ラサ商事(3023) 子会社旭テックで不適切会計

東証一部上場のラサ商事は3/26、同社の連結子会社である旭テック株式会社において、不適切な会計処理が行われていた可能性があることを公表しました。業務プロセスの適正化を目的に社内調査を進める過程で判明しています。

ラサ商事

不思議な名称の会社ですよね。もともとはラサ工業の販売部門として設立され、後に独立しています。今では大株主にも出てきませんね。この「ラサ」というのは沖縄県に属する通称「ラサ島」に由来するそうです。公式には沖大東島と呼ばれています。

沖縄本島の南東、南大東島の南方辺りに位置する周囲5㎞ほどのサンゴ礁でできた小さな島です。このラサ島で明治末期、今のラサ工業がリン鉱石を採掘して以来、「ラサ」が使われてるそうです。

旭テック

ラサ商事は2010年代に3つの企業を子会社化していて、旭テックも2014年に子会社になっています。100%子会社ですね。石油化学プラントをはじめ、多種多様な分野のプラントや関連設備の設計・施工・メンテナンスが主要事業となっています。

そんな旭テックで、従業員が3月中旬に行方不明となり、捜索発見後事情を確認するなかで、数年にわたり売上原価が不正に先送りされている可能性があることが分かったとのこと。先送りが行われた時期、金額については調査中としています。

行方不明とは尋常ではありません。業務プロセスの適正化を目的として行われていた社内調査で、この不正がバレると思ったんでしょうね。期を跨いだ原価の付替え、、、一人で実行するような行為とは思えません。経営陣の関与が今後の調査の焦点になりそうです。

この事件については、ラサ商事内に調査委員会を設置して、不適切な会計処理の詳細、決算への影響金額を含め、事実関係を解明していくそうです。

モダリス(4883) 大株主がロックアップ違反

バイオベンチャーのモダリスは3/24、「『第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書』の提出に関するお知らせ」を開示しました。上場後6カ月を経過しないと同社株式を第三者に譲渡できないことを確約していた株主が、その期間中に市場売却していたということです。

ロックアップ

上場直前に第三者割当等により株式を取得した株主は、上場後6カ月を経過するまでは第三者に譲渡(売却)できない旨を確約します。これをロックアップと呼んでいます。上場直後の株式の需給バランスに配慮し、上場前に取得する者の短期利得行為を防止するのが目的です。

上場を準備している会社は、上記の対象となる全ての第三者割当を受けた者からの確約書がない場合、上場申請が受け付けられません。と、ここまでの概要は「制度ロックアップ」について。取引所の規制により定められたロックアップのことです。

他にも「任意ロックアップ」というのもあって、これは主幹事証券が任意に設定するロックアップ。大株主や創業者、役員などから一定期間売却しない約束をしてもらうことを指します。

個人大株主 K氏

で、今回ロックアップ破りをしてしまったK氏。最初に説明した制度ロックアップの対象者なんですが、ロックアップに関する確約書の存在を失念していたとブログで弁明されています。本人はこの制度ロックアップというルールを知らず、有価証券届出書の任意ロックアップ欄で自分の名前の記載がなかったため売却してしまったとのこと。

ちなみに、K氏以外の制度ロックアップ対象株式は、株式公開後6か月間に株式の異動は行われていないとのこと。しかしまぁ、市場売却された株式は60万株。売却価額は18億65百万円だそうです。K氏はロックアップ対象ではない20万株も保有されており、これも売却されてるでしょうね。

歴史的株高で高額消費活況

新型コロナウイルスの感染拡大で消費が衰退しているなか、意外に堅調なのが高額消費だそうです。日経平均株価が3万円台を回復するなど、株高等による資産効果が富裕層の消費マインドを後押ししているんだといいます。今日はメチャ実感のない話題を、、、。

1000万円以上する高級車

まぁいまさら各種統計を持ち出すこともないでしょう。誰が見ても国内の消費は歴史的な低迷。居酒屋にも行けなくなったし、家族での外食もためらわれる今日この頃です。そんな中で、1000万円を超える高級車は20年、前年比0.5%増の2万2712台売れたんだとか。5年連続での前年超えとなったそうです。

要因としてあげられているのが歴史的株高。株価等の上昇で個人の総資産が大きく上がり、資産効果で高額消費が増加するという、一般庶民には縁のない現象が現れているといいます。いやぁ、マジで実感してみたい。ですね。

百貨店も

どう考えても最悪だろうと思う旅行業者や外食産業。これらに加えて百貨店。ところが百貨店では外商催事が前年比2割増と絶好調らしいです。意外でしょこれ。百貨店の外商といえばお金持ちのシンボルみたいなものですよね。まさに高額消費の舞台です。

間違いなく衰退していた、どんどん潰れていた地方の百貨店でも同じことが起きています。以前は都内の百貨店に足を運んでいた顧客が、地元の百貨店で高額消費するという現象も起きているんだとか。移動の制限で地元消費が旺盛な郊外のスーパーと似た構図ですね。

この移動の制限も大きな要素ですね。資産効果とは別に、海外旅行に行けなくなってしまったための富裕層の高額消費という面もありそうです。富裕層でなくても、、、旅行や娯楽施設に行けない一般庶民の消費形態もきっと変化してるんでしょうね。数字には表れにくいですが。

SCSK 社員が不正行為 松井証券システムで

松井証券の顧客口座から資金を詐取したとして、同社のシステム管理を請け負っていたSCSKのシステムエンジニア(SE)の42歳男性が3/24、警視庁に逮捕されました。顧客の株式を無断で売却した代金や口座の預かり金など約2億円が不正送金したという事件です。

事件の概要

松井証券の顧客210人分のログインIDやパスワードを不正に取得したうえ、そのうち15人の口座から不正送金を繰り返したといいます。この一連の不正行為は2017年6月から2019年11月まで、2年5カ月に及んでいます。

この社員はプロジェクトリーダー。システムの本番環境と開発環境の両方にアクセスできる権限を持っており、本番環境で顧客情報を含むバックアップファイルを作成して開発用システムに転送。開発用システムで210人分の顧客情報を抽出して私用のメールアドレスに転送することで、IDやパスワード、取引暗証番号など、取引に必要な情報を不正に入手したようです。

そもそも事件の発覚は昨年の1月だそうです。身に覚えのない取引があったと、顧客から松井証券へ問い合わせが入りました。SCSKも協力して調査を実施し、同年9月にはこの不正行為について警察に告発しています。しかし調査も捜査も何でこんなに時間がかかるんでしょうね。

委託先社員の不正

日経の記事では「委託先社員の不正をどう防ぐか」、に焦点を当てていました。日本で受託開発や運用を主な業務とするシステム会社が多いのは「国際的には独特の構造」だそうで、米国では自社開発の割合が委託より高いんだそうです。

システム投資が事業を発展させるエンジンになる時代です。にもかかわらず、システム投資をITコストだと思っている企業がいまだに多いんですね。業績が芳しくないとすぐにコスト削減対象になります。すると自社で可能な限りシステム要員を抱えずに、開発・運用等はほとんど外部業者に委託、という構図になっていきます。だからDXも進みません。

ドンキホーテ インサイダー 前社長に懲役2年を求刑

ドンキホーテホールディングス(現在のパン・パシフィック・インターナショナルHD)株式の取引不正推奨事件で金商法違反(取引推奨)罪に問われた前社長、検察側は「経営トップの立場で規制に真っ向から反し、市場の公正性と健全性を大きく損なわせた」として、懲役2年を求刑しました。

事件の概要

前社長は在任中の2018年8月上旬、ユニー・ファミリーマートHD(現在のファミリーマート)によるドンキHD株に対するTOB(株式公開買付)などの連携強化策について知り、公表前の同9月、知人男性に利益を得させる目的でドンキHD株を買うよう勧めたという事件。

知人男性は公表前に約4億3千万円でドンキHD株を購入。公表後に売却し、約6,900万円の利益を得たそうです。この金額のデカさからみても、前社長、逃げ切れないだろうなぁと思ってました。

当初の言い分は

もともとは内部情報を得た人物が、自身で株などの取引によって利益を得る行為のみが規制対象でしたが、2014年に施行された金商法改正により、インサイダー情報を漏らした側も規制されることになりました。この法令違反で逮捕者が出たのは初めてだと思います。

2020年夏の2度目の強制調査の時までの言い分。「(知人とは)18年8月16日に会食した。決算発表後、材料出尽くしのために株価が下落した。なぜ下がるのだ、という思いがあり、知人に『うちの株は割安だと思うよ』という趣旨のことを言ったかもしれない。正確には覚えていないが」。みたいな感じでした。

被告人質問では

2014年施行の改正金商法で取引推奨行為が禁止されたことを知らなかったとした上で、被告人質問では「知人男性によく思われたいとの見えもあり、推奨してしまった。私の勉強、見識、モラルの不足が原因だ」、ですと。なんとも情けないことになってます。