三菱電機 またもや検査不正(その2)

鉄道車両向け空調装置に続き、ブレーキ用空気圧縮機でも検査不正が発覚した三菱電機。かなり大ごとになってきました。米ニューヨークの地下鉄を運営するニューヨーク州都市交通局(MTA)が動き出したと、7/9付の日本経済新聞が伝えています。

米国が動くとヤバいかも

今のところ、「安全性や品質影響などの追加情報と、必要になるかもしれない修復措置について三菱電機に要求している」ということらしいですが、あちらは日本の企業のようになーなーでは済ませてくれません。

もしこれが原因で車両事故や運行への影響、乗客の健康被害などが出た場合、高額の賠償責任を負わされることも考えられます。日本と米国の違い、怖いですよ。その賠償請求先は、完成品メーカーはもちろんのこと、部品メーカーや販売事業者等にまで及ぶことがあります。

株価の方は

検査不正が公表されたのが6/30でした。前日の同社株の終値は1,633円です。不正が伝わると一気に売られはじめ、1,447円まで下げています。実は同社株は6/7に1,800円台の高値を付けた後、不自然なほど勢いよく下げ始めてたんですね。

このニューヨークの地下鉄の場合、三菱電機の空調装置を載せた完成車両を納めているのは川崎重工だそうです。こちらも株価は大きく下げてますが、こちらについては下げの材料となっているのかどうかよく分かりません。

英ロンドンの地下鉄やドイツの列車などの車両にも採用されているようで、こうした先からの反応も気になります。この不正、かなり大きな問題になっていきそうです。

SUBARU(スバル) 検査不正への対応 新施設建設

少し前のことになりますが、6/26付け日本経済新聞は、「スバル、350億円投じ新施設 検査 不正防止へ」という記事を掲載しました。日産自動車等と同様に、多くの検査不正が発覚した同社が、本気で取り組み始めた、、、ということでしょうか。

検査不正 (振り返り)

スバルの完成検査不正の問題は2017年以降、相次いで発覚しました。国内工場で無資格の従業員が完成検査に携わっていたほか、排ガス・燃費測定値の改ざん、最終組み立て工程後に実施する完成車の全数検査で、ブレーキや舵角検査などで不正行為が判明したというもの。

世界販売が堅調で工場の稼働率が高まる中、業務量が膨れ現場に負荷がかかっていたほか、老朽化する設備に対しても必要な投資をしなかったことが問題の引き金となったと言われています。 経営陣の完成検査業務に対する認識や関与も不十分で、特に現場から上司にものを言いにくい組織風土が問題視されてましたね。

再発防止策

スバルは再発防止に向けて、完成検査部門を製造部門から移管して独立性を確保したほか、5年間で品質向上策に1500億円を投資し、検査設備の新規導入に取り組むとしていました。

今回報道された新施設。約350億円投じて群馬製作所(群馬県太田市)に完成車の検査棟を3棟と関連設備を新設するというもの。製造ラインと分けて物理的に独立させ、作業員が検査に集中できるようにするそうです。

5年間で1500億円投資するといっていたうちの350億円ということですね。あれから既に3年が経過しようとしています。ここまでの取り組みはスバルの品質を劇的に向上させることができるでしょうか。北米を中心に世界中に熱烈なファンが多いことで有名な同社のこと、ぜひ立ち直ってもらいたいものです。

昭和電工 鉛蓄電池を600億円で売却

日本経済新聞は7/8、昭和電工が鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーに、年内にも売却する方針を固めた、と伝えました。これに対して昭和電工は同日8:55、「当社に関する一部報道について」を公表しました。

当社に関する一部報道について

よく見る開示ですよね。自社から公表した事実ではないことを宣言するやつです。昭和電工も同様に開示したんですが、内容が少し変わっていました。

普通は、「当社が発表したものではありません」とするところなんですが、昭和電工は、「当社が発表したものではなく、当社からの情報に基づくものではありません。」としたんですね。後半部分にちょっと引っ掛かりまして、いろいろと妄想してしまったわけです。

当社から情報が漏れたのではない、と言ってまして、その他の当事者から漏れたんだというふうに聞こえます。その他の当事者とは実際に事業を売却する昭和電工マテリアルズと買う側のアドバンテッジパートナーズと東京センチュリーの3者ですね。

昭和電工マテリアルズ

買う側から漏れたんだとすると、「当社グループからの情報に基づくものではありません」ってしそうじゃないですか。そうなってないということは昭和電工マテリアルズから漏れたのかなと。

この昭和電工マテリアルズ、実は旧日立化成なんですね。そう、2018年に大規模な検査不正が発覚した日立化成です。ゆるい会社です。その後昭和電工がTOB(株式公開買付)で日立化成を手に入れたんですね。

買収した子会社からの情報漏洩に腹を立てた昭和電工が、おもわず「当社からの情報に基づくものではありません。」としてしまったと。あくまでkuniの妄想です。

カッパ・クリエイト 現社長が告訴される

カッパ・クリエイトは7/5、「当社役員に対する競合会社からの告訴について」を公表しました。同社の代表取締役個人に対して、株式会社はま寿司より不正競争防止法に纏わる告訴がされ、当該告訴に基づき、6/28、関係当局による捜査が行われました。

競合の関係整理

競合する会社同士での問題ですので、まずその関係を整理しておきましょう。回転ずし店大手「かっぱ寿司」を運営するのがカッパ・クリエイトで、その現社長が主人公です。この主人公はもともと競合の外食最大手のゼンショーホールディングスの出身です。そのゼンショーホールディングスの傘下に「はま寿司」があります。

告訴の概要

主人公がはま寿司の親会社(つまりゼンショー)を退職後、カッパ・クリエイト顧問となった 2020年11月から12月中旬の期間において、元同僚より、ゼンショー社内で共有されていた「はま寿司」の日次売上データ等を、数回に亘って個人的に送付を受けていたというものです。

警視庁は不正競争防止法違反の疑いで捜査を本格化しているようです。6/28、不正競争防止法違反容疑の関係先として、横浜市のカッパ・クリエイト本社を家宅捜索しました。

不正競争防止法違反

日次売上データ等を個人的に手に入れていたことが、不正競争防止法違反に当たるというわけですね。ただ問題はこのデータが「営業秘密」にあたるのかどうか。

ゼンショーの開示情報を見てみましたが、月次売上データの開示をしているのは「すき家」のデータだけのようです。つまり「はま寿司」のデータは非開示ということです。

ただ、日次売上データだけで警視庁が動くんだろうか、という気もします。カッパ・クリエイトの開示文の中でも、「日次売上データ等」と表現されていて、「等」いうのはちょっと引っ掛かりますね。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その3)

日本軽金属ホールディングスは7/5、「当社子会社(日軽新潟株式会社)におけるJIS認証の取消しについて」を公表しました。アルミニウム加工を手掛ける新潟県の子会社が、日本産業規格(JIS)の認証の取り消し処分を受けたということです。

既に3社目

日軽金HDがJIS認証の取り消しを受けるのは、今年既に3件目となります。日軽金名古屋工場、日軽形材株式会社に続く今回は、日軽新潟株式会社。日軽金HDのJIS認証違反調査委員会より、JISマーク表示製品に対する総点検を指示され、その点検で発覚したようです。

本来JISマークを表示してはならない製品に、2007年5月から2021年4月にかけて、製品の出荷時に添付する現品票にJISマークが表示されていることが判明したといいます。

さらに、押出棒製品の引張試験において、JISの規定で要求されている試験片形状と異なる試験片を作製して引張試験をしつつ、更新審査時のみJISの規定に沿った試験片で審査を受けていたとのこと。これって日軽金で発覚した不正と同じ手口のようです。両社は別会社であるにもかかわらずです。

日軽金グループ

グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。この中では日軽金で不正が発覚しています。

また、日軽金加工開発ホールディングスにはさらに子会社が6社ぶら下がっていて、そのうちの2社、日軽形材株式会社と日軽新潟株式会社で発覚。孫会社まで含めて10社中3社で不正ということですね。やはり予想通り、拡大してきました。