ダイワボウホールディングス 特別調査委員会設置

ダイワボウホールディングスは、同社の連結子会社である旧ダイワボウノイ株式会社(今年4月大和紡績に吸収合併)において、不適切な取引が行われていたことが判明したと公表しました。特別調査委員会を設置し、取引内容の精査や原因究明を行うとしています。

ダイワボウノイ

ダイワボウノイは、今年4月に中間持株会社の大和紡績に吸収合併された会社で、繊維製品の製造・販売をしていた会社です。今でもAmazonとかで同社が製造したマスクや防ダニ敷ふとんなんかが出てきます。

不適切な取引は9月上旬に、その大和紡績において売掛金の回収遅延の発生が発端となり、発覚したとのこと。同社従業員が、同社の営業担当であった2014年1月から循環取引等を行い、不適切な売上および利益を計上していたということです。

これまた長いですねぇ。6年間以上続けていたということですか。これまでの社内調査により判明した現時点における不適切な取引による業績に及ぼす影響額は、損失見込額として累計約19億円だそうです。損失見込額が19億円というのは何を指しているんでしょう。

回収困難になった売掛金が19億円なのか、、、過去に計上してきた利益のことを指しているのかよく分かりません。調査委員会の報告を待ちましょう。

ダイワボウ情報システム

ダイワボウホールディングスといえば、今年2月に世間を騒がせたネットワンシステムズ等が行った架空循環取引においても、同社IT機器販売子会社のダイワボウ情報システムが関与していました。売上高で約7億円の架空取引が判明したというやつです。

あの件ではネットワンシステムズが主導したということで、その他の企業は被害者のごとくスルーしておしまいでしたが、、、今回のダイワボウノイはどうなんでしょうね。あの件とも関係あったりする?

カンダホールディングス 子会社役員による横領

この事件に関する社内調査委員会の設置、実は8/21に開示されていたんですが、ノーマークでした。カンダホールディングス自体が東証2部上場で、その子会社での事件ということで、取り上げていなかったんですが、、、。9/29、調査結果報告書受領の開示が。

舞台は連結子会社レキスト

カンダホールディングスは総合物流企業です。その子会社のレキスト。一般貨物自動車運送事業の会社です。犯人はこのレキスト社設立以来、27年間にわたり、経理財務の職務を一人で担当してきた人物。

最終的には取締役管理本部長という肩書ですね。経理財務の担当責任者としての地位を利用して、毎月の人件費(給与)を水増しし、自己名義の複数の銀行口座に金銭を振り分けて振り込み、着服していたとのこと。

犯行の期間はなんと2000年4月~2020年3月までの20年間だそうです。さらにその間に不正に領得した金額の合計は719,212,273円。7億円ですよ、7億円。金の使い道は、定番の遊興費、投資資金およびその損失の穴埋めだそうで、被害額の回収可能性は極めて低そうです。

発生原因

これも分かりやすく、27年も同じ人物に重要業務を任せていたこと。会計データと銀行振り込みデータの照合(事後チェック)も同一人物。グループ各社に統一の給与システムを導入しようとしたが、この人物の反対で導入しなかった。などがあげられています。

統一給与システムの導入に際し、この人物が事務効率の低下を主張し、強硬に反対したため、給与システムのデータが他のシステムに連動せず、犯人によるデータの修正が可能な環境を残した格好になっています。

犯人が不正を働くための「機会」を提供、継続しただけでなく、この時点で親会社が子会社の不正を発見できる「機会」も失っているということですね。

サクサホールディングス 上場廃止カウントダウン

連結子会社のサクサシステムアメージングで不適切な会計処理(架空取引も)があったとして、特別調査委員会を設置して調査を実施しているサクサホールディングス。提出期限の延長承認を受けていたその期日までに有価証券報告書(四半期報告含む)を提出できそうにないと発表しました。

提出期限9月30日

20年3月期の有価証券報告書の本来の提出期限は6月30日。関東財務局に提出期限の延長を申請し、承認されたのが9月11日。それでも提出できそうもないということで、再延長の申請。再延長後の提出期限は9月30日となっていました。

で、9/28付でこの期限にも提出できない見込みとなったことを公表。これを受けて、東証は同社を監理銘柄(確認中)に指定、9/29の同社株は急落。204円安となっています。

この日の説明では、サクサシステムアメージングにおける不適切な会計処理の疑義、同社の連結財務諸表においても重要な虚偽の表示がなされる可能性のある疑義となっている。

とか、新たに発覚した事象に関する事実関係の調査、類似取引の有無の調査等による事実関係の解明に想定以上の時間を要している、、、などと説明されています。

監理銘柄(確認中)

監理銘柄(確認中)という指定があるんですね。東証では「有価証券報告書及び四半期報告書について、法定提出期限までに提出できる見込みのない旨の開示を、当該最終日までに行っているときに該当するため」、と説明されています。そしてさらに、、、

「延長承認を受けた法定提出期限(9/30)の経過後、休業日を除き8日目の日(2020年10月12日)までに提出しなかった場合、当取引所は同社株式の上場廃止を決定します。」とも。残り2週間ほどですね。何とか上場を維持できるのか。。。そんなに早く決定するんだ。

水道機工 第三者委員会による調査報告書受領(その2)

同社では、元取締役監査等委員による不適切な指導が行われ、国家資格取得のため、虚偽の実務経験を申告させてきました。とにかく数多くの不適切な受験指導、受験対策が行われているんですが、多すぎてここでは書ききれません。是非一度報告書をお読みください。

気になること①

今回報告書を読んで、気になることが2点ありました。一つは不正な指導を続けてきた元取締役監査等委員のこと。調査報告書では他の登場人物と同様に、A氏と表されているんですが、「第三者委員会による調査報告書受領に関するお知らせ」では、実名でさらされています。

確かに主犯であることは間違いないところですが、なにやら「この人にすべての責任背負わせて、、、」って雰囲気を感じさせます。水道機工、水機テクノスの合計7名の取締役について、月額報酬を3か月間、10%減額する処分も公表していますが、これはちょっと軽すぎますよね。監査等委員にこんな不正をやらせ続けていた役員さんたちなんですから。

気になること②

もう一つは、同社社員へのヒアリングで、「同業他社でも受験資格に不備のある状態で受験している実態がある」と思っている者が少なからずいたということ。

試験会場には、明らかに実務経験を満たしていないと思われる若い女性や、主婦、色白の男性といった受験者がいることなど、同業他社でも同じように受験資格を偽って受けているのだろうという推測が、役職を問わず広がっていたそうです。

自分たちがしてきたことへの言い訳が半分でしょうが、やはりこの資格試験に関する実務経験虚偽の世界、、、まだまだ他社へも拡大しそうな気がします。

水道機工 第三者委員会による調査報告書受領

1級土木施工管理技士をはじめとした、施工管理技士の技術検定試験における実務経験虚偽記載について、やっと調査報告書が出てきました。調査期間はなんと6カ月間です。180ページにおよぶ報告書、内容も凄いことになってます。子会社の水機テクノスについても言及されてます。

調査結果

技術検定試験の受験経験がある現役の役職員157名のうち、受験資格である実務経験に虚偽があると判定された者は102名。監理技術者資格を取得した現役の役職員105名のうち、資格要件である実務経験に虚偽があると判定された者は57名だそうです(水機テクノス分含まず)。凄い数です。

インセンティブ

水道機工グループでは、技術検定試験や技術士資格等に関して、受験手数料の援助や月々の業務資格手当等が与えられ、しかも、これらの保有が昇格要件になるという、「金」と「地位」による受験へのインセンティブが、従業員に対して与えられていたようです。

一人の役員が

しかし、かなりのインセンティブがあったとしても、これだけ大規模な不正が起こるわけではありません。やはり同社の元取締役監査等委員である近藤泰正氏による受験指導が最大の原因ですね。実地試験における経験記述対策として、受験者自らが経験していない工事の記載を推奨していたということです。

この方、水道機工から一旦子会社である水機テクノスの役員になられていて、2012年から3年間は代表取締役社長。その後2015年から今年まで水道機工の監査等委員という方で、5/27に辞任されてます。一身上の都合により、ということになってましたね。

当初報じられた不正を推奨するマニュアルについても、この方が作成されたようで、そこに書かれている生々しい表現等も報告書の中で取り上げられています。しかし、主犯が取締役監査等委員とは。。。もちろん、監査等委員就任期間中も不正の指導をされてます。考えられません。