グンゼ株式会社 下水道使用料で不正が発覚

グンゼ株式会社は1/24、「温浴施設取水量過少申告に関するお知らせ」を公表しました。100%子会社であるグンゼ開発株式会社が運営する温浴施設において、取水量過少申告の事実が判明しました。これにより、下水道使用料も過少な金額を納付していたということのようです。

グンゼ株式会社

グンゼ株式会社は、インナーウエアやレッグウエアを製造・販売会社。主力ブランドに男性向けインナーウエアの「BODY WILD」や「快適工房」、ストッキングの「SABRINA」等があります。繊維以外の分野へも事業領域を拡大する東証プライム上場企業です。

不正の概要

不正の舞台となったのは、グンゼ開発株式会社が運営する「つかしん天然温泉 湯の華廊」です。当該施設の保守点検のために温泉水タンクの内部を確認した際に異常を発見し、配管状況を調査する目的で現場を掘削したところ、迂回配管が地中に埋設されていることを発見したといいます。

この迂回配管により取水量を過少に申告し、下水道使用料を偽ってきたということのようです。未払い期間は2004 年~2023 年。伊丹市や尼崎市に下水道使用料未納額として552 百万円を支払うことになったとのこと。

聞いたことのないような事案ですが、「迂回配管が地中に埋設されていた」ってのは明確に悪意ある行為ですよね。誰が指示してこんなことを?しっかり調査しないと。

日東製網株式会社 不正アクセスを受けランサムウェア感染被害

日東製網は1/19、「第三者によるランサムウェア感染被害のお知らせ」を公表しました。1/16に外部から不正アクセスを受け、サーバーに保存している各種ファイルが暗号化されていること等を同日確認したということです。

日東製網

日東製網は国内トップクラスの漁網メーカーです。無結節網を用いた漁業用の定置網、養殖網、底曳網、施網をはじめロープ類など各種漁具を製造・販売しています。このほか、獣害防止ネットなど陸上用の網も手掛ける東証スタンダード上場企業です。

被害の状況など

サーバーに保存していた各種業務データ、業務用ソフトウエアが暗号化され、アクセス不能な状況となっているとのこと。情報流出については現在調査中としています。さらに、「早期復旧に向け作業を進めると共に、通常の業務遂行が可能となるよう対応を進めている」と・・・

どういうサーバーが生きていて、どういうサーバーがやられてしまった、という情報がなく、何やら全面的な被害を感じさせる開示文となっています。

毎年増加しているランサムウェアの被害。以前日経が集計したところによると、ランサムウェアによる被害額は平均で1億7,689万円にのぼるとのこと。日東製網における被害はかなり大きなものになりそうな気配です。

※ ランサムウェア:企業などが保有する機密や重要データを暗号化し、システムを使えなくしたうえで、復元と引き換えに金銭(身代金)を要求するコンピューターウイルスのこと。

トーヨータイヤ 品質管理基準に満たないゴム製自動車部品をホンダに納品?

トーヨータイヤは1/22、「一部報道について」を公表しました。前週末にホンダの人気車種「N-BOX」で使用されている部品をめぐり、製造元のトーヨータイヤが、両社の契約で定められた管理基準から大幅に外れた数値のまま納入していると報道されたことに対する開示です。

トーヨータイヤ

トーヨータイヤは乗用車用、トラック・バス用、建設機械用、産業車両用などの各種タイヤを製造販売する国内第4位のタイヤメーカー。代表的な乗用車用タイヤブランドは「TOYO TIRES」と「NITTO」。東証プライム上場企業です。2019年までは東洋ゴム工業という社名でしたね。

一部報道

「一部報道」というのは、いわゆる文春砲ですね。不適合とされる部品は「トレーリングアームブッシュ」と呼ばれる部品だそうです。段差を乗り越える時やアクセルやブレーキで車体が動く時に発生する揺れを抑制するための部品だそう。

取材先について、「トーヨータイヤ現役社員」とか、「トーヨータイヤ設計部関係者」、「トーヨータイヤ工場関係者」などの証言を紹介する形で報道されています。

トーヨータイヤは、「当社の自動車防振ゴム部品供給取引において、そのような事実はございません」と明確に否定したわけですが、日野やダイハツの件もあり、市場は疑心暗鬼。報道された1/19には同社株は13%安まで売られました。同社は完全否定したんですが、ん~、なんか出てきそうな感じだなぁ。

中小企業庁 下請法に関する調査結果を誤通知

中小企業庁は1/18、「『令和5年度下請事業者との取引に関する調査』の結果に関する通知文書の記載の誤りについて」を公表しました。問題のなかった親事業者7,806社に対しても「下請法の違反のおそれがある」と誤った調査結果を通知していたということです。

下請法に関する調査

この調査、調査対象は大企業や中堅企業など5万5,000社で、下請け企業との取引が適正にされているか調べる目的で行われました。回答内容に基づき、下請法の対象となる取引を行う事業者において下請法違反のおそれが無いか判定を行い、違反のおそれが見受けられた事業者に対し、自主的な点検・改善等の取組を促す通知文書の交付を1月10日付で開始しています。

当初、10,923の事業者に対して通知を行いましたが、違反のおそれを判定する論理構成(判定ロジック)の一部に誤りがあったことから、7,806の事業者に対する通知で、一部項目で違反の恐れがないにも関わらず、違反のおそれがあると記載していました。

違反の恐れあり、の判定はなんと全体の8割近く。対象事業者が通知文書を閲覧するシステムを1月12日に一時停止し、再度、判定ロジックを全て見直したといいます。ということで、実際には3,100件ほどの事業者に違反の恐れありというお話だったんですね。

そもそも、「違反の恐れ」を機械的に指摘するレベルの通知だったので、大きな問題にはなっていないようですが、マイナカード同様、基本的なミスが多過ぎなんですよ。判定ロジックなるものの構築をどこが(民間企業が絡んでいるのかも含めて)行ったのかは公表されていません。

国土交通省 ダイハツの安全軽視に厳罰 3車種の「型式指定」取り消し

国土交通省は1/16、「ダイハツ工業の不正事案に関する国土交通省の対応について」を公表しました。同省は昨年12/21から1/9まで、ダイハツ工業に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってきました。その結果と処分に関する公表ですね。

検査の結果

検査の結果、ダイハツ工業から報告があった142件の不正行為の事実を認定するとともに、新たに14件の不正行為(試験車両に不適切な加工を行う不正行為(9件)、規定と異なる試験装置を使用する不正行為(5件))を確認したということです。合計46車種156件に拡大しましたね。

特に悪質な不正行為が行われたと認められる以下の3車種について、型式指定を取消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始したとのこと。ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)。

さらに、基準不適合の可能性がある2車種(ダイハツ・キャスト、トヨタ・ピクシスジョイ)のリコール届出の指導をしたとしています。両車種は側面衝突時にドアロックが自動解除されず、法規に適合していないんだそう。

今回の処分等についてはあくまで立ち入り検査の結果に基づくもの。別途行うとしていた現行生産車の基準適合性についての技術検証(実際の衝突試験など)の結果次第では、型式指定の取消はさらに拡大する可能性がある、、、という理解で良いんだろうか。