ランサムウェア被害企業 今年世界で1000社 暴露型ウイルス

先週でしたか、日本経済新聞の1面トップに、「機密情報盗み身代金要求 暴露型ウイルス、1000社被害 1~10月 企業活動停滞も」という記事が掲載されました。暴露型ウイルスという定義はちょっとどうなんだろうとは思いますが、、、。とにかく被害メチャ拡大してます。

新型のランサムウエア

ランサムウエアといえば、被害企業等のパソコンやサーバなどのデータを暗号化し、データの復旧と引き換えに身代金を要求するものでした。最近増えてきたのがパソコンやサーバのデータを盗み、その後に元のデータを暗号化するというタイプです。こういうタイプのランサムウエアを暴露型と呼んでるようです。

直近で被害を受けた企業として、当ブログでも取り上げたカプコンが紹介されてます。米国のクラウドストライクという企業が実施した調査結果も伝えています。過去一年以内にランサムウェアの攻撃を受けた日本企業の32%が身代金を支払っていたそうです。平均支払額は1億2300万円で、42%が攻撃者との交渉を試みたとのこと。

サイバー対策費用など

日経ではここまでしか書いてなかったんですが、実は続きがあって、日本における過去3年間のDXに対する投資額は平均3億8400万円(366万ドル)。世界平均の486万ドルを下回っているそうです。

また、サイバーセキュリティへの平均投資額は4850万円(46万ドル)で、こちらも世界平均の61万ドルを大きく下回っています。DXへの投資額、セキュリティへの投資額、ともに世界平均の3/4というのは残念です。

さらに、コロナ禍でセキュリティに最新ツールを導入した日本企業の割合は世界平均よりも9ポイント低い39%にとどまり、調査対象国の中で最下位だったそうです。

※ ここでいう世界平均とは、調査対象とした米国をはじめ、イギリス、フランス等ヨーロッパ6カ国、中東、インド、シンガポール、オーストラリア、日本です。

マースグループホールディングス 子会社役員、社員の不正行為

少し前になりますが、マースグループHDは11/27、同社の子会社であるマースプラニング社の役員、社員による不正行為が判明したことを公表しました。数年間にわたり宿泊・食事等の売上代金から現金を着服し、私的に流用していたようです。その総額は1億65百万円になるとのこと。

マースプラニング社

マースグループHDは、「アミューズメント関連事業」、「自動認識システム関連事業」、「ホテル関連事業」を子会社を通じて営む企業グループ。その中でホテル関連事業を担当するのがマースプラニング社です。

マースガーデンウッド御殿場、マースガーデンホテル博多の2ホテルを経営。他にもレストラン事業も手掛けていて、上記ホテル内に加え単独店として銀座や福岡に鉄板焼や寿司店を展開しています。「宿泊・食事等の売上から着服」としていますから、現場はどちらかのホテルでしょうね。

不正の概要

発覚の端緒は今年8月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、同社の売り上げが減少するなか、売掛債権が減少しない疑義が生じたとのこと。これを受けマースグループHDは社内調査委員会を立ち上げ、約2か月にわたり調査を実施。今回の公表に至っています。

例によって11/20には役員、社員を懲戒解雇しており、公表時の表現は、「元役員及び元社員」となっています。人数は書かれていませんがおそらく二人での犯行でしょう。この二人、着服した金銭を返金する意思を示しているとか。普通こういうお金はほぼすべて消えてるもんですけどね。

11/13に公表された同社の第2四半期決算。連結損益計算書の貸倒引当金繰入額として、165,096千円が計上されていました。さて、着服されてしまった金銭、どこまで回収できるでしょう。

アマナ(amana) 架空売上 特別調査委員会の委員構成の変更

株式会社アマナは12/1、「特別調査委員会の調査状況及び委員構成の一部変更・追加のお知らせ」を公表しました。てっきり調査結果が出たんだと思いましたが、調査対象とは別件が発覚したということで、より独立性・公平性が高い体制に変更するということです。

面倒なことに、、、

子会社のアマナデザインにおいて、売上高の架空計上や売上高、外注原価の期間帰属の誤りがあった件を調査するため、特別調査委員会を設置。これが11/4のことでした。1ヶ月近く調査をしてきて、このタイミングで別事案が発覚したわけです。

お知らせから引用すると、「当社を含め外注原価の期間帰属の誤りに関する疑義が新たに発覚するとともに、そのうち1件について、当社経営陣の一部が当時その認識を有していた疑義が生じました。」と表現されています。ビミョーな書き方ですね。

もう少し平たく言うと、「取締役が指示して外注原価を翌期に付けさせ、売上利益の水増しを図っていた」ということでしょうか。取締役も1名だけではなさげな書き方です。

以前の記事でも書いたように、アマナは2020年12月期第3四半期報告書の提出期限を延長申請している状況です。この調子では12/16の提出期限には間に合いそうにないですね。

債務超過

提出期限に間に合わないと、その後8営業日の猶予があり、上場廃止となってしまいます。が、それ以前にこの会社、8月に公表した第2四半期決算で18億円の損失を計上し、206百万円の債務超過に陥っています。

取引金融機関も、借入金返済が遅延していることから新たな融資を渋っているようですし、上場廃止どころの問題ではなくなってきています。

高松コンストラクショングループ 青木あすなろ建設で従業員の不正行為

高松コンストラクショングループは12/2、グループの青木あすなろ建設において、社員による協力会社との不正な取引が行われていたと公表しました。既にここまで調査を進めてきており、調査の結果や社内処分、再発防止策までセットで公表という形です。

高松コンストラクショングループ

高松コンストラクショングループは1917年創業の高松建設を中心に、多くの上場企業を傘下に収めてきた持ち株会社で、高松建設と青木あすなろ建設が中核子会社になります。今回公表された従業員の不正行為は青木あすなろ建設で起きたもの。

青木あすなろ建設

同社も高松コンストラクショングループも、今回の件を「従業員の不正行為」と言い切ってしまっているんですが、そうなのかなぁという感じもします。詳細が説明されていないためというのもあるんですが、、、。不正行為の概要を以下に引用します。

「工事着工間もない段階で協力会社に対して法令違反に該当しない社内規程を逸脱した発注により、出来高を水増しすることで工事原価の計上時期と支払時期の前倒しが行われたものでありました」 と、これだけ。

で、不正行為による支出の総額は約274百万円だとしているんですが、これに関与した従業員個人の利得はなかったということです。「出来高」というのがよく分かりませんが、法令違反がなく社内規程を逸脱した発注、、、協力会社の期末売上に協力したということですかね?

弊社従業員の逮捕について

せっかく開示するんだったらもう少し分かりやすく書いてほしいものです。てなことで少し調べていたら、2017年9月に青木あすなろ建設の従業員が逮捕されていました。この時の開示もあっさりしてます。

神奈川県の砕石採掘跡地で同社が受託している建設発生残土埋立事業用地内へ、産業廃棄物が不法投棄された事件に関与していたとして逮捕だそうです。で、その後この社員と同社が検察庁より起訴されてます。この件もあって今回は厳しく対応した?

東京ドームTOB 三井不動産 読売新聞 みずほ銀行

オアシス・マネジメントの請求で臨時株主総会を予定していた東京ドーム。相当もめることになるだろうなと思っていたところへ、ホワイトナイトが登場しましたね。三井不動産が東京ドームにTOBを仕掛けました。この情報も公表前にメディアに漏れ出してました。

TOBの概要

三井不動産が行うTOBは、買付価格1株につき1,300円。買付期間は11/30~1/18までの31営業日。買付予定株数が買えたとすると、買付代金の総額は1,205億円におよびます。株主がTOBに応じる際の取扱いをするのは野村證券ですね。

今回のこのTOBが成立後、20%の株式が読売新聞グループ本社に譲渡され、、、つまり、東京ドームに20%出資する形になります。で、東京ドーム株は上場廃止になると。

東京ドームの敷地にはスタジアムのほか、ホテルや遊園地、スパ施設なんかもありますね。丸の内線後楽園駅と総武線水道橋駅に挟まれた一帯で、メチャクチャ交通の便の良いところです。ここで本格的なボールパーク開発を進めるということです。面白そうです。

読売新聞グループ本社 みずほ銀行

読売の20%はちょっとしょぼい感じですね。本業ではもう後がないんですから、ジャイアンツとボールパークに本気で取り組んでも良さそうなもんです。まぁ、稼げてないからそこまでの余裕もないってことでしょうか。

そしてTOBに応じることをあらかじめ決めてしまっているみずほ銀行も。まぁ、政策保有株を売らなきゃならないわけで、高価買取、、、渡りに船というところでしょうね。これもちょっと残念。

市場価格がTOB価格を上回って

TOB価格1,300円なのに、12/1のドーム株価は1,350円。終日1,300円を上回って推移しました。1,350円で買ってTOBに応募したら損するわけですからね。何かあります。おそらくオアシス・マネジメントが出てきて、、、TOB価格が吊り上がる可能性を買ってきてるんでしょう。まだまだ波乱の予感が。。。