大豊工業 子会社従業員の不正行為

大豊工業は2/2、「当社子会社の元従業員による不正行為に関するお知らせ」を公表しました。従業員の不正行為が発覚したのは、100%子会社である大豊精機株式会社だそう。この開示では調査委員会の設置等については触れていません。

大豊工業

大豊工業は、自動車エンジンの軸受(ベアリング)製品を主力とする、トヨタ系自動車部品メーカーです。エンジンベアリングでは世界トップクラスのシェアを誇り、国内外の自動車メーカーや部品メーカーに供給しているようです。愛知県豊田市の企業で、トヨタが発行済み株式の33%を保有してますね。

不正行為の概要

不正行為が発覚したのは大豊工業の100%子会社の大豊精機という会社。資本金878百万円といいますから、そこそこデカい会社ですね。搬送装置や溶接機、金型設備、自動車部品の製造および販売を手掛けています。

この会社で、2011年10月から2022年9月の間にわたり(なんと11年間も)、従業員が架空取引を行っていたということです。同社に対する架空請求による被害額は総額で約2億円。当該従業員は懲戒解雇、損害賠償請求訴訟を提起する予定で、警察とも被害届について相談しているとのこと。

開示で説明されていることはここまでなんですが、「本件は、当該元従業員らが架空取引を行い騙取していた事案です。」という一文が気になります。この部分以外は従業員一名による不正行為のように書かれてるんですけどね。この「ら」は、架空取引に関与した取引先等を含めて複数形にしたってこと?

アダストリア サイバー攻撃(その2)

昨日に続いてアダストリアの件。1/24の第2報を読んでいて少し気になったことを追記します。第2報の中の、原因究明とその後の安全対策に関する記述に関してです。

ちょっと矛盾した書きぶり

第2報の中で書かれている今後の対応について。「引き続き、外部の専門機関と連携し、原因や経路の究明を行う」としています、一方で、「現在、安全な環境の構築が完了し、停止していた社内業務システムの稼働を順次再開しました。休止しているWEBストア「ドットエスティ」についても、物流システムを再稼働し、安全性が確認できたことから、近日中に再開を予定しております」としています。

本来は、原因(脆弱だった箇所)や侵入経路を究明し、それが完了したからこそ、安全対策の構築が始まるはずで、ちょっと上記の説明には矛盾を感じました。引き続き原因や経路の究明を行う(まだよく分かっていないことがある?)、としながら安全対策が完了したといってるところです。なぜ不正アクセスを許してしまったかについては、書けなかったためこんな書きぶりになったんでしょうかね。

確かにこういうケースでは、「システムの〇〇に脆弱性があり、これへの対応を怠っていたため、不正なアクセスを許してしまった。」みたいな、他の同様なシステムを持つ企業等への悪影響が考えられるような具体的な話(原因や経路)は開示しないように。といったアドバイスを専門家や警察から受けている可能性はあるかもしれません。

であれば、「原因や経路等についての究明は完了しておりますが、他の企業等への影響を考慮し、開示は控えさせていただきます」、みたいな書き方はあったと思うんですけどね。

アダストリア 個人情報104万件流出か

アダストリアは1/24、「当社サーバーへの不正アクセス発生について(第二報) お客さまの個人情報流出の可能性に関するお知らせとお詫び」を公表しました。同社が管理運用するサーバーが第三者による不正アクセスを受け、約104万件の個人情報が流出した可能性があるとのこと。

アダストリア

アダストリアは、カジュアルファッション専門店チェーン。主力ブランドに「グローバルワーク」、「ニコアンド」、「ローリーズファーム」等があるんだそう。20~30代向け女性をターゲットとした複数ブランド店アパレルに加え、生活雑貨や化粧品、飲食店など多様な分野で事業を展開する企業です。合計1,544店舗を運営しているといいますから、かなりの規模ですね。

不正アクセスの概要

1/18に不正アクセスを確認し、19日には第一報を公表しています。その後、外部専門機関の協力のもと、影響範囲の特定、原因や侵入経路の調査、復旧作業等の対応を開始し、既に警察へも相談しているとのこと。

そして、24日の第2報で、「サーバー等に保存されているお客さまの個人情報流出の可能性を完全に否定できないことが判明した」と公表しました。流出した可能性があるのは、「個人情報 1,044,175件(氏名・住所・電話番号・メールアドレス・会員識別番号)」だそうです。クレジットカード情報などの決済情報は含まれていないとのこと。

しかし、電話番号やメールアドレスが流出していると、該当する人は大変なのよ。漏れた情報はどこかで売買等され、それを手に入れた悪党から、毎日のように身に覚えのない「取引等を確認してください」みたいなフィッシングメールが届くようになります。コレ、マジでシャレになりません。