三菱電機 今度は変圧器における不適切行為

少し前になりますが、三菱電機は4/21、「当社の特別高圧以上の一部の変圧器における不適切行為に関する件」を公表しました。系統変電システム製作所 赤穂工場が製造する特別高圧以上の一部の変圧器において、お客様から要求を受けていた規格に準拠した受入試験の一部を規格と異なる要領で実施し、試験成績書へ不適切な記載を行っていたこと、および一部の製品で社内基準等と異なる設計を行っていたことが判明したとのこと。

調査委員会の調査により判明

同社が 2021年7月2日に設置した調査委員会の調査の過程で 2022年4月1日に判明したということです。同不適切行為の判明後、直ちに当該製品の出荷を停止したとしています。対象となる製品は記録の残っている1982年以降で約3400台に及ぶそうです。

これまで同社で相次いで発覚した品質不正について調べていた調査委員会、調査期間が既に9ヶ月を経過していますが、4月の完了を目指していたこの全社調査を延長することも決めたようです。

不正のあった製品は一部の原子力発電所や新幹線にも納入されていたとのこと。まぁ、例によって安全性については「運転中の変圧器が直ちに故障する可能性は低いと考えている」としていますが。

調査委員会からは「調査完了までさらに時間を要する」との連絡があったといいます。現時点では5月下旬までに22製作所など全体のうち8割以上の調査が終わる見込みとしています。

ってことは、全体が終了するのはやはり1年がかりってことでしょうかね。戦後日本の成長を支えてきた重電3社。日立は子会社の売却で再編を余儀なくされ、東芝は上場廃止だのと追い詰められています。そして三菱電機もこのありさま。どうなっていくんでしょう。

日野自動車 22年3月期の連結最終損益は847億円の赤字

日野自動車は4/27、「繰延税金資産の取崩し、通期連結業績予想と実績値の差異、剰余金の配当に関するお知らせ」を公表しました。同時に同期の決算短信も公表しています。やはりかなりのインパクトが出てきましたね。

おさらい

エンジン性能の認証不正が発覚。型式指定の取り消し処分に伴い、日野自動車は不正のあったトラック・バスの4車種の一部で生産と出荷が停止に追い込まれました。台数ベースで同社の国内販売の約3割にあたる大型トラックが、全てが販売できない状況だそうです。

決算数値など

発表した22年3月期の連結最終損益は847億円の赤字で、同社にとって過去最大の赤字となっています。不正に伴う特別損失の影響が大きく、リコール(回収・無償修理)や税制優遇を受けた分の追加納付の費用で400億円、北米工場の稼働停止に伴う販売店や部品会社への補償費用として273億円を計上しています。

同日開いた記者会見で社長は、「不正行為のあった車種の出荷再開が見通せない」と発言。燃費の改ざんに伴う購入者への補填費用の負担も大きいようで、あるアナリストの試算によると、今期負担が470億円に上るとも。税金の追加納付やリコール費用をあわせると、国内の不正関連で1820億円の負担が生じるなどとも指摘しています。

株価の方は

決算発表を受けて同社の株価は大きな動きなし。決算を見越して直近安値近辺の636円まで売られていたためだと思われます。さてさて今後どうなりますやら。3/11に設置された特別調査委員会の調査結果もこれからですね。

メルコホールディングス 社内調査結果を公表

メルコホールディングスは4/26、「当社連結子会社社員の不正行為に係る社内調査結果等に関するお知らせ」を公表しました。調査委員会の設置が1/27でしたので、3ヶ月丁度の調査期間ということになりました。意外に時間かかりましたね。

不正行為の概要

メルコホールディングスはバッファローを中核子会社として、デジタル家電やパソコン周辺機器の開発・製造・販売・データ復旧サービスなどを行うIT関連事業が主力の企業でした。が、今回不正行為が起きていたのはまったく毛色の違う食品事業の子会社、シマダヤ関東株式会社でした。

経理業務の担当者がその職位・職権を利用して、2017年5月から 2021年12月までの間、計274 回にわたり、同社の取引銀行の普通預金口座から自己の用途に費消する目的で、自己名義の普通預金口座に不正送金を行っていたとのこと。

さらに、同社内の小口現金等の着服も行っていたようで、現預金合計約98百万円を横領していたといいます。

犯行の発覚を防ぐために、四半期毎の決算時に帳簿上の預金残高を実際の預金残高に合わせるため、経費を架空又は水増し計上しており、また、入出金明細照会表の提出を求められた際には、同社員は入出金明細照会表を偽造し、偽造した入出金明細照会表を提示する等の隠蔽工作をしていたということです。

開示では、「同従業員単独の策謀によるものであり、他の重要な業務プロセスに影響を及ぼすものではなく、これが当社グループ全体の内部統制の有効性を否定するものではないと判断している」となってるんですが、本当にそうなんだろうか。

事業の特徴を把握できていない異業種の子会社で、経理担当者にすべてを任せっきり。子会社管理という面でのガバナンスは効いてなかったのでは?

株式会社ハイパー 特別調査委員会の調査報告書を公表

株式会社ハイパーは4/25、「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」を公表しました。調査結果を受け、過年度の決算に与える影響等を精査し、延長後の有価証券報告書の提出期限である5/2までに決算も発表する予定だそうです。

調査結果

一従業員の不正だったようです。2005年に入社し、2014年には課長。2017年にはSS営業部の部長に昇進した人。SS営業部(SSはサービス&サポートの略)の部長による会計不正ということです。

12年間で部長になられてるので、かなり早い方でしょうね。原価の付け替えなどの行為は部長に昇格する前から行われていて、部長になってからも異例の扱いで、ずっと同じ取引先を担当していたということで、不正が発覚しなかったようです。もちろん、隠ぺい工作なんかも。

仕入れ計上の先送り、原価の付け替え、売上の前倒し計上、架空の受注など、帳尻を合わせるために、かなりいろいろとやっていたようですが、その目的は予算(目標)を達成するためということらしいです。まぁ、そのことにより出世も実現されたわけでしょうが。

私的流用の疑義

ありとあらゆる会計不正が実行されてきたわけですが、同部長による会社資産の私的流用については、ちょっと怪しい話も出てくるんだけど、報告書の結論は「私的流用を認定するには至らなかった」ということです。

調査報告書にでてくる次の指摘。「当該部長を含め同社の従業員には、基礎的な会計的なリテラシーが低く、許される行為と許されない行為の線引きの理解が曖昧で、倫理観のハードルが低いことがうかがわれる。」これって結構多くの企業で認められる傾向です。

株式会社ダイイチ 決算発表を延期 第三者委員会を設置

株式会社ダイイチは4/25、「2022 年9月期第2四半期決算発表の延期及び第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。5/6の第2四半期決算発表に向けて準備を進めている過程で、社外からの指摘により、一部不適切な会計処理が行われていたことが判明したとのこと。

株式会社ダイイチ

株式会社ダイイチは、北海道の帯広地区や旭川地区、札幌地区で、食料品主体のスーパーマーケット「ダイイチ」をチェーン展開する企業です。2013年、イトーヨーカ堂と資本・業務提携しており、イトーヨーカ堂の持分法適用関連会社となっています。生鮮食品を強みとする東京証券取引所スタンダード市場 、札幌証券取引所上場企業です。

不適切な会計処理

開示によると、「期末間際に当期の予算達成が見えてきたことを前提に、仕入を先行計上し翌期の利益を確保するため納期をずらしたことが確認できました。現時点で確認している金額は、約 82,000 千円であります。」ということなんですが・・・。

ここで言ってる期末というのは第2四半期末のことでしょうか。仕入れを先行計上して第2四半期の利益を圧縮して第3四半期の利益を大きく見せようとしたということ?なんだかよく分からないなぁ。普通は2021年9月期末のことを指してるんだと思うけど。

第三者委員会を設置

開示された内容だけだとそれほど大きな不正とも思えないんですが、第三者委員会を設置するみたい。日弁連第三者委員会ガイドラインに準拠した調査、とかなり本格的です。

今回の開示ではその全容は見えていませんが、「社外からの指摘により」というところも気になりますし、かなり本格的な第三者委員会の設置というところもあり、何やらそれなりの不正が出てきそうな気配もあります。