サクサホールディングス 監査役の交代

サクサホールディングスは5/17、「役員等の異動および組織改正に関するお知らせ」を公表しました。役員の異動については、監査役が交代するということのようです。別になんてことない開示なんですが、なにせ同社グループは架空取引も含む不適切な会計処理等で話題となっただけに、、、。

新任監査役

今さらながらですが、監査役は取締役の指示命令から独立して、会社の本来の持ち主である株主の立場になって、会社が健全に経営され、株主に不利益なことが行われていないかを管理監督します。つまり、同社が起こしたような不祥事をいかに防止するか、発生した場合にはいかにして速やかに発見、是正するか。が、求められるわけです。

今回、同社が公表した新任監査役は、現総務⼈事部⻑さんです。サクサ株式会社では執⾏役員 管理統括本部⻑ 兼 総務⼈事部⻑だそうです。監査役の候補になられるわけですから、グループで発生した会計不正等には関与されてなかったんでしょうが、ホールディングスでは役員経験ないみたいで。取締役にビシッとモノが言えるんだろうか。少々気になります。

上がりのポスト?

総務人事部長さんから監査役。ご自身が関与されてきた部署等で何か問題が出てきたときは大変ですよね。特に総務部などは会計不正、人事部ではハラスメントなど。何かしら出てくるものです。何か問題があった場合も、適切に対処していただきたいものです。

監査役というポストは、よく上がりのポストとして使われます。部長まで、執行役員までやってきて会社に貢献してきたので、上がりのポストとして監査役に。ガバナンスが重要視される今の時代でもまだまだ残っていると思います。

サクサホールディングスにおいては重大な不祥事を起こした直後ということもあり、上記のような上がりのポスト的な異動でないことを祈りたいものです。監査役というポストについて、同社の執行部がどの程度重視しているか。ココ、非常に重要です。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し

日本軽金属ホールディングスは5/17、「当社子会社の日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表しました。JIS認証違反調査委員会を設置し、徹底した全容解明と原因究明、さらに再発防止策策定を行っていくとしています。

不正取得の概要

「1996年頃から、日本軽金属名古屋工場のアルミ板製品の引張試験の試験片を採取する際、厚さ 6.5 mm以上で非熱処理合金の板製品において JIS の規定(圧延方向に対して平行)と異なる方法(圧延方向に対して直角)で採取した試験片にて引張試験を実施したにも関わらず、当該厚板に JIS マークを付して継続的に出荷していた。」

引張強度を測定する際、圧延方向に対して直角に採取した試験片の方が、より強度が高くなるということのようですね。より強度の高く見える試験片で認証を不正に取得していたということのようです。かなり悪意を感じさせますね。

更新審査(2020年2月)においては、更新審査用の試験片採取を行う際、上記の実態を偽り、JIS の規定に沿った試験片採取を行った。というのもあります。実地での審査においては、正しく試験片を採取しているように見せかけた、ということでしょうか。

認証取消しの内容

JIS の認証機関である一般財団法人日本品質保証機構は、鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足しておらず、その内容が重大であるとして、2021年5月14日付で名古屋工場の JIS 認証取消しを行っています。

JIS認証違反調査委員会を設置して、同社グループの JIS 認証を受けている全拠点において、JIS マーク表示製品に対する総点検を開始しているようです。グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。さて、この認証不正取得はどこまで広がりを見せるでしょう。

ぐるなび 従業員賞与 50%削減

飲食店情報検索サイトを運営する「ぐるなび」は5/6、「従業員賞与の減額に関するお知らせ」を公表しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う厳しい事業環境に鑑み、6月に支給を予定している従業員の賞与について、支給見込額より50%減額するとしています。

従業員賞与の減額

従業員の賞与等の減額については、以前、幸楽苑の事例を取り上げたことがありました。昨年5月のことです。減額の内容は、月額給与の20%と、夏季賞与の不支給という強烈なものでした。

今年4月には、三越伊勢丹ホールディングスが、やはり新型コロナの影響による業績不振に伴い、従業員賞与等の減額を公表しています。同社の場合は従業員一人当たりの減額率は伏せ、総額で37億円を減額するという公表の仕方でした。

そして今回はぐるなびです。新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店情報のサイト掲載料収入が減るなどして、業績が悪化していることに伴う措置です。同社の場合は「支給見込額より50%減額」とだけ公表し、総額で人件費がいくら削減できるのかは公表していません。

役員報酬は?

一方で役員報酬の減額等の話題がなかったので調べてみました。昨年10月末に無配になる旨と一緒に公表してますね。「取締役(社外取締役を除く)については年間固定基本報酬の2割相当を自主返上。常勤監査役についても年間固定基本報酬の1割相当を返上」というものです。

しかし、従業員の賞与の削減率を公表するのっていかがなもんでしょうね。経営が株主に対して責任の取り方を示すのは理解できますが、従業員も株主と並ぶステークホルダーです。減額するのはともかく、減額率を示す必要があるんでしょうか。kuniとしては、経営の責任の取り方を公表しつつ、従業員にも配慮する三越伊勢丹スタイルが良いんじゃないかと。

東邦化学工業 ニイタカ 中国連結子会社の行政処分

少し前のことになりますが、東邦化学工業は5/6、「当社連結子会社に対する行政処分について」を公表しました。同社連結子会社である東邦化学(上海)有限公司は、中国上海市金山区応急管理局から 4/30付で生産停止命令を受けました。これよりも前、4/21にはニイタカでも同様のことが。

東邦化学工業

東邦化学工業は東京都中央区に本社を置く、界面活性剤、樹脂、化成品、スペシャルティーケミカルなどの化学製品を製造・販売する、東証2部上場の企業です。同社の連結子会社である東邦化学(上海)有限公司が現地で行政処分を受けました。

4/29、国務院安全委員会事務室査察グループの安全生産に関する査察があり、ガス検知器の不足等、4つの重大な潜在的危険を含む法規制違反や要改善事項の指摘を受け、4/30付で生産の一時停止を命じられたとのこと。

停止を命じられた生産の範囲は、東邦化学(上海)有限公司における生産の全てとしています。また、停止期間は4/30から、査察における指摘事項の改善状況を政府関係当局が確認し、生産を許可するまでだそうです。

ニイタカ

ニイタカは大阪市に本社を置く、フードビジネス業界向けの業務用洗剤・洗浄剤および固形燃料などを製造・販売する、東証1部上場の企業です。

同社連結子会社である、新高(福建)日用品有限公司において製造する料理用固形燃料が、中国国内で法的規制のある危険化学品に該当すると指摘を受けました。そのため、同子会社の工場における料理用固形燃料製造設備の操業を停止したといいます。

同社では行政処分という言葉を使っていませんが、東邦化学と同じ処分のようです。いずれも市の応急監理局からの指摘で生産停止に。両社とは直接関係ありませんが、北京市の応急管理局が「危険化学品の安全生産作業を全面的に強化し、市内の危険化学品の安全を確保」という通達も出しているようです。同様の処分が今後増加するかもしれませんね。

京セラ 特別調査委員会の調査結果を公表

京セラが製造・販売を行っているケミカル製品について、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories の認証に関する不適切な対応が判明。調査にあたっていた特別調査委員会から調査報告書を受領し、公表しました。かなり酷い調査結果です。

調査結果の公表日

調査報告書、やっと出てきたか、って感じです。しかし、なぜ5/14だったのでしょう。一年のうち最も適時開示情報がたくさん出てくる日です。この記事を書いている時点で27ページもある日なんです。決算発表等が集中する日なんですね。

多くの情報の中で埋没する日?目立たない日を選んだということでしょう。おまけに、調査報告書の表紙の日付、わざわざ5/13の13だけが手書きで修正されてたりして。あの京セラがこんなことするとは。

調査結果の概要

細かいことは省略しますが、報告書のいたるところに経営陣の関与、もしくは黙認に係る事実が語られています。ただし、今回の不正を指⽰あるいは命令していたといった事実までは認められない。と、委員会が配慮してはいるんですが。。。以下引用です。

「客観的資料に基づき元取締役に事実確認を⾏うことのできた2009年以降に限っても、複数の幹部層(代表取締役を含む)が、本件不正を認識していたものと認定する。これらの幹部層は、本件不正を積極的に是正しようとせず、黙認していた事実は認められるが・・・」

長年にわたり行われてきた不正、当時の代表取締役に至るまで認識していながら、是正してこなかった。ただ、指示、命令はしていなかった。って、ん~、額面通り受け取れませんね。

不正の概要

「指定された量産品とは異なる組成の試験⽚を UL に提出していたケース(試験⽚のすり替え)。」とか、「検査での発覚を避けるため、UL 検査員の⽬に届かないよう、倉庫内の製品を隠していたケース。」。こんな指摘があちこちに出てきます。

こうした手口が30年とかの間継続されていました。その気になって調べれば、取り上げらている代表取締役らの実名も特定できそうですが、読んでるうちに力が抜けてしまいました。お時間があったら、この報告書読んでみてください。適時開示ラッシュ日に公表された意味が分かってもらえると思います。