経営者が占う2021年の株価

昨年も取り上げました日本経済新聞の新春企画記事です。主要企業の経営者20人に聞いた今年2021年の日経平均株価は、高値の予想が平均で2万8900円、安値の予想は平均で2万3875円となったようです。4名の方が高値3万円以上を予想されています。

安値予想は

去年とよく似た感じになっていて、前半安の後半高という傾向。多くの方が1月~3月に安値を予想されていて、10月~12月の高値を予想されています。最も安い押し目を予想された方は2万2000円で、合計3名の方が予想されています。

このうちのお一人、東京海上HDの小宮氏。昨年も2月に1万9500円の安値を予想し、11月に2万6000円の高値を予想されていました。年初から僅かの期間にそんな大きな下げはないだろう、、、くらいに思ってましたが、なんとコロナショックで3月には1万6千円台まで。

安値高値を正確に言い当てたわけではありませんが、あの年初の状況でこの予想はお見事だと思います。もうお一人同じように安値を予想した方が、アサヒグループホールディングスの小路氏で、1月に2万円の安値を予想されていました。

お二人の2021年予想

ということで最後に、この昨年の当たり屋、お二人の今年の予想を示しておきます。
東京海上HD 小宮氏:   安値22,000円(2月)→ 高値28,500円(12月)
アサヒグループHD 小路氏:安値23,000円(3月)→ 高値28,000円(12月)
今年のお二人、高値についてはあまり大きくは期待できないと見てらっしゃる感じですね。

グリーントランスフォーメーション(GX)

昨年は企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)が大きく前進した一年でしたが、今年はグリーントランスフォーメーション(GX)が浸透していく年になりそうです。DXは Digital Transformation、GXは Green Transformation ですね。ちょっとくどい?

デジタル・トランスフォーメーション(DX)

もういまさらではありますが、デジタル・トランスフォーメーションとは、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革することであったり、既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすものというふうに説明されています。

かなり高い目標ですから、、、デジタル・トランスフォーメーションは単なるシステム化やデジタル化ではない。みたいな議論があちこちで聞こえてきました。ではいったい企業におけるデジタル・トランスフォーメーションとは?。このフレーズも沢山聞きましたね。

2018年辺りから取り組みが始まり、実装の段階へ入ってきたため、2020年はより着地点というか成果が問われるような年だったような気がします。

グリーントランスフォーメーション(GX)

では、グリーントランスフォーメーションとは何か。言葉としてはまだ認知度はかなり低そうですね。ただグリーントランスフォーメーションの方がデジタル・トランスフォーメーションよりも分かりやすいような気がします。

グリーントランスフォーメーションを定義してみましょう。あくまで私見ですが、「化石燃料に替えて新しいエネルギー源を定着させるなどして、カーボンニュートラルを実現し、地球温暖化を食い止める。この世界的な潮流を実現するための企業の取り組みのこと」みたいな感じでしょうか。

既に120以上の国と地域が2050年までに、大気中に排出される温室効果ガスを実質ゼロにする目標を掲げ、これに今年からアメリカも加わってきます。具体的なマイルストンも示されていて分かりやすい。今年のキーワードになりそうです。

天馬 前取締役に対する損害賠償請求訴訟の提起

同社の監査等委員会は12/28、第三者委員会の調査報告書において認定された事実等を踏まえ、当時の取締役6名の職務執行に関して善管注意義務違反があったと判断し、東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。海外子会社での不適切な金銭交付でしたね。

いろいろありました

ベトナム子会社の贈賄事件という不祥事で当ブログでも取り上げた同社でしたが、会社と元名誉会長、監査等委員会、投資会社入り乱れての取締役選任争いに発展しました。この損害賠償請求訴訟も避けて通れないですわな。

お知らせでは前取締役6名に対し、一人ずつ損害賠償請求額が示されていますが、訴状記載の請求額がすべて認められた場合に同社が前取締役6名から支払いを受けられる合計金額は3億7648万8988円だそうです。

問合せ先

今回のお知らせ、問合せ先は総務部付 部長となっています。これまでこういうお知らせでの問い合わせ先は常務執行役員総務部長だったんですが、この常務が今回訴えられている6名のうちの一人なんですね。他にも現執行役員が含まれてるようです。いずれも取締役を降りたものの執行役員で残った人たちです。

取締役を解任されて、損害賠償請求訴訟を提起することになるのに、その間執行役員としての給料等を支払ってるのもよく分かりません。

さらに、この提訴のお知らせ、TDnetで見付けたんですが、同社のホームページではなぜか見当たりません。この会社どうも一貫性がないというか、、、ホームページで隠す理由も分かりません。

シャープ 連結子会社の不適切会計 調査委員会を設置 カンタツ

シャープ株式会社は12/25、同社の連結子会社であるカンタツ株式会社において、不適切な会計処理が行われていたことを公表しました。カンタツ社に対して、徹底した網羅的な調査を行う必要があるとして、外部の弁護士、公認会計士を含む調査委員会を設置しています。

カンタツ株式会社

もともとは関東タツミ電子株式会社。2005年にカンタツに社名変更してますね。創業当時は液晶プロジェクターの光学ユニットを生産していて、2000年代に入ってからは携帯電話カメラ用のマイクロレンズユニットの設計・製造を始めています。

現在もこれが主要事業で、2017年当時のニュースでは、スマホレンズ大手と呼ばれてますし、「アップルの iPhone にもレンズを供給する有力サプライヤー」などと説明されてます(日経記事)。シャープは2017年にカンタツの増資を引き受けるなどして筆頭株主になっています。

カンタツの連結売上高は2018/3月期:179億円、2019/3月期:183億円、2020/3月期:192億円と毎期伸ばしています。この中に実体のない売上が含まれているということのようです。

不適切会計の概要

シャープ本体の内部監査部門がカンタツに対して11月監査を実施。その際に、注文書がなく製品の出荷なく売上を計上していることが判明しました(今期ですね)。

そしてさらに調査を進めると、前年度から長期滞留している売掛金に関する売上についても、同様に複数の不適切な会計処理が存在していたとしています。

先ほど同社の売上の推移を見ましたが、一方で営業利益で見ると2019年3月期が赤字になるなど、純利益ベースでは苦しんでいます。何がなんでも業績を回復させる、、、みたいなプレッシャーがかかっていたような感じにも見えますね。あとは調査結果を待ちましょう。

東洋紡 度重なる不祥事 安全認証不正取得

東洋紡は12/29、PBT樹脂「プラナック」に関する不適切事案の調査結果を公表しました。この件についての第一報は10/28で、第三者の委員も入れてプラナック事案対応委員会を立ち上げ、調査をしてきました。プラナック以外の製品については、現在まだ調査中とのこと。

今年3回目の不祥事

まぁ、次から次へと起こしますねぇ、不祥事。以下に並べたように、今年に入ってからでも3度目の不祥事になります。

6/17 オメプラール注用20 自主回収に関するお詫び
9/28 当社犬山工場における火災につきまして(お詫び)
10/28 当社PBT樹脂「プラナック」の第三者認証登録内容における一部不適合について

オメプラールの件は、同社大津医薬工場における製造区域に要求される清浄度に関するモニタリングに不備があったというもの。これを受けアストラゼネカの決定により全品回収となりました。

犬山工場については、工場内のフィルム製造ラインから出火し、従業員2名が死亡、1名が負傷したという事件。実はこれだけでなく、少し遡ると、2019年4月には三重工場で火災が起きていますし、2018年9月には敦賀事業所でも火災を起こしています。

そして今回のプラナックの認証不正。2010年に他社から譲り受けた事業で、当該他社が米国の認証を、実際の商品とは異なる組成のサンプルで取得していたようです。譲渡時に東洋紡もそれを認識していながら、ここまで引っ張ったんですね。タチ悪いです。

プラナック事案から見えてくること

東洋紡はプラナックの不正認証を2010年から認識していて、少なくとも2015年には組織としても認識していました。その後、2017年、2018年と検査不正や不適切検査などといわれる他社での事件が毎日のように報道されました。この当時、東洋紡ではプラナックの不正認証を隠蔽し続けてきたということです。やっぱりタチ悪いです。