富士ソフトサービスビューロ ユー・エム・シー・エレクトロニクス 課徴金納付命令勧告

証券取引等監視委員会は1/29、富士ソフトサービスビューロとユー・エム・シー・エレクトロニクスの両社における有価証券報告書等の虚偽記載について、課徴金納付命令を発出するよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して勧告しました。

富士ソフトサービスビューロ

同社は東証2部上場。名前の通り富士ソフトの子会社ですね。ビジネスプロセスアウトソーシングやコンタクトセンターサービス、人材派遣などを手掛けている企業です。2年前に虚偽の要員計上による誤請求が発覚、その金額の総額は2年間で約3億円弱にのぼったという事件。

その結果、売上を過大に計上し、重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書を提出したということです。課徴金の額は1,200万円です。

ユー・エム・シー・エレクトロニクス

ユー・エム・シー・エレクトロニクスの方は当ブログでも取り上げてきました。2名の取締役副社長の関与の下、多数の海外拠点において長期間にわたり不正会計を行っていたという事件です。そのため虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書の提出となりました。

さらに、同社は重要な事項につき虚偽の記載がある「有価証券届出書(株券の募集)」を2度にわたり提出していて、それぞれ40億円と80億円の資金調達をしています。これに関する課徴金の額が半端なく、3億9,615万円となっています。

最初の有価証券届出書(株券の募集)に係る課徴金の額は約1億8,500万円。二度目の有価証券届出書(株券の募集)に係る課徴金の額は約1億8,800万円ですから、合計で3億7,300万円ほど。発行開示書類に関しては、かなりお高くつきます。これがなければ、いわゆる継続開示書類のみの課徴金となり、2,400万円ほどですね。

DAC 二酸化炭素の直接回収

2/1付け日本経済新聞に「脱炭素の救世主に」という記事がありました。紹介されていたのはDACに関する研究者たちの取り組みなど。DACとは、Direct Air Capture の略で、大気から二酸化炭素を直接回収する技術のことです。

日本の技術も有望らしい

記事では様々な取り組みが紹介されていました。アミンという化合物を使ってCO2を回収する神戸学院大学。CO2だけを通す高分子膜で回収する九州大学。多数の微小な穴が開いたシリカで回収する金沢大学など。

金沢大学の研究しているアプローチは、京大発のベンチャー企業のAtomisが手掛ける多孔性金属錯体と同じでしょうか。今年のお正月にAtomisの研究内容を興味深く読みました。二酸化炭素のみならず、様々な気体を選別して吸い込む(回収する)技術でした。

確かに救世主になってくれそうなDACですが、やはり課題はコストのようです。現在のコストを1/6まで落とすことができると、実用化が可能になるとのこと。期待したいですね。

ついでに CCS CCUS も

産業活動から排出される二酸化炭素を回収して貯留する技術のことをCCS。さらにこれを有効に利用する技術をCCUSと言うそうです。これらもカーボンニュートラルを実現するための革新的な技術として注目されています。

『CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に』という記事が経産省資源エネルギー庁のホームページで読むことができます。CCS、CCUSにDAC。この機会に覚えておきましょう。

ひらまつ 朝日ラバー 五洋インテックス アップデート

1/29のTDnet、委員会調査や不祥事対応を継続中の企業が途中経過などを開示しています。そのうち当ブログで取り上げてきた銘柄について、情報をアップデートしておきましょう。

ひらまつ

創業者である平松氏が設立し運営する、株式会社ひらまつ総合研究所等との間の取引に関する調査報告書に基づき、関係者の処分や責任追及等の方針、具体的な再発防止策などを公表しました。

当時の取締役、監査役、及び執行役員の事件に対する関与の程度について評価し、責任の所在の明確化までは行われましたが、具体的な責任追及の内容や人事処分等の内容についてはこれから検討するとしています。

朝日ラバー

連結子会社における棚卸資産の過大計上の疑義の発生に関し、調査委員会を設置していた朝日ラバー。当初から1月末をめどに、としていた調査期間の想定に無理がありましたが、やはり期間を延長すると公表しました。このぶんだと2月に予定される第3四半期決算発表は延期せざるをえなくなりそうです。

五洋インテックス

同社元従業員が連結子会社である五洋亜細亜株式会社に対して3500万円を貸し付けたと主張していることを受け、外部調査委員会で調査を進めていた五洋インテックス。当該元従業員より1/27付で、同子会社に対する貸金等返還請求訴訟が提起されたことを公表しました。

あれ?、いつの間にか元従業員になってますね。外部調査委員会を設置した10/20時点では「当社従業員」となっていたんですが、、、。クビにしちゃった?また何か起きてるんでしょうか。

今回公表された「当社連結子会社に対する貸金等返還請求訴訟の提起に関するお知らせ」なんですが、昔の開示文書かなんか使い回ししてます?項番3のタイトル間違ってますよ。訴えられたばかりで、いきなり「3.判決の内容及び損害賠償金額」はないでしょ。

希望退職者募集が止まらない

株式市場はまだまだ堅調ですが、上場企業による希望退職者の募集は収まる気配がありません。今日で1月も終わりですが、2021年に入ってここまでのところ、希望退職者の募集を開示した企業はTDnet上で既に4社確認できます。

1月の開示

今月、早期・希望退職者の募集に関する開示を行ったのは合計11社でした。うち、募集の公表が4社で、募集結果の公表が7社です。募集結果を公表した企業とその応募人員数は、次のような感じです。

放電精密加工研究所(30名)、ムーンバット(43名)、アツギ(75名)、文教堂HD(25名)、セガサミーHD(729名)、NOK(246名)、マクセルHD(309名) ※NOKは連結子会社分です。

一方で、今月募集を公表した企業と募集人員数は次の通り。

かんなん丸(80名程度)、ヴィア・HD(約50人)、三陽商会(150人程度)、IMAGICA GROUP(グループで100名程度)

2020年は

東京商工リサーチによると、2020年に早期・希望退職者を募集した上場企業は判明しているだけで93社に上ったそうです。この数字、リーマンショック直後の2009年の191社に次ぐ高水準とのこと。募集人数は合計で1万8635人となっていて、こちらも2009年に次ぐ数字に。

昨年の希望退職募集者数上位は日立金属(1030名)、レオパレス21(1000名)、コカ・コーラボトラーズジャパンHD(900名)など。実際の応募結果ではファミリーマートの1025名(募集は800名)というのもありましたね。

冒頭で2021年の募集開示企業を紹介しましたが、東京商工リサーチによると、2021年に募集を開始する上場企業は1月21日時点で、すでに22社判明しているとのこと。前年同期(11件)の2倍増のペースで推移していて、募集人数は判明分で3490人だそうです。

日立金属 特別調査委員会 調査報告書

日立金属は1/28、品質不正に関し、特別調査委員会の調査報告書を公表しました。不正製品を納入した先は、計1747社にのぼっています。このうち事業撤退などの理由で連絡が取れない44社を除き、すべての顧客に納入実績があることについて連絡済みだそうです。

ここまでを振り返って

いやぁ、長かったですね。委員会の設置は昨年の4/27。そこから今年の1/25までですから、調査期間なんと9か月間です。お疲れ様です。

2020年1月に安来工場において製造する特殊鋼について、品質に係る不適切行為が行われている旨の情報提供を受けたというのがとっかかりでしたが、これってやはり内部通報ということのようです。今回は「情報提供」ではなく、「投書」と表現されています。

2015年に始まり、世を騒がせた上場企業による検査不正事案の嵐。そんな中でも不正をしっかり握りつぶしてきた日立金属。報告書では経営幹部や本社部門などが不正を認識していて続けさせている状況では、現場が不正を問題視することが困難だったと分析しています。

全編ヤラセに見えてきた

じゃぁ、なぜこの時期に「投書」が登場するんでしょう。なんかもうこの辺りからヤラセみたいな感じがしてきました。何度も不正行為に関して気付きがあり、何度も不正行為の公表のチャンスがあったにも関わらず、、、日立が日立金属を売却することを決めると途端に表沙汰に。。。

再発防止策の中に「内部通報制度の強化」というのがあるんですが、これが日立製作所コンプライアンス部に通報する仕組みというのも、、意味ありげ。良い値で売れるまでは日立が監視するのか。

売却を決定したから不正を精査、膿を出し切り、身綺麗になってから売却。このこと自体に別に異を唱えるものではありません。問題はそれまでの間、社会や顧客を裏切り続けていることです。これが日立製作所のやり方なんでしょうか。ここから売却手続きを加速するんでしたね。