メタバース団体乱立 日本デジタル空間経済連盟も

昨日は二つのメタバース団体を取り上げましたが、他にもあるみたいです。4/8付け日本経済新聞では、「メタバース団体、乱立模様 SBIも新設 「どこに参加」困惑の声」などと伝えました。新しい産業が勃興する際、よく見られる状況ですね。

一般社団法人「日本デジタル空間経済連盟」

SBIホールディングスが、メタバースを含むデジタル空間の政策提言などを目的にした業界団体「日本デジタル空間経済連盟」を4月にも設立するとのこと。他に参加者としては、野村ホールディングスやミンカブ・ジ・インフォノイドなど金融系の企業のほか、アンダーソン・毛利・友常法律事務所など法律事務所やコンサルティング会社なども。

デジタル市場での商機が広がる半面、法律やルールが未整備なメタバースの世界に、レギュレーションを確立していこうという動きのようで、いかにも金融系企業が集まってきそうな団体ですね。自主規制団体を目指す動きかと。

メタバース推進協議会

日経の記事で、元観光庁長官が関与する団体として紹介されていたのが、「メタバース推進協議会」。代表理事に有名な医学者の養老孟司氏が就任したとのこと。3月には発足していたみたいですね。

ほかにも、電通グループや三井住友海上火災保険などが加盟する「ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ(JCBI)」なんてのも紹介されていました。メタバース、NFT、ブロックチェーンってセットで必要なものだけに、業界団体はたしかに乱立気味。

整理すると、まず最初に日本メタバース協会が設立。そのあとメタバース推進協議会が。そしてメタバースジャパンが発足し、日本デジタル空間経済連盟が追いかけてきたって感じですかね。

メタバースジャパンが発足

少し前のニュースになりますが、日本経済新聞は3/15、「『メタバース』の団体発足 勉強会や政策提言など」という記事を掲載しました。仮想空間「メタバース」について、関係者の交流や政策提言などを目指す一般社団法人だそうです。

メタバース

今後、発展が見込まれるメタバースや、現実と仮想の世界を融合する「XR」などで分野横断的な産官学の勉強会や交流イベントを開くほか、関連業界向けのガイドラインの策定などに取り組むとのこと。

「XR」という聞きなれない言葉も出てきたぞ。「XR」とは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称だそう。そのため、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった技術は、いずれもXRに含まれるということです。

ヘッドマウントディスプレイを使ったVRのゲームに、ARのコンテンツを組み合わせた場合、それがVRなのかARなのか、境界線を引くのは難しい。そこでXRという言葉が生まれたんだそうです。

こうして新しい言葉が出てくるたびに、しっかり意味を理解し、イメージを認識していかないと、すぐに取り残されてしまいそうです。年を取るというのはそういうことなんです。

日本メタバース協会

日本メタバース協会なんてのもあるんですね。こちらは昨年の12月に設立されているみたいで、暗号資産(仮想通貨)交換業者たちが立ち上げたようです。メタバースに関するこの2つの団体がどう競っていくんでしょうかね。今日は二つの団体について書きましたが、他にもあるみたいです。

不適切な行為と不正行為

3/31だったかな。日本フェンオールという会社が、「当社の一部製品に関する不正行為について」という開示を行いました。当ブログでも取り上げた件です。実はこの開示、最近あまり見ない、ちょっと珍しい開示だったんですよね。

日本フェンオールの件

なんでこの開示が珍しいかというと、同社の会社行為として行っていた型式承認時における認証不正について、「不正行為」と言い切っているところなんです。多くの企業がこういったケースでは「不適切な対応」だったり「不適切な行為」と表現するんですね。

神東塗料の件

同じく直近で認証不正に関する開示を行った神東塗料。タイトルは「当社製の一部製品に係る不適切行為に関するお知らせ(第5報)」となっています。製品の認証を得る際の会社としての不正行為ですから、両社のやったことはほぼ同じ行為です。

不適切とは

辞書で調べてみると、「不適切」とは、「その場の状況や話題となっている事柄に対する配慮を欠いていること。また、そのさま。」とあります。企業が行ったルールを逸脱した行為のことを「不適切な行為」と表現するのはおかしいわけです。ちなみに「不正」は、「正しくないこと。また、その行為や、そのさま。」です。

不正行為を行っていた企業がそれを世の中に公表する際、少しでもイメージを良くしようと「不適切」という表現をしたがるんですね。そういう意味で日本フェンオールの開示は珍しいですし、潔い。ちゃんと自分たちが行ったことがどういうことなのか、経営陣も含め、しっかり認識できているのではないかと感じた次第です。

神東塗料 認証不正(その4)

神東塗料は4/4、「当社製の一部製品に係る不適切行為に関するお知らせ(第5報)」を公表しました。認証不正に係る同社塗料製品の規格適合や水質の安全性への影響について、確認のための試験を、公益社団法人日本水道協会と進めています。

おさらい

同社で製造する水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料について、日本水道協会の認証規格や取引先との協定に関し、認証不正等が発覚。同不正が確認された対象製品についての出荷を停止していました。全国の水道管更新という公共工事に大きな影響を与えていた一件ですね。今年1/12に公表されました。

安全性確認

第1報から約3ヶ月、3/22第4報以降は安全性の確認完了の報告が開示されています。第4報では合計22製品の出荷再開が報告されており、第5報では合計24製品の安全性が確認され、これら水道用資機材の出荷自粛が解除されたとしています。同社塗料全ての型式で出荷自粛が解除されたということです。

これで止まっていた公共工事がやっと全面的に再開されるということなんですが、1/14から始まった特別調査委員会の調査結果は、途中経過も含めて未だにまったく公表されていません。

少なくとも2か月以上水道管更新工事を止めてしまったこの認証不正。しっかりとした調査結果が求められると同時に、経営の責任についても厳格な追及がされる必要がありますね。同社の2022年3月期の決算発表は5/16の予定だそうです。おそらくそこまでには調査結果が公表されると思われます。

株式会社ネクステージ 社長の自社株買い

株式会社ネクステージは4/4、「当社代表取締役社長執行役員 浜脇浩次による当社株式の取得について」を公表しました。同日、2022年11月期 第1四半期の決算も発表しており、かなりの好決算となっています。

株式会社ネクステージ

ネクステージは東海北陸地方を中心に、全国で中古車・新車の販売、整備、保険代理店、買取、出張買取などの自動車販売事業と、カーコーティング事業を展開する東証プライム市場上場企業です。本社所在地は名古屋ですね。

自社株買い

代表取締役社長執行役員の浜脇浩次氏が、10億円規模の同社発行済株式を市場から買い付けることになったということです。この自社株買い、同氏の資産管理会社を通じて実行されるようです。買付けは公表翌日の4月5日より順次開始されるとのこと。

自社株買いの目的については、「2022年2月に代表取締役社長執行役員として就任し、当社株式を保有することで、成長を望む強い気持ちをステークホルダーの皆様と共有したいと思って・・・」と説明されています。ん~、なかなかいい感じですね。

この社長さん、創業家の方でもなさそうなんだけど、10億円の買付けってすごいですね。ビッグモーターで役員に上り詰め、ハナテン(大阪では有名な中古車屋さん)でも取締役に。で、ネクステージで社長就任。ずいぶんと稼いだもんです。

株価の方は

好業績の発表に合わせて社長による自社株買いのニュース。公表翌日の同社株価は2,663円の250円高でスタートしました。経営者の考え方が素直に株価に結びついた良い事例ですね。