまでこの状況が続くのか、って感じですが、株価の方は回復基調。8/3の終値833円から1000円台まで回復しました。Go Toキャンペーンも始まり、少なくとも4~6月期で最悪期を脱したとみているんでしょうかね。

しかし、この業界どこまで回復するんでしょう。需要回復のスピードと自己資本の減少のスピード。だけの話になっていきそうです。同社に限った話ではありませんが、マーケットは倒産リスクをいつごろから織り込み始めるでしょうか。

第一商品 希望退職者の募集結果 他社でも続々と

当ブログで何度か取り上げている第一商品。8/13に「早期退職者の募集結果及び特別損失の計上に関するお知らせ」を公表しました。募集人員100名としていたところ、結果としては140名が応募したそうです。4割増しという結果です。

TDネット直近一カ月

第一商品以外にも希望退職者の募集という言葉が目に入ったので、TDネット(適時開示情報閲覧サービス)で足もとの1か月間を探ってみました。やはり合計で9社が希望退職の募集もしくは募集の結果を公表しています。

いわゆる不正・不祥事が原因で業績が悪化し、希望退職者を募った企業では、第一商品以外にも「レオパレス21」の名前があります。1000名の募集に大して結果は1067名となっています。

残る7社はコロナの影響も受けた業績不振によるもの。いきなりステーキの「ペッパー」は200名の募集に対して183名が応募だそうです。「さいか屋」は108名。「チムニー」は100名。「三共生興」は30名。「クックビズ」は50名。「シライ電子工業」は60名。

シチズン時計の子会社「シチズン時計マニュファクチャリング」では550名。「タツミ」では30名。「ミツバ」では関連会社も含めて500名となっています。

業種で見ても大きな偏りはありませんね、飲食業から2社、自動車産業から2社が入っているくらいです。調べた対象期間は7/15~8/13の一カ月。営業日数で19営業日ですので、ほぼ二日に一社が希望退職者の募集に係る開示をしていたことになります。

kuniも希望退職者の募集場面、4回経験しましたが、社内に会社が立ち行かなくなるのではという重い空気が漂います。たとえ社内ではなくても、こうして話題として接するだけでも、辛いものがありますね。

証券投資 NT倍率に変化が(その2)

NT倍率が下げはじめました。この変化から何を読み取るべきなのでしょうか。マスメディアなどは、今のところあまり取り上げていませんが、何が起きようとしているのか、少し振り返ってみようかと。

二度あることは・・・

日経平均が6/8に23,178円で戻り高値を付けた際、そこまで上昇してきたNT倍率は低下しはじめ、6/15に最も低い値となりました。6/15には日経平均は800円近く下げて21,531円で終わっています。これが一度目。

その後7月にかけて相場は持ち直し、これに併せてNT倍率は再び上昇していきます。6月の調整後の戻り高値は7/15の22,946円。やはりこの間NT倍率は上昇しており、7/10に最大値を付け、月末に向けて低下していきます。日経平均は7/31日に600円近く下げて、21,710円まで調整しました。これが2度目です。

要するに日経平均が戻り高値をつけに行く過程でNT倍率が上昇し、下落に転じると日経平均の調整場面が来る。ということを二度経験しているわけですね。

三度あるかどうかは

この二度の経験は、物色される銘柄群の変化としても、多くの方が感じてらっしゃるのではないでしょうか。NT倍率が低下し始めるとき、いわゆる大型株や金融株がかなり買われています。

日経平均がそれなりに上昇し、買うものがなくなってきて、最も戻りの悪かった銘柄群(コロナの影響が大きくて普通は買えない銘柄群)にまで買いが移ってくるわけです。

そして、とうとう本当に買うべき銘柄がなくなって、、、急落。という構図ですね。さて三度目の調整はあるんでしょうか。今回のNT倍率の低下は、これまで以上にはっきりとした下げであり、日経平均株価は戻り高値を更新しました。「これぞ金融相場の始まり」という見方もあるかもしれません。

証券投資 NT倍率に変化が

14倍を超え、大きく上げてきたNT倍率に変化が出てきました。8/3の14.58を天井に下げに転じ、8/12には14.23まで下げています。特に8/11は日経平均株価が400円以上上げた中で、NT倍率は0.10ポイントの下げを見せました。こういうの久し振りのような。

NT倍率とは

Nは日経平均株価のN。TはTOPIXのTです。で、NT倍率というのは日経平均株価をTOPIXで割った数値のことで、株価指標の一つといって良いでしょう。例えば、22,700円くらいの日経平均株価を1,580円くらいのTOPIXで割って、14.37。こんな計算になります。

日経平均株価はその時代の優良株を採用する傾向があります。そのため一般的な銘柄と比べると値嵩株(価格の高い株)や輸出関連銘柄などが多いんですね。そのため、円安に振れると、これらの輸出関連株が買われて日経平均株価が上昇し、NT倍率も上昇する傾向があります。

一方のTOPIXは時価総額の大きい株の影響を受けやすいという特性があり、重厚長大産業や金融株の影響が出やすいです。ここ最近では日銀のETF買いがTOPIX型と言われ、日銀が買いを入れるとTOPIXが反応しやすいというのもありますね。

NT倍率は以前は10倍程度と言われてきましたが、ここ最近は14倍以上が定着してきた感じです。コロナショック時には大きく下げましたが、戻りの場面では14倍以上に急速に戻しました。日経225先物の売り方の買戻しが原因と思われます。

久し振りに見る方向性

このNT倍率が先々週から下げに転じたわけです。ここまではっきりした方向性を見せるのは久しぶりです。何が原因なんでしょう。日経225先物の単なるポジション調整なのか、ここまでの戻り相場が終了しようとしているのか、それとも超本格的な金融相場が始まろうとしているのか・・・。この辺りは明日にでも。