株式会社オカムラ食品工業 農産物漬物の不適正表示

少し前になりますが農林水産省は4/19、「株式会社オカムラ食品工業における農産物漬物の不適正表示に対する措置について」を公表しました。食品表示法の規定に基づく立入検査等を実施した結果、原材料等の産地等について、事実と異なる表示をするなど不適正な表示を行っていたということです。

株式会社オカムラ食品工業

オカムラ食品工業はサーモントラウトを国内外で養殖するほか、イクラや筋子をはじめとした水産加工品を製造販売する企業。青森県で国内初の大規模生食用サーモン養殖を開始、養殖から加工、販売まで一貫して手がける東証スタンダード上場企業(半年前に上場したばかり)です。

不適正表示

同社が製造・販売する農産物漬物(商品名「ねぶた音頭」)の原料原産地名について、原材料の大根に「中国産」を使用していたにもかかわらず、「国産」と事実と異なる表示をするなど、不適正な表示をし、一般消費者、ふるさと納税返礼品取扱事業者に販売したということです。

他にも、同じく原材料の数の子に原産地名「カナダ産」を表示すべきところ、これを表示していなかったというのも。全部で4点について不適切な表示として、農林水産省は食品表示法に基づき、表示の是正と併せて、原因の究明・分析の徹底、再発防止対策の実施等について指示を受けています。

タイミングの問題

以前、食品産地偽装が社会問題化したことがありましたが、今回のケースはほとんど話題になっていません。地方におけるふるさと納税返礼品の産地偽装の話題はあるようですが、今一つメディアも大きく取り上げませんね。特に足元では小林製薬の紅麹ばかりに世間の目が向いていたということも。

しかし、この農林水産省からの指導、オカムラ食品工業は同社ホームページで公表しているだけで、適時開示は行われていません。これはいかがなものかと思いますね。

江崎グリコ システム障害で「チルド食品」(冷蔵品)の出荷再停止

江崎グリコは4/22、「当社グループにおけるシステム障害について」を公表しました。基幹システムを切り替えた際に発生したシステム障害により、現在、一部の受発注及び出荷業務に影響が出ているということです。第一報は4/5に出ていたんですね。

江崎グリコ

江崎グリコは多くのロングセラー商品(「ポッキー」、「プリッツ」、「ビスコ」など)を持つ大手菓子メーカー。菓子、冷菓のほかに乳製品や食品原料なども展開。米国や中国、タイをはじめとする海外にも進出しています。もちろん東証プライム上場企業です。

障害の状況

洋生菓子「プッチンプリン」や乳飲料「カフェオーレ」のほか、果汁や清涼飲料といった冷蔵品を取り扱う全国の物流センターでシステム障害が起きているようです。常温や冷凍食品の出荷には問題は出てないみたい。5 月中旬の再開を目指して復旧作業に努めるとしています。

発生原因

このシステム障害、4 月 3 日(水)に、基幹システムを切り替えた際に発生した。と説明されています。開示では「基幹システムを切り替えた際」と説明されていましたが、のちの報道では、この基幹システムへの切り替えに340億円が投じられた、と説明されています。

ちなみに、この基幹システム刷新のプロジェクトを手掛けた主幹ベンダーは、デロイト トーマツ コンサルティングだそうで、プロジェクトは1年超も大幅に遅延していたそうです。1年超も遅延したうえでの本番、即障害発生、システム開発においては、あるあるなんですけどね。

ファナック株式会社 規格不適合検査で特別調査委員会を設置

ファナック株式会社は4/24、「当社欧州向けロボカット製品における EMC 指令に基づく整合規格不準拠の試験実施の疑義及び特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。決算発表時期を迎え、またこうした検査関連の不正が出てき始めましたね。

ファナック

ファナックは、工作機械などに搭載されるCNC(コンピューター数値制御)装置で世界トップシェア。CNCやサーボモータなどのFA(ファクトリーオートメーション)部門を主軸に、その基本技術を応用してロボット事業、ロボマシン事業(小型マシニングセンタ、電動射出成形機など)なども手掛ける東証プライム上場企業です。

不正の概要

同社が製造・販売するロボカット製品(ワイヤ放電加工機)について、欧州の EMC 指令の整合規格である EN 規格への適合性を判断するために、同社が当該規格に基づいて実施したとされる試験が、当該規格に準拠しない条件の下で実施された可能性があるとのこと。

その結果、EMC 指令適合性の確認結果に疑義がある状態で欧州へロボカット製品を出荷している可能性があることが判明したといいます。同社の社内調査により 2024年3 月下旬に判明したということです。

対象製品に関して事故が発生した旨の報告は受けてないということですが、事実関係の調査を徹底的に行うため、特別調査委員会を設置することになりました。そういえば、先月、東京国税局がファナックに対し、およそ97億円の申告漏れを指摘したっていう話もありましたね。個人的には非常に良い会社というイメージでしたが、何かが変化してきてるんでしょうか。

IHI 連結子会社のIHI原動機 燃料消費率の測定データを改ざん

船舶用のエンジンなどを製造するIHI原動機が燃料消費率の測定データを改ざんしていたことが、報道されました。このデータは試運転の際に測定して取引先に報告するもので、国土交通省は会社側に事実関係の報告を求めるともに、詳しいいきさつを調査する方針とのこと。

IHI原動機

IHI原動機は東証プライム上場企業であるIHIの100%子会社で、資本金は30億円。内燃機関、ガスタービン機関、舶用機器の製造及び販売を行っている企業で、源流は上場廃止となった新潟鐵工所みたい。親会社のIHIは、航空エンジンで国内トップシェアを有し、橋梁など海外大型プロジェクトで実績を持つ総合重機大手の一角です。

データ改ざん

IHI原動機は船舶用のエンジンを組み立てた後に行われる試運転の成績書に、実際に測定された燃料消費率とは異なる数値を記載していたということです。

この成績書は試運転のあとに取引先に報告するもので、2003年以降に製造された国内向けの船舶用エンジンおよそ1900台のうち、1500台余りでデータの改ざんが行われていたとのこと。また、およそ800台で取引先との間で決められた値を満たしていなかったということです。

IHIもこの事案について開示を行っていますが、この中での子会社関係者に対するヒアリング調査に関する以下の記述は気になります。「燃費データを良く見せることや、データのばらつきを整えるために修正していた旨の証言があったほか、前任者から引き継いだとの証言があった」。

親会社のIHIは2004年、2007年に加え、2019年には航空機エンジン整備での検査不正が発覚し行政処分を受けています。これだけの機会がありながら、子会社にも不正がないか、チェックできなかったんですかね。

みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券 持株会業務で計算ミス

みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券は4/19、「持株会事務業務における株式取得単価の一部誤りについて」を公表しました。持株会および持株会会員向けに提供している株式取得単価の一部が誤っている可能性があることが判明したということです。

持株会

従業員持株会や役員持株会、取引先持株会などがある、上場企業における役職員向けの株式積立みたいな制度ですね。毎月同額を払い込んで積立ていき、単元株数になるとこれを引き出して売却することが可能になります。もちろん退職時までずっと積み立て続けることも。

開示では「持株会事務業務」と括られているので、すべての種類の持株会で発生した可能性があるんでしょうか。会員が持株会から株式を引き出した場合に、残りの株式の取得単価を再計算しますが、この際に総平均法を採用している持株会において、取得単価が間違っているということです。

システム障害?

開示の中で、「(同社の総平均法では)買付金額合計および買付株数合計から過去に引き出した株式分を控除することなく算出しておりました」としています。計算に誤りがある対象は340社の517会だそう。取得単価を再計算するシステムのプログラムに問題があったということでしょうか。

みずほといえばシステム障害、ってのが定番になってるので、この件もメディアのおもちゃにされるかな?その辺りを意識してか、開示でも「システム」という言葉は使用されていません。対象になる可能性がありそうな方はみずほ証券のHPをご確認ください。