支店長の不正を公表後、読売新聞が他の支店における不正の情報をつかみます。6/5、読売の取材攻勢に対して明確に否定する専務理事。ところが、この取材を契機に役員ミーティングが開催され、翌々日の6/7に3支店、3案件についても公表されることになりました。
案件の把握時期
この不祥事3件、社として概要を把握したタイミングは2018年8月、2019年3月、同年3月、といった具合で、元支店長事案を公表する時点では、既に詳細までを把握していながら、当局への報告もせず、公表もしていなかったということです。
当局報告を行わなかった理由
この組合では、コンプライアンス担当理事である前専務が、当局への届け出を行うかどうかの裁量を持っていたようで、3件の不祥事とも前専務へ情報集約が行われ、損害の補てんが行われていることなどを考慮し、報告は不要との判断に至っている、と報告書は推定しています。また、専務以外の者が報告不要という結論に関して、何らかの意見をした形跡もないとしています。
報告書では、「不祥事を表面化させないという強い隠ぺい体質があるとまでは認められない」としています。が、これはあくまで決定プロセスにおける状況を描写しただけのこと。結果的にはレピュテーショナル・リスクを回避するための隠蔽行動そのものです。
報告書ではこうした体質を「不祥事は内密かつ穏便に処理するという不祥事対応に関する『事勿れ主義』の発想」などと表現していました。
不祥事3件についてはガバナンスの問題
この3件の不祥事については、これを発生させてしまったことに対してよりも、当局へ報告せず、公表もしなかったことへの批判が大きいようです。コンプライアンス担当役員の判断に対して何のけん制も効かない理事会や監事のガバナンスの問題ということですね(株式会社では取締役会と監査役に相当します)。
財務局の行政処分の命令では、2番目でこのことが指摘されています。「理事会及び監事による経営監視・牽制が適切に機能する経営管理態勢の確立」。