グロームホールディングス 急落

6/2、「当社子会社による情報の誤発信に関するお知らせ」を公表したグロームホールディングス。子会社のグローム・マネジメントが株式会社島津製作所との業務提携基本契約を締結したという誤発信。にもかかわらず、その後も株価は上げ続けていたのですが、、、。

6/14 急落

当該誤発信後も株価は上げ続け、6/11(金)の高値は2,341円まで入りました。誤発信の6/2の終値が1,918円ですから、400円以上上げてたんですね。ところが週明けした6/14、わずか一日で、というか前場だけで500円安。ストップ安して1,718円に。

上げっぷりも良かったですが下げっぷりもなかなか。おまけにこの日は前日比100円高辺りから始まっているので、朝一番に買った人は600円安食らってます。恐ろしや。

子会社がフライングして公表しちゃったもんだから、島津製作所が怒ってしまって、、、業務提携基本契約の話が流れてしまったんでしょうか。ついついこんなことを考えてしまいます。いろいろと調べてみましたが、この記事を書いている時点で、この急落の材料(ニュース等)は見当たりません。

業務提携情報

業務提携をする場合、解消する場合は開示するものですが、そもそも提携に関する話を進めていたが、契約は成立しなかった、ということであれば開示のしようがありませんね。しかし、水面下で進めてきた提携話が実現しなかったという事実は、誤発信により結構インパクトのある材料になってしまった可能性が。

買い上がった人も、急落でぶん投げた人も、インサイダー取引に問われることはないでしょうが、破談になったことを知ったものが売ったんだとすると、限りなくインサイダー取引に近い取引ですね。

いやぁ、株式市場は恐ろしいところですね。読者の皆様もどうかお気を付けくださいませ。

ユニデンホールディングス 第三者委員会調査報告書を開示

英語版調査報告書を翻訳する際に、責任の所在や背景を不明瞭にする削除等が行われた疑いを調査していたユニデンHD。6/11、「第三者委員会の調査報告書受領のお知らせ」を公表しました。同調査報告書についても公表されています。

調査結果の概要

同社の米、豪連結子会社2社において会計不正が行われていたという事件。これに関する調査報告書を同社の幹部たちが改ざんしていたという事件。結果から言いうと、同社の創業者でもある会長が主導する形で行われていたということです。

英語版では、これら会計不正の原因は、「会長をはじめとするユニデンHDの経営幹部たちによる強いプレッシャーに起因するものである」とされていましたが、日本語版ではこの部分が削除されていました。あくまで子会社のインセンティブ獲得という利己的な動機により行われたことにしてしまったわけです。

詳細については触れませんが、同報告書には英語版と日本語版の対照表も付いていますのでご覧いただければと思います。非常に面白いです。

報告書を読んでみて

改ざんに関与した人物として、会長をはじめ、C、E、Bという方たちが登場するのですが、この方たちはほとんど既に退任されています。お一人だけが今も残っていて、その方がどうやら現在の常勤監査役のようです。

その常勤監査役が中心となって先日、監査役会が監査報告書で意見表明をしていました。会計不正の件に関して、現経営陣たちが無関心すぎるというような批判的な意見でしたね。ユニデンHDを守って(本人たちはそう思ってるかも)退任していった役員たちが、物申す格好でしょうか。。。定時株主総会は6/29開催予定です。

岡藤日産証券HD 不正アクセスの被害公表 トレードワークスも

岡藤日産証券ホールディングスは6/10、「不正アクセスによるオンライントレードシステムの障害発生に関するお知らせ(4)」を公表しました。やはり、システムをASPで提供しているのはトレードワークスだったようで、同社も同日、「当社提供システムにおける不正アクセス事象の調査結果のご報告」を公表しています。

被害の状況

第三者の外部専門機関による調査を行った結果、これまで実施した調査においては、情報へのアクセスや収集、内外部への転送等、流出を示唆する痕跡は確認できなかったということです。以下、判明している事実です。

不正アクセスの状況全般、データ通信記録、個人情報の保管状況、及びデータ流出経路の可能性の考察の結果、不正アクセスにより暗号化されたファイルに個人情報は含まれていなかった。

持ち出し可能であったデータは存在するものの、これらが持ち出されたという痕跡は確認されなかった。データベースに保管された個人情報が持ち出された可能性は極めて低いものであると考えられる。

システムの状況

ファイルを暗号化されるという被害はあったものの、個人情報は無傷で、持ち出された可能性もほぼなし。どうやらそういうことのようです。まぁ、不幸中の幸いでしたね。

ただし、その後のシステムの状況についてですが、「システム復旧、サービス再開時期につきましては、決定次第、改めてお知らせいたします。」となっています。トレードシステムはまだ復旧してないんですね。

NTT 特別調査委員会による調査報告書

NTTは6/7、「特別調査委員会による調査報告を踏まえた今後の対応について」を公表しました。同社の経営層と省庁関係者等との会⾷の実態について調査してきた件ですね。3/9からでしたから、約3ヶ月間の調査ということになりました。

調査結果の概要

NTTグループ(持株、東、⻄、コミュニケーションズ、ドコモ、データ)の経営陣と総務省課⻑級以上の職員及び総務省の政務三役との間の会⾷を対象範囲として調査しています。その結果、費⽤を等分負担していなかった会⾷は29件あったとのこと(政務三役との会⾷:5件、国家公務員との会⾷:24件)。

これらの会食において、総務省幹部による便宜供与やNTTグループからの便宜供与の依頼等があったとは認められなかった。ということです。まぁ、予想した通りの結果です。ドコモの完全⼦会社化や、ドコモによる携帯電話料⾦の値下げなどについて、⾏政の判断が歪められたという事実も確認されなかったとのこと。

ただし、会⾷のうち、総務省幹部が参加しているものは、当該総務省幹部が、国家公務員倫理法に基づき定められている、国家公務員倫理規程に違反する結果を招いたものであり、NTTグループ経営陣は、その法令違反を誘発・助⻑した点で、⾮難を免れることはできない。また、総務省政務三役が参加しているものは、国⺠の疑惑を招きかねない会⾷であった。としています。

想定外のこと

見事に想定通りの結果となっているわけですが、想定外のこともありました。発生原因のところで触れられています。「国家公務員倫理法・倫理規程及び⼤⾂規範に沿った会⾷を実施するための具体的なルールを定めた社内規程が存在していなかったこと」

上場企業なら接待・贈答に関する規程、みたいなタイトルで、公務員やみなし公務員との付き合い方について、普通ルールがありますよね。それもNTTほどの大会社で、かつNTT法にも縛られる特殊な法人のくせに。このことが唯一想定外の情報でした。これってホント?

株式会社ヤギ 再発防止策 日軽金HD 特別調査委員会を設置

株式会社ヤギは6/9、「不適切な取引に関する再発防止策等に関するお知らせ」を公表しました。また、同日、日軽金HDは、「特別調査委員会の設置に関するお知らせ 」を公表しています。あっ、両社の間には何も関係はありません。二つの話を一つの記事にしただけです。

株式会社ヤギ

5/31に「社内調査委員会の調査報告書」を公表した株式会社ヤギ。ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということでした。

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっていましたね。

今回の開示は再発防止策の公表です。内容は教科書通りというか、普通な感じ。営業部門、管理部門、内部監査部門それぞれに統制力を強化する、いわゆるスリーラインディフェンスを強く意識したものになっています。

内部通報制度の充実にも言及していていい感じです。が、その前にレポートラインの整備に触れてほしかったと思います。中間管理職たちはちゃんと機能しているでしょうか。多くの企業で中間管理職が機能せず、経営と従業員の間に壁(乖離)ができてしまってます。

日軽金HD

5/17に「子会社の日本軽金属におけるアルミ板製品のJIS認証の取消しについて」を公表した日軽金HD。認証不正取得の件ですね。JIS認証違反調査委員会を設置して総点検をしていましたが、ここへきて特別調査委員会を設置。JIS認証違反調査委員会の調査資料等を引き継ぐようです。

認証不正取得のグループ会社等への広がりが見えてきて、社内委員会では手に負えなくなってきた。そんな感じでしょうかね。