UL認証とは 東洋紡、京セラの安全認証不正取得・・・Underwriters Laboratories

東洋紡に続き京セラでも、米国の安全認証の不正取得が発覚しました。当ブログでもこれらを取り上げてきましたが、この米国のUL認証なるもの。いまいちピンときません。せっかく東洋紡、京セラの記事を書きましたので、UL認証についても素人なりに書いてみます。

Underwriters Laboratories

Underwriters Laboratoriesは米国イリノイ州を本拠とする、試験、検査、認証を行う企業です。120年間にわたり発展してきた、世界的な第三者安全科学機関。政府機関かとも思いましたが、そうではないらしいです。行政上の権限も持ちませんし、政府当局の支配も受けません。

製造者がULから試験や安全認証を自社製品に受けるのは、あくまで任意。ULの認証を受けてULマークを使用しなければならない、と明記した国としての法律もないそうです。

なぜ必要

米国では多くの自治体がその地域内で製品を販売する前に、認可されている試験所による製品の検査を求めています。多くの企業が自社製品にUL認証を取得する目的は、現地で製品が拒絶される可能性を最小限にするためだそうです。

米国最古の安全規格開発機関として対象を拡大してきており、今では自治体などから公的な認証として扱われているようです。任意の認証制度とはいうものの、米国向けに輸出される原料や製品を製造販売する企業はULの認可を不可欠のものと考えているようですね。

米国向けの輸出には不可欠となっている安全認証。これを不正に取得していたのが東洋紡、京セラです。それもかなり昔から。日本が大きく成長したのは米国への輸出を伸ばした時代でした。その当時に不正取得していたのはこの2社だけ、と考える方が無理があるように思います。

マネーフォワード Retty 債権取り立て不能の恐れ 「ジンユウ」破産で

マネーフォワードとRettyは4/2、債権の取立不能のおそれがあることを公表しました。飲食店向けスタートアップである「ジンユウ」が3/31、東京地裁に破産を申請し、同日破産開始決定を受けたことによるものです。同社に対する債権につき、取立不能の可能性が出ているということですね。

ジンユウ

2015年に設立されたスタートアップ。飲食店向け仕入サイト「KITCHEN BROTHERS」を運営する。所在地は港区虎ノ門、資本金107百万円の会社です。小規模の飲食業者を対象に、サイト上で食材発注サービスなどを展開していたようです。これ以上は分からなくて、同サイトを訪ねてみましたが、「Server Error」。サイトも閉鎖されてしまったようです。

マネーフォワード

家計簿アプリのマネーフォワードでは、同社の連結子会社がジンユウに対する債権をもっていて、金額は50百万円だそうです。が、この債権については、保証機関、保険会社との契約に基づき保険で保全されているとのこと。実質的な負担は5百万円で済むようです。

Retty

Rettyのジンユウに対する債権は約55百万円となっていますが、こちらは保険等の情報はありません。取立不能見込み額については、その全額を貸倒引当金繰入額に計上する予定としています。

Rettyは昨年末からジンユウに対する出資を検討していたようで、上記の貸付も運転資金の補填として2月~3月に行われています。その後、買収監査(デューデリジェンス)の過程で、同社の提出した業績実績に虚偽の報告があったため、出資検討を中止したという経緯があったようです。

何かとよい面ばかり取り上げられるスタートアップですが、こういうこともあるんですね。出資が実現していたら、もっと被害が大きくなっていたと思われます。虚偽が見抜けて良かったです。

京セラ 安全認証不正取得(その2)

東洋紡に続いて、ケミカル製品6製品の難燃性および絶縁性について、認証試験に実際の製品とは異なるサンプルを提出して認証を受けていた京セラ。原因を究明するため、特別調査委員会を設置したのが1/8でした。すでに調査期間は3か月になろうとしています。

対象のケミカル製品

1月に取り上げた際は、詳細まで書けませんでしたのでここらで追記を。難燃性UL94対象製品(5製品)というのが、注形レジン、プリミックス成形材料、フェノール樹脂材料、電機用樹脂ボード、半導体封止材料だそうです。また、絶縁性UL1446対象製品(1製品)というのが、ワニス。と説明されていました。

これらの製品を供給している顧客の数は、発表時点で約160社と認識しているとのこと。対応として、本事案の判明後直ちに当該製品に関わる新規の受注活動を停止しました。とあります。つまり、これら製品の供給(出荷)が止まったということですね。

半導体封止材料

6製品の中に「半導体封止材料」なんてのがあります。上記の開示がされた1月初旬にはあまり話題になっていなかったと思いますが、その後米国での寒波やルネサスエレクトロニクスの主力工場が火災に。車載半導体の不足で自動車生産が止まってしまうという事態になりました。

京セラの決算説明資料の中に、「半導体市場での生産活動の拡大に伴い、半導体封止材料の需要が増加し、京セラケミカルの売上高も増加しました。」などというくだりがありました。ひょっとするとこの事件も半導体不足の一因になってるかもしれませんね。残念ながら同社製品のシェアとかは分かりませんでしたが。

SBI SBIソーシャルレンディングの取り扱いファンド 損失補填

SBIホールディングスは4/2、子会社のSBIソーシャルレンディングの取り扱う一部ファンドにおける、未償還元本相当額の償還に向けた取り組みの開始についてを公表しました。ソーシャルレンディング貸付先の事業運営に重大な懸案事項が生じている可能性が認められ、第三者委員会を設置していた件ですね。

事案の概要

SBIソーシャルレンディングのソーシャルレンディング貸付先の事業運営に、重大な懸案事項が生じている可能性が認められたとしていますが、詳細については今のところ分かりません。今回の開示で、「投資家に出資いただいたファンドの一部について、その取得勧誘にあたり結果的に金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」としています。

出資対象事業持分取引契約に関する事項や、同運営に関する事項、経理に関する事項といった、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる事項について虚偽の説明等があったということでしょうか。今のところ、「金融商品取引法違反に該当する行為があった可能性が高い」としか、、、。

損失補填

この業界では顧客の損失を補填することは、約束することも、実行することも禁止されています。金融商品に関する公正な取引、円滑な流通、公正な価格形成等を確保することを目的としたルールです。投資家が安易な取引をすることにより、投資家の自己責任原則が害されるという考え方ですね。

ただし、例外があって、金融商品取引業者(証券会社やソーシャルレンディング会社)が不適切行為や違反行為を行うことで実行された取引については、証券事故として扱われ、業者による損失補填が可能になります。

SBIは第三者委員会の結論を待つものの、現段階でも証券事故である可能性が高いとして、この損失補填を行う予定だと公表したわけですね。

NISSHA 元従業員に懲役2年

勤務先の会社の技術情報を不正に持ち出したとして、「NISSHA」の元社員の男が不正競争防止法違反の罪に問われた裁判で、京都地方裁判所は3/17、懲役2年、罰金200万円(求刑懲役3年、罰金300万円)の実刑判決を言い渡しました。

事件の概要

年初、ソフトバンクの高速大容量規格(5G)に関する情報を持ち出したとして、同社から楽天モバイルに転職した男が不正競争防止法違反容疑で警視庁に逮捕されました。いわゆる営業秘密の持ち出しですね。

今日取り上げるのはNISSHAの従業員。NISSHAは昔の日本写真印刷です。スマートフォンなどに用いられる同社のタッチセンサー技術の情報を、転職先の中国企業で使用する目的で、この元従業員が不正に持ち出しました。技術部門の管理職だったようです。

会社の内部調査で情報の持ち出しが発覚し、中国から一時帰国していたところを逮捕されています。犯行は2017年、逮捕が2019年6月のことです。冒頭に書いたように、実刑判決です。執行猶予がありません。そういう時代になってきたと。

退職者

この判決が出た2週間後の3/31には、大阪地検が、不正競争防止法違反罪で大阪市淀川区の男性元従業員を在宅起訴していました。積水化学工業のスマートフォン関連技術が中国企業に漏洩した事件ですね。

情報処理推進機構(IPA)が3月に発表した企業の営業秘密の管理に関する調査によると、秘密漏洩の原因は退職者による持ち出しが36.3%で最多となっていました。テレワークは当たり前になり、希望退職者の募集の話題も絶えません。営業秘密に関する情報管理は今後、ますます難しくなりそうです。