川崎重工業 ワシントン地下鉄脱線事故

川崎重工業は10/19、「ワシントン地下鉄車両の脱線事故について」を公表しました。テレビニュースでも流れてましたね。現在、米国NTSB(国家運輸安全委員会)が原因の調査を行っているということです。

事故の状況

脱線事故は12日夕方のラッシュアワーに、ワシントン郊外のロズリン駅付近で起き、トンネル内で脱線した車両から乗客が脱出したというものでした。乗客187人にけがはなかったものの、NTSBは重大な事故になっていた恐れがあるとして調査に乗り出しました。

10/18には、川重製の車両を使用している鉄道事業者に早急に点検を実施するよう要請し、同じ型式の車両で事故前から不具合が見つかっていたという注意喚起も。事故を起こした車両は川重の米国現地法人が製造した「7000系」だそうです。

新車両導入時の経緯

ワシントンメトロの老朽化への対応として、7社が応じたものの、最終選考にはボンバルディア、アルストム、川重の3社が残ったと。その中で川重は、製造コスト等の経済的な面、衝突安全性・環境対策などといった技術面の両方において最も優れていたため選定されたそうです。2014年より営業運転を開始しています。

不具合は多発

川重は、「脱線との関連性は特定されていない」としていますが、同種の車両は2017年以降31回、ゲージ検査で不具合がみつかっており、年々不具合が増えていたといいます。また、事故を起こした車両は、事故直前に2回脱線し、ブレーキの一部が破損していたんだそうです。

不具合が見つかり、年々増加。この間、川重としては適切な対応を取ってきたんでしょうかね。日本みたいになんだかんだでなぁなぁで済ませてくれない国ですからね。この事故は意外にダメージあるかもしれません。日本でも川重の車両そこらじゅうで走ってます(国内シェア第2位)。恐ろしや。

株式会社EduLab この後どうなるんだろうか

EduLab株式の下げが止まりません。四半期報告書を開示した日の終値が2,642円。開示後初日の取引ではストップ安(500円安)で2,142円。そして昨日も417円安で1,725円となりました。二日で 1,000円近い下げ。直前に疑惑の大型落札で値を飛ばしていただけにタチが悪い。

過年度決算の訂正

10/15の開示では、過年度の決算も訂正しています。2018年9月期から今期に至るまでですね。ここで気になるのが同社の公開時の企業価値。同社の上場は2018年の12月です。公開時の株価を決定する直前期が2018年9月期ということになります。

そこで2018年9月期の決算の訂正内容を見てみると、
売上高  39億7千万円 → 38億5千万円
経常利益 9億4百万円 → 6億25百万円
純利益  5億49百万円 → 3億38百万円  こんな感じです。

これほど大きな訂正が入ると、当時の株価がどれだけ割高に買われてしまっていたか。ってことになりますよね。上では株式公開時にフォーカスして書いていますが、その後の決算期においても同様で、当期純利益は訂正により半減等してるような状況です。こりゃ、マズいでしょ。

監理銘柄

10/15に強引に四半期報告書を提出しましたので、監理銘柄(確認中)に指定され上場廃止に至るプロセスは回避したわけですが、有価証券報告書等への虚偽記載や上場契約等に対する重大な違反が疑われる、、、なんてことになるかもしれません。

そう、監理銘柄(確認中)の指定は回避したけど、監理銘柄(確認中)に指定される可能性が出てきたのではないかと。公開時からの粉飾と判断されるようであれば、株主代表訴訟などの心配も必要になるかもですね。

株式会社メタリアル 特別調査委員会を設置 (旧社名:ロゼッタ)

株式会社メタリアルは10/15、「外部機関からの指摘及び同指摘を踏まえた特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。聞いたことない社名だなぁ、と思って調べたら、以前のロゼッタなんですね。今年9月に持株会社体制への移行に伴い、メタリアルに商号変更してます。

メタリアル

メタリアルは産業・ビジネス分野で自動翻訳ツールを中心に、各種翻訳サービスを提供する東証マザーズ上場企業です。AIによる機械翻訳サービスを提供するMT事業、人間が翻訳サービスを行うHT事業、多言語の翻訳などを扱うクラウドソーシング事業などを手掛けています。

いやぁ、ビックリです。この会社にも昔お世話になった方がボードメンバーとしていらっしゃるんですよね。大事にならなければ良いのですが。

事案の概要

10/11~10/12、同社の会計処理に対して、外部機関からその妥当性に対して指摘を受けたといいます。同社MT事業における開発プロジェクト及びプロダクトの一部について、過年度の「収益認識および期間帰属の妥当性」及び当期も含めた「ソフトウェア資産計上の妥当性」についての指摘事項だそうです。

外部機関というのは、国税でしょうかね。今まで見てきた事例では税務当局から指摘を受けるケースでは架空取引なんかが多いような気がしますが。今のところ開示されているのは上記の指摘事項のみです。

指摘事項の妥当性を公平に判断してもらうために、特別調査委員会を設置して調査を開始するとのこと。調査期間は11/29までの1か月半(の予定)となっています。

決算延期

同日の開示で決算発表の延期を公表、併せて四半期報告書の提出期限延長に係る承認についても。延長後の提出期限は11/30となっています。9月に持ち株会社として新社名でスタートしたばかり。いきなり不正・不祥事の発覚ともなれば、、、前途多難ですね。

北弘電社は監理銘柄(確認中)へ  EduLab、アクアライン、カンセキは

OKKは最終期限に間に合い、監理銘柄(確認中)が指定解除されました。そして先週も、四半期報告書の提出期限に関する話題が多かったですね。EduLabも期限ギリギリで提出。北弘電社は監理銘柄(確認中)へ、アクアライン、カンセキは提出期限の延長申請へ。

OKK

OKKは取引所が指定する最終期限の10/12に四半期報告書を提出。なんとか上場廃止の危機から脱出しました。翌日、監理銘柄(確認中)が指定解除されています。

EduLab

EduLabは再延長後の提出期限の10/15、四半期報告書を提出したようです。しかしながら一昨日書いたように、かなり暫定的な報告書で、監査人のあずさ監査法人からは「意見不表明」、「結論不表明」といったケチがつけられています。

北弘電社

北弘電社は10/14、「令和4年3月期第1四半期報告書の提出遅延ならびに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表。取引所が指定する最終期限である10/27までに提出できなければ上場廃止となります。10/15には特別調査委員会から調査報告書を受領し、10/27の提出にめどは付けたようですが。

アクアライン

あくどい商売で消費者庁から行政処分を受けたアクアラインも10/14、「2022年2月期第2四半期決算発表の延期及び第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表。この日予定していた第2四半期の決算発表を延期しました。翌日には提出期限の延長を申請、延長後の提出期限は12/15となりました。

カンセキ

役員による資産の流用が発覚したカンセキは10/14、「2022年2月期第2四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」を公表。延長後の提出期限は11/15となっています。

西武ホールディングス 西武建設の株式を売却?

少し前になりますが、西武ホールディングスは10/8、「一部報道について」を公表しました。同日、一部報道機関より、同社連結子会社である西武建設株式会社の株式を売却するとの報道がなされたことを受けての開示ですね。

開示の内容

まぁ、よくあるヤツです。「当社または西武建設が発表したものではなく、現時点で決定した事実もございません。」ってヤツですね。けど、この手の否定開示はほぼ間違いなく、後に「正式決定しました」ってのが出てきます。が、しかし、その後今のところ正式発表はありません。あれっ?

アセットライト

西武ホールディングス(HD)は昨年あたりから、「アセットライトな事業構造へ転換」を志向し始めています。昔は私鉄各社とも路線を伸ばし、または新設し、沿線の不動産開発。これこそが成長エンジンでした。ところがもうこの成長モデルが通用しなくなってきたわけです。

それでも当分は、資金繰りや財務基盤には余裕があり、現状で積極的に売却などを進める段階ではないとも、言ってましたね。そこへ新型コロナが直撃。本体の鉄道事業そのものがかなりヤバいことになってきました。まさに、資金繰りや財務基盤に余裕がなくなってきているんだと思います。

私鉄各社

もともと私鉄各社の中でも資産効率が良くなかった西武ですが、こうした事情は各社似たようなものです。今回話題になった西武建設は非上場企業ですが、先日当ブログでも取り上げた東急不動産のように、上場している私鉄傘下の建設会社や不動産会社もあります。

「私鉄各社の連結子会社株式の売却」。売却される側の企業が属する業界の再編にもつながる可能性もあり、株式市場でも材料視されていくかもしれませんね。