ディー・エヌ・エー【DeNA】(2432) 従業員の不正行為

株式会社ディー・エヌ・エーは1/21、同社元従業員が、関連会社の株式会社DeNA SOMPO Mobilityから受託しているカーシェアサービス「Anyca」のカスタマーサポート業務において、顧客の個人情報を不正に使用したことが判明したと公表しました。

Anyca(エニカ)

Anyca(エニカ)とは、DeNA SOMPO Mobilityが運営するカーシェアアプリの名称のようです。自身がクルマを使わない時にシェアしたい「オーナー」と、必要なときに好みのクルマを使いたい「ドライバー」をマッチングするカーシェアサービス、らしいです。

マイカーをシェアしたいオーナーねぇ。シェアすることで当然収入があるんだろうけど、愛車を他人に貸すという感覚、kuniには理解できません。やっぱ頭が古いんでしょうね。

元従業員

例によって元従業員となっていますが、この記事タイトルでは従業員としています。2021年1月19日付けで懲戒解雇処分を行っており、法的措置も検討していくそうです。で、不正行為を行ったのが、2021年1月11日から1月15日。ほら、従業員です。

行為の概要と開示

この従業員が従事していたのが、DeNA SOMPO Mobilityから受託しているカーシェアサービス「Anyca」のカスタマーサポート業務。そこで顧客の個人情報8名分を不正に持ち出し、カードローンを申し込んでいたといいます。オーナー側の顧客でしょうね。乗ってる車で金融資産もある程度推定できそうです。

消費者金融事業者から身に覚えのない申込み確認の連絡が顧客に入り、不正行為が発覚。幸い不正使用された情報では最終的な登録までは至っておらず、顧客に対して金銭的な被害が発生したという事実は現時点では確認されていないとのこと。

ということで、大事には至らずということなんですが、同社はこの不正行為について、同社ホームページでお詫びしているだけです。TDnetでの開示はなし。よくあるパターンですね、いかがなものでしょう。調査委員会等が設置される気配もありません。

モルフォ(3653) 役員のインサイダー取引 課徴金命令を取り消し

デンソーとの業務提携に絡みインサイダー取引を行ったとして、2018年に金融庁から133万円の課徴金納付命令を受けたマザーズ上場企業「モルフォ」の役員が、国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は1/26、請求を認め、納付命令を取り消しました。

インサイダー取引事件の概要

デンソーとの業務提携という重要事実を巡るインサイダー取引なんですが、当時のプレスリリースを見ると、「モルフォのAI学習環境をデンソーが高度運転支援システム向けの画像認識開発に採用」となっています。確かにインパクトのありそうな提携内容です。

2015年12月11日、この業務提携が公表されると、モルフォの株価は3日間ストップ高比例配分と暴騰。公表当日の株価4,115円が4営業日目には7,320円まで買われています。この役員は8/24と8/26に合計400株、1,595,000円でモルフォ株を買付けてるんですね。

この8月26日の時点でデンソーとの提携が実質的に決定されていたか(重要事実が発生していたか)どうかが争点になったわけです。。。で、結果はセーフということに。

ハッピーエンド?

課徴金納付命令の取り消し、日本経済新聞でも記事にしてるんですが、これを読む限り一件落着といった感じ。ところがこのモルフォのインサイダー取引、実は役員1人と社員9人が課徴金納付命令を受けてます。役員が上記のように8月に買付け、、、これはセーフ判定。

ところが残りの社員9人については、9月中旬以降の買付け、で多分アウトのままです。うち、7人は持株会への加入や拠出金の増額で課徴金食らってます。持株会は基本的には内部者取引規制の適用除外ですが、重要事実を知りながら持株会に新規入会したり、持株会への拠出金を増加したりすることは、適用除外の対象となりません。これは覚えておきましょう。

しかし、AIを開発する企業の従業員が金に目がくらんで善悪の判断を誤るとは。困ったもんです。

COTA(コタ:4923) 監査役の不正行為

コタ株式会社は1/26、同社監査役が複数年度にわたり、会社の資金約5,670千円を私的に流用していたことが社内調査において発覚したと公表しました。発覚を受け同監査役に確認したところ、事実である旨を認め2021年1月25日付で監査役を辞任したとのこと。

監査役の不正行為って?

金額自体はそれほど大きなものではありませんが、監査役の不正行為というのは珍しいですね。もちろん、結果的に監査役の不法行為が問われるケースは少なくありません。いわゆる善管注意義務違反などですね。まず取締役の責任が問われ、それを看過したことに対する監査役の責任を問う、というのが定番じゃないでしょうか。

行為の概要

2011年6月から2021年1月の約9年半にわたり、会社の資金約567万円を監査役が不正に支出し、監査役が私的な旅費等に当該資金を流用していたということです。なるほど、そういうことなんですね。

この監査役、2010年6月に常勤監査役に就任していますから、就任2年目から不正を行っていたようです。現地に足を運ばない「カラ出張」を繰り返し、旅費交通費名目で会社の資金を詐取していたということですね。

新型コロナウイルスが感染拡大している状況下にもかかわらず、「セミナー名目」の出張申請が多いことに関係者が疑問を持ち発覚したそうです。

会社法第388条

会社法第388条は、監査役がその職務の執行について監査役設置会社に対して必要な費用を請求をしたときは、会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。。。と定めています。

これを悪用したんですね。9年半で567万円。年間60万円ほどですから、会社も気付かなかったんでしょう。第3四半期決算の業績に、監査役に関係する旅費交通費及び退職慰労引当金繰入額等を合算した約3442万円の戻し入れを行うそうで、、、思わぬところでコロナ効果ですか。それにしても監査役が、、、情けない。

世紀東急工業 株主代表訴訟 当時の取締役4名に18億円

世紀東急は1/19、同社の株主1名(ファンド)が同社代表取締役等4名に対して、損害賠償を請求する株主代表訴訟を提起した旨の訴訟告知書を、1/12に受領したことを公表しました。

訴訟を提起した者(原告)

インタートラスト トラスティーズ(ケイマン)リミテッド ソールリー ・・・・(長いので省略)とかいうファンドが原告となっています。このファンドの運営会社はストラテジックキャピタルという会社ですね。同社のホームページで世紀東急を訴えたことが確認できます。

このストラテジックキャピタル、直近では京阪神ビルディングに対して1株1,900円でTOBを仕掛けていましたが、1/13にTOBが成立しなかったと公表した、、、あの会社ですね。物言う株主、次の狙いが世紀東急というわけです。

事件の概要

公正取引委員会は、道路舗装用のアスファルト合材の価格を不正に引き上げるカルテルを結んだとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、道路舗装大手8社に過去最高となる総額399億円の課徴金納付を命じました。2019年7月30日のことです。詳細については「アスファルト合材 価格カルテル 課徴金399億円」を参照。

このうち、世紀東急は約28億円の課徴金(課徴金減免制度を適用後)を食らっています。その後、同社は東京地裁に10億円程度の取消訴訟を提起しているようで、これを除いた約18億円が訴えの対象となっています。

訴えの概要やら

当時の同社の代表取締役1名(現任)と取締役3名に対し、このカルテルを行っていたことに関する善管注意義務違反があったとして、先ほどの約18億円を世紀東急に賠償するよう求めている、、、という訴えですね。

カルテルのメンバーには前田道路(課徴金128億円)も入ってましたね。昨年、前田建設に敵対的TOBを仕掛けられ子会社化されちゃいましたが、ここにも物言う株主入ってませんでしたっけ。他人事ではないですよ。いやぁ、取締役は辛いっすね。

西華産業 従業員の不正行為 (その2)

税務当局からの照会を受け、社内調査を実施し、約1億円に及ぶ金銭騙取の事実が確認された西華産業100%子会社の日本ダイヤバルブ。既に刑事および民事の手続きを進めています。ここまでは前回書きましたが、大事なことが抜けています。

なぜこんなことが起きたのか

社員の金銭騙取の事実(結果)だけを警察に通報して事件を片付ける。だけではなく、なぜこのような不正が発生したのか。ガバナンスやコンプライアンスの検証は?社員がそこまで追い詰められた原因は?親会社による子会社管理の実態は? 

そうしたことを恣意性を排除して調査、検証し、再発防止に努める。他社では当たり前のように行われている〇〇調査委員会による調査と再発防止策など、この一連の対応はどこに行ってしまったんでしょう。西華産業としての子会社管理、かなり疑問が残りますね。

日本ダイヤバルブの実態

日本ダイヤバルブという会社、その実態が気になるところ。以下に読者の方からいただいたコメントを。

【いただいたコメント】

同社のある部署では残業時間が100~200時間近い部署が存在している。本来であれば異常な事態ではあるが、上司に当たる人間が何時間残業をしても平気な人間である事、また、経営陣も「あそこの部署はしょうがない」と思っている事から、一向に就業環境が良くならない。

更に、上司からの勤務時間の改ざん、休日出勤の強制といった異常行動も数多くあり、それらが原因で退職者を出している。世間一般で言う所のパワハラだ。しかし、同社としてはそのような事態を重く受けて止めてはいない。非常に重大な問題ではないかと感じている私が異常者のようだ。

今日も大崎にある日本ダイヤバルブには、明かりの消えない部署が存在している。